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優秀な社員に業務が集中し、過重労働で心身のバランスを崩してしまうケースは少なくない。仕事の責任を個人にだけ押し付ける企業体質ならなおさらだ。ITエンジニアとして働く40代男性(年収650万円)は、会社の理不尽な采配によって休職に追い込まれ、転職を決意した経験談を寄せた。
男性は、1年がかりで正常に運用できる状態にまで整備した「プロジェクトA」を担当していた。しかし、その矢先に隣の部署の上司であるA部長から、ある相談を持ち掛けられた。
それは、「1年近く自分のプロジェクトを持てず、ずっと売上を計上できない」でいる4歳上の先輩マネージャーを、どうにか男性のプロジェクトに参画させてほしい、というものだった。(文:長田コウ)
「私はみるみる高稼働になっていきました」
すぐには難しいがどうにかしたいと考えていると、別の部署のB部長からも、ある相談が舞い込む。
「プロジェクトBがうまくいっていないので、同じ顧客を担当する私にどうにかうまくプロジェクトを正常に運用できるよう協力依頼があった」
ちょうどいいタイミングだと感じた男性は、プロジェクトBに先輩マネージャーを推薦したものの、どうしても男性に担当してほしいと押し切られてしまった。
苦渋の決断の末、男性は安定していたプロジェクトAを先輩マネージャーに引き継ぎ、自身は炎上中のプロジェクトBを担当することになった。しかしこれを機に、男性の労働環境は一変してしまう。
「私が丁寧に引き継ぎしたこともあり、 プロジェクトAの先輩マネージャーは常に定時で帰宅できるほど順調でしたが、 案の定、プロジェクトBは私へのフォローもなく、もともとの計画や体制も悪かったことから、私はみるみる高稼働になっていきました」
この状況を、各部長に相談するも全く改善されなかった。A部長が先輩マネージャーに協力を依頼したものの、「後輩の手伝いはしたくない」「指示がないと動けない」と非協力的な態度を貫かれたという。そして、最悪の状況を迎えることとなった。
「(先輩マネージャーは)年末年始休暇前から体調がすぐれないと、長期休暇に入ってしまい、私が2つのプロジェクトを管理しなければいけない状況になりました」
会社から非情な通告を受け、退職を決意
しかし、さすがに男性も心身の限界を迎え、休職せざるを得ない状況になった。
心療内科に通いながら復帰を目指していた男性は、同じ悲劇を繰り返さないために、組織の体制を整える品質管理部門への異動をA部長に願い出た。しかし、返ってきたのは冷たい言葉だった。
「品質管理の考え方が私とは異なり、『品質は組織として担保するのではなく、各プロジェクトのマネージャーが考えて担保するというのが我が社の考え方であるため、異動は認めない。復帰後も、同じ現場に配属する』と伝えられました」
この瞬間、男性は会社を見限ったようだ。
「組織として一定の品質を保とうという考えではなく、個々の、属人的な管理方法で担保する、つまり、無策のまま、また同じ事が起きるだろうな、こんな考え方の部長を輩出しているこの会社ダメだなと感じ、やっと第二の人生を歩もうと決意できました」
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