「給料が発生すると、社会に必要とされてるって思える」 オードリー若林の仕事観・給与観
この日のゲストは、芥川賞作家の藤沢周さんと羽田圭介さん。「強迫観念はありますか?」という藤沢さんの質問に、若林さんは迷いつつ、こう答えました。
「一番は、明日仕事がなくなって収入ゼロ円になるっていう(不安)のが、1ミリもなくならないですね」
若林さんは、お金がなかったころの生活を振り返ります。風呂なし3万円のアパート、隣はラッパー、上がタトゥーだらけの夫婦で、うるさくてフライパンを天井に向かって投げつけたり、「風邪ひいて熱が39度あっても病院行く金がない」という暮らしでした。
「その中でも楽しみを見つければ良かったんですけど、なんかこう、社会につまはじきにされてるような思いが強すぎて」
先輩からは「もっと高いブランド物とか買って、いい物を知らなきゃダメだよ」とか「いいワイン飲まなきゃダメだよ」と言われましたが、「それに対する怒りが止まらないんですよ」と当時を振り返ります。
羽田さんに「若林さん、もう貯金たまってると思う」と言われ、「正直…ハイ」と認める若林さん。羽田さんは「いまの貯金を年5%の投資信託などで増やしていけば、それだけでとりあえず暮らせるとは思う」とした上で、こう尋ねました。
「お金と、仕事がないっていう『充実感の欠如』の問題と、なんかちょっと違うのかな?」
「自分の欠落感」が埋まる感じがすごくある
生活資金の蓄えと「明日仕事がなくなる」という不安は、別のものということでしょうか。若林さんは「そうそう!」と賛同し、「仕事してる時間って、悩まなくていいじゃないですか。自分の内側のことで」とし、こう主張しました。
「あと、金銭が発生すると、社会に必要とされてるって(思える)。その、自分の欠落感が埋まる感じがすごくあるんですよ。ぼくは」
さらに、それを失う怖さについて「いまこれで仕事がなくなったときに、その欠落とうまくつき合う技術とか、人間力あるのかなと考えると自信ない。その強迫観念かもしれないですね」と語ります。
かつての若林さんを苦しめていたのは、安アパートの劣悪な環境よりも「社会から必要とされない不安や怒り」でした。そしてそれは、稼いでいる現在も変わらないようです。
十分な給料がもらえることで感じられる「社会に受け入れられた感」「居場所がある実感」は、一般のサラリーマンにとっても重要なこと。会社が「人をできるだけ安く使う」ことばかり考えていると、世の中がすさんでくるのではないでしょうか。(文:篠原みつき)
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