後を絶たない「求人詐欺」に困惑 「残業月に10時間のはずが、実際には150時間くらい働いてた」人も
スレに書き込まれているのは、残業時間が求人票に記載されているよりもはるかに長かったり、休みを取れなかったりしたという経験談だ。
「残業月平均20時間て書いてあったけど実際40時間超え」
「残業月に10時間程と書かれていたけど、休日出勤もして150時間くらい働いてた」
ここまでくるともはや誤差とは思えず、残業を過少申告していたのではないかと思わずにはいられない。「完全週休二日制うたっておいて、いざ入ったら3ヶ月休みなしとかな」という違法状態もあった。
人事総務を担当しているという人は「中小零細は嘘『しか』書かないぞ。年休120日って書いてるけど実際は30日もない」と指摘。他にも、業務内容が当初と違っていたり、そもそも雇用形態が違っていたという書き込みもあった。
「正社員の面接で行ってるのに非正規でならとかあるよな。こっちは正規の面接できてるのに無駄足とらすなと。電車賃払えと言いたくなるわ」
ハローワーク「事実を確認の上、会社に対して是正指導する」
このように求人票の内容と実際の労働条件が異なった場合、ハローワークではどのように対処しているのだろうか。都内のハローワーク担当者によると、求人票と実際の労働条件に違いがあった場合には、求人票を受理していたそれぞれのハローワークが対応するという。
「求職者から相談があった場合は、その求人票を受理していたハローワークで対処します。各企業の担当者に事実確認を行い、指導していくことになります」
公開・紹介している求人の内容が実際と違っていた場合には、2014年から「ハローワーク求人ホットライン」に申し出るよう呼びかけているという。事実を確認の上、会社に対して是正指導を行ってくれるので、積極的に利用していきたい。
ただし求人側は、必ずしも悪意を持って嘘を書いているとは限らないようだ。あるIT企業の採用担当者は「業務が当初と異なってしまうのは難しい」事情を明かす。
「採用には『人ありき』という側面もありますよね。『この人ならこの仕事の方が向いている』とか『この人が来てくれるならこういうこともやりたい』といった理由で、結果として募集時と異なる業務になってしまうことがあるのです。そのときには、面接などでこちらの意向を説明し、納得をいただいているつもりなのですが……」
「求職者が求人内容を誤解してしまっていた」ケースも
入社後に求職者のスペックが判明し、別の仕事を任せることもあるという。こういった場合も、初めから騙すつもりはなくても、結果として求人票に記載されている業務内容と異なってしまうことになる。部署の業務課題が、求人と変わってしまうこともあるだろう。
ただしこのようなときは、業務内容が求人票の通りなのかどうか、変わる可能性がないかどうかを面接などで確認することが可能だ。厚労省の調査でも「求人者の説明不足」だったり、「求職者が求人内容を誤解してしまっていた」というケースがあることがわかっている。