「お客様にご迷惑をおかけしたくないという気持ち」 印刷会社の採用広告「給料以外で出勤しようと思わせるものは?」への社員の回答にネット衝撃
新聞の全面広告として掲載された、印刷通販サービス会社の新卒採用広告がネットで話題になっている。
掲載されたのは3月11日付けの日本経済新聞朝刊。「給料以外で、会社に出勤しようと思わせるものは何ですか?」という質問に、同社の社員が回答する、というものだ。回答には社員の所属部署と実名も併せて表記されており、全部で63人分にのぼる。
社員に仕事上のやりがいを聞いていると考えればよくある質問に思える。しかし、ネットでは「後ろ向きな理由が際立っている」ように見えるとの指摘が相次いでいるのだ。
仕事が不安だと「休みの日でも出社する」と宣言する社員も
もちろん、社員からは仕事自体のやりがいを始めとしたポジティブな理由もあがっている。
「ご来店いただいたお客様に直接『ありがとう』と言われます。『助かりました、また来ます』とおっしゃってくれます。それがモチベーションです」
「私の携わった商品を街中で見かけることがあります。それをやりがいにしています」
「尊敬できる先輩と、互いに競い合える同期がいます。負けられないという思いです」
だが、ポジティブな理由に比べると、「お客様にご迷惑をおかけしたくない」といったネガティブな理由が目に付く。
「毎日たくさんの仕事があります。1日でも欠ければ仕事が溜まり遅れます。お客様にも、そして同じチームの人たちにも迷惑をかけることになります。その使命感が強いモチベーションになっています」
「お客様にご迷惑をおかけせずに喜んでいただける仕事をするためです。もちろん仲間に迷惑をかけない。全体の力になりたいと考えています」
「お客様にご迷惑をおかけしたくない。仲間の役に立ちたいという気持ちです」
中には、「気になること、不安なこと、今やっておかないと不都合になること」があるため、「休みの日でも出社する」とコメントを寄せる社員もいた。責任感があるのかも知れないが、新卒向けのメッセージとしては少し暗い。
ネット民は「無理して働く理由ばかりが際立っている」と指摘
3月15日、あるツイッターユーザーこの広告の画像を投稿。「この広告を『アリ』と考える時点でこの会社はヤバいと思う」とコメントしたところ、3500件以上のリツイートがされた。反応としては批判的なものが多い。
「せめて『仕事が楽しいから』と書かれていればまだ救いがあるが『迷惑をかけたくないから』という脅迫されてるかのような内容ばかりなのが悲しい」
「仕事が楽しいとまではいかなくても、やりがいがあるとか、職場の雰囲気がいいとか、もっとありそうなのに、無理して働く理由ばかりが際立っている」
やりがいを聞いているはずなのに、あがっている答えが結果として「滅私奉公の精神論」とも取れることに違和感を持った人が多いようだ。「なんでこれでゴーサイン出せたんだろう」と訝しがる人もいた。
また、「余程好きな仕事か愛着があるか、めちゃくちゃ好待遇な会社じゃなければ、給与のためとしか思わない。こんなくだらない質問する会社は嫌」などと、そもそもの質問に疑問を呈する声もあがっていた。
もちろん、広告の中には前述のように前向きな回答だってないことはない。ネットでは、「真っ当な給料出てるうえでの質問なら別にいいんじゃないの」と擁護する人も一部いた。
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