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「読書率低下は長時間労働が原因」をめぐり議論 「ネットの普及で娯楽が多様化しただけでは」という指摘も

読書率と長時間労働の関連、あるのでしょうか

読書率と長時間労働の関連、あるのでしょうか

記事は教育社会学者の舞田敏彦さんが執筆したもので、4月12日のニューズウィーク日本版に掲載された。2001年と2011年の読書率を比較し、30代・40代の大幅な低下に注目し、「やがて思考停止社会が訪れる」と警鐘を鳴らしている。

これに対しネットでは「読書離れの原因は『長時間労働による疲弊』という話でわりと納得した」「趣味として好きなものを読めばいいのに活字を読むだけの気力がないんですよ」など頷く人もいる一方、

「事実にもとづいてなくないですかね? 2001年と2011年を比べた場合、労働時間は減ってるのではないでしょうか」

と、分析の甘さを指摘する声も出ている。

厚生労働省は年度ごとに、毎月勤労統計調査の最終結果を発表している。2011年の年間総実労働時間は1747時間で、2001年の1836時間より100時間ほど少ない。

労働時間が減っているのに読書率が低下しているのなら、「長時間労働が原因で読書率が低下した」と結論づけるのは難しそうだ。

また舞田氏が提示したグラフでは、15~29歳の層でも読書率が大幅に減少している。この原因は長時間労働では説明できない上に、記事中では触れられていない。

2011年に30代40代だった人たちは、10年前の2001年にはネットの隆盛を直に体験していた世代だ。読書以外の手軽に楽しめる娯楽に触れてきたために、本に魅力を見出さなくなっただけではとも考えられる。ネットにも

「10年前にはまともに存在しなかったスマホゲーや動画サイト、SNS活動に、時間を割く人がいる、などの娯楽の多様化が一番だと思うけどな。だってそうじゃないと、読書以外の娯楽の実施率もまとめて減ってないとおかしくないか」

というコメントがあった。

読書量と語彙力の関連は認められているが思考力は……

「記事を読んでも読書と思考の深さとやらの相関が何も言及されていない。読書しないと思考停止になるというなんの根拠もない話を思考停止して信じている」と記事の前提そのものに疑問を呈する人もいる。

ただ、読書量と語彙力は関連が認められている。ベネッセコーポレーションが2016年に実施した調査によれば、年代に関わらず、読書量が多い人ほど高い語彙力を持っているという。

語彙力が多い人ほど複雑な概念を理解することができそうではあるが、思考力との関連は、思考力をどう定義するかによっても変わってくるだろう。

舞田氏は記事中で次のように危惧している。

「まとまった分量(深み)のある本を読まず、スマホのネットニュースで短いタイトル(リード文)だけを見て、自分の考えを決めてしまう。モノを深く考えない国民が増えることは、政治の方向を誤らせることにも繋がるのではないか」

ただ、まとまった分量の文章ならネット上にも多々ある。ネットニュースにしても、リアルの書籍にしても読んだ上で自分の頭で考えることが大事だろう。

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