「配偶者控除」見直しで議論広がる 「103万円の壁」撤廃で本当に女性が働きやすい世の中になるの?
配偶者控除とは、専業主婦やパート主婦の妻が年収103万円以下の場合、世帯主である夫から課税所得を一律38万円減らす制度で、1961年に施行された。節税になることから、共働き主婦の中には働く時間を少なくするケースが多く、女性の社会進出を妨げていると考えられてきた。
配偶者控除は、終身雇用の男性と無職の妻からなる「片働き世帯」をモデルとしているため、共働きが増えた現在の夫婦の働き方には合わないという指摘も出ていた。また、働く主婦からすると不公平という声も少なくない。
NHKの報道によると30日には、二階俊博幹事長も会見で配偶者控除について触れ、
「専業主婦の世帯よりも、夫婦共働きの世帯が多くなっているという時代の変化がある。この変化をとらえて、税制を適切に変えていくことは必要だ」
とコメント。現行の制度見直しに前向きな姿勢を見せた。
配偶者控除をめぐるこうした動きはネットでも話題になり、ツイッターでは見直しを歓迎する声が相次いだ。
「支持!!時代遅れな制度だし、働いてる側から見たら不公平極まりない制度」
「子無し共働き夫婦が一番税金納めてんだぞーっ!もっと優遇してくれてもいいんじゃない?子育て世代ばっかり・・・くっそ」
共働き世帯も恩恵を受けられる「夫婦控除」も導入検討
しかし見直しに批判的な意見も多い。女性の社会進出のためとしているが、家計の負担が増えてしまうと少子化が余計進みかねない、という懸念もある。専業主婦からは怒りの声も出ていた。
「配偶者控除無くなったら、本当に何も働かない主婦はただのお荷物になるってことですよね?子供が生まれたとき、子供のそばにずっといて、子供が大きくなるまではいつも一緒にいてやりたいと言う母親の本能を否定して、働くのが当たり前と言いたいのですか」
ただ、自民党も現状のような控除制度を完全になくすというわけではなさそうだ。二階幹事長は「専業主婦世帯に大きな負担にならないよう考慮するべきだ」ともコメント。自民党では、以前から夫婦であれば専業主婦でも共働きでも一定額の控除を受けられる「夫婦控除」を設ける案も出ていた。
また、日経新聞のインタビュー記事では宮沢氏が、配偶者手当見直しについて「年収要件という話もおそらく検討されることになる」と発言。低所得層の控除を手厚くし、負担を軽減する、という案もあるという。現役世代の家計に大きく関わってくることだけに、今後の動きが注視される。
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