サービス残業やらせる上司の理屈 「仕事はやりがい」「カネは後からついてくる」
はてな匿名ダイアリーに投稿された「サービス残業を部下にやらせる上司の理屈」がネットで話題を呼んでいる。投稿主は、サビ残も平気でこなす自称「社畜」だ。
部下の契約社員にも同じように残業をさせていたが、2週間経ったある日、部下が抗議をしてきた。そのため、これまで自分が上司に言われてきた3つの「サビ残正当化理論」を部下にも説いたのだが、うまくいかなかったという。
残業代を出すと「仕事が遅い人が得する」から払えない
1つ目の正当化は、「仕事はやりがい理論」だ。
「お客様が喜ぶ顔を思えば金なんか関係なくなるよな。俺たちは金のためではなく人の幸せのために働いているんだ」
もちろんこれらは二者択一ではなく、「金と人のために働く」ことも成立するので「詭弁」だということは投稿主も分かっている。しかし、これに反論することは、自分が人のためより金のために働いているように思われるので難しいというのだ。
部下は納得していなかったようで、1週間後に「やりがいは感じていますが、やはり、生活のために働いた分だけお金はいただかないといけません」と言われてしまった。
そこで2つ目の正当化、「残業が発生するのは仕事が遅いからだ理論」を持ち出す。新人は仕事に不慣れなので、時間がかかって定時過ぎになってしまうのは仕方ない。
「もしそれで残業代を君あげてしまうと仕事が遅い人が得してしまうだろ? だから払えないんだ」
これも中々反論しにくい理屈だが、3ヶ月後に「そもそもとても1日で終わる仕事量ではない」などと部下が訴えてきた。投稿主はスピードアップのテクニックを教えたが、それでも定時で終わらない。しばらくして再び部下が「サビ残は嫌だ」と言ってきた。
「サビ残やらせるのが下手な俺」は会社を辞めた
そこで投稿主は最後の手段、3つ目の正当化として「金は後からついてくる理論」を説いた。まずは金のことを考えずにがむしゃらに働き、自分の能力をアピールすれば、いずれ「それ相応の給料になる」というのだ。
しかし部下は「それはサービス残業とは関係ない話ですよね」とバッサリ。将来的に給料が上がるとしても、いまは時間単価が安いなりにきちんと支払われるべきだというわけだ。最初から違法行為なのだが…。
その後、投稿主の上司が部下と直接話し合ったが、それでも納得させることはできず、最終的に部下は会社を去った。これまで「社畜」状態だった投稿主も、部下が辞めたことでサビ残の理不尽さに気づき、会社を辞めたという。
実はこのエントリーのタイトルは、「サービス残業をやらせるのが下手な俺」というもの。2013年に投稿されたものだったが、2015年2月中旬から再び話題に。はてなブックマークでは、投稿主のサビ残理論に反論した部下に対して「一枚上手だし、至極真っ当な意見」「勇気もあるししっかりしてるなぁ」と評価する声が相次いだ。
「ヘタレな私は交渉出来なかったなー。今思い返してみれば、サビ残を強いる上司の言葉に突っ込みどころありまくりだった」
「労働者側の想定問答集として使えそう」の声
コメントを見ると、サビ残を強制されても反論できず、巧みに言いくるめられて困っている人が多いようだ。「この問答は労働者側の想定問答集として使えそうだ」という見方もあった。
また、投稿主が部下の影響で会社を辞めるに至ったことについても、「結果的に頭のキレる部下に出会って良かったですね」という声が出ていた。
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