3人に1人がパワハラ被害を経験 「カッターで頭部を切られた」「物を投げつけられた」という報告も
「繰り返し経験した」人ほど被害は深刻で、「眠れなくなった」(36.1%)、「通院したり服薬をした」(20.9%)という人も多かった。パワハラの内容としては、暴言などの「精神的な攻撃」が54.9%で圧倒的に多く、
「いること自体が会社に対して損害だと大声で言われた」(男性、50歳以上)
「全員が観覧するノートに何度も個人名を出され、能力が低いと罵られた」(男性、20歳代)
といった被害が報告された。次に多かったのが、「過大な要求」(29.9%)で、「多大な業務量を強いられ、月80時間を超える残業が継続していた」(男性、20歳代)という人も。
「人間関係からの切り離し」(24.8%)も多かった。「今まで参加していた会議から外された」(女性、50歳以上)、「職場での会話での無視や飲み会などに一人だけ誘われない」(男性、30歳代)といった訴えが寄せられた。
「身体的な攻撃」を受けたという人も6.1%いた。
「カッターナイフで頭部を切りつけられた」(男性、20歳代)
「唾を吐かれたり、物を投げつけられたり蹴られたりした」(男性、20歳代)
というのはもはやパワーハラスメントというよりも、単なる暴行だ。
このような被害を受けても「何もしなかった」という人が40.9%と最も多かった。相談するにしても、「社内の同僚」(21.6%)、「家族や社外の友人」(17.6%)、「社内の上司」(17.3%)など身近な人に相談している。
「社内の担当部署」(9.7%)、「社内の相談窓口」(8.6%)、「社外の相談窓口」(3.6%)を頼る人はあまりおらず、残念ながら、パワハラを防ぐ施策がほとんど役に立っていないことがわかる。
何もしなかった理由としては、「何をしても解決にならないと思ったから」が68.5%と最も多く、パワハラの被害を受けた人に諦めが広がっているようだ。
企業は「相談窓口設置」で対策したつもりになっているが活用されず
企業調査は、2016年7月25日~10月24日に、正社員が30人以上いる全国の企業・団体を対象に実施。4587社から回答を得た。そのうち、パワーハラスメントの予防・解決のための取組を「実施している」企業は52.5%だった。
実施している取り組みについては、「相談窓口を設置した」が82.9%と最も多く、「管理職への講演や研修会」(63.4%)、「一般社員への講演や研修会」(41.2%)が続いた。しかし効果を実感できた取組としては、「管理職への講演や研修会」(74.2%)、「一般社員への講演や研修会」(69.6%)が「相談窓口」(60.6%)を上回った。
従業員への調査からも、社内外の窓口を利用する人は少ないことがわかっており、そこを何とか改善していきたいところだ。