ちふれPRツイッター、なぜ炎上? 「女性にとって、仕事や家事は自分を磨くものではない」というメッセージが持つ息苦しさ
これに対してツイッターでは
「女性のせめての味方であってほしい化粧品の企業にまでこんなプレッシャーかけられるなんて、味方に背後から撃たれた気分だよね」
「お洒落は自分のために楽しむものであって、『女磨き』なんて安っぽい言葉や男受けのためにしてるんじゃない」
職場では上司や周囲からのプレッシャー、家庭では妻として母としての、子供、夫、親族からのプレッシャー…
女性のせめての味方であってほしい化粧品の企業にまでこんなプレッシャーかけられるなんて、味方に背後から撃たれた気分だよね。ちふれ、安いし品質も良さそうだなーと好印象だったのに失望。— ai (@aiai224) 2017年5月26日
@chifure_pr 私はちふれ愛用者だけど、「女磨き」なんて興味ない。化粧することで気持ちが上がって自信が付き、仕事も頑張れる。お洒落は自分のために楽しむものであって、「女磨き」なんて安っぽい言葉や男受けのためにしてるんじゃない。女は美しくあれと脅迫するのではなく、ちふれは女性をエンパワーほしい。
— ミルテの花 (@liederausmyrten) 2017年5月25日
などの声が相次いでいる。呟きが持つ「仕事や家事などは自分を磨くものではない、美容こそが女性を磨くものだ」という無言のメッセージは、それらに精を出す女性を否定するようも聞こえる。
また、女磨きという言葉は、男性の目線を意識した、見た目に関する自助努力といったニュアンスで使われることもある。そのため呟きを見た人は、「おろそかにしていませんか」と、やるのがさも当然だという態度に不快感を持ったようだ。
さらに火に油を注いだのは、呟きに貼られていたリンク先の「女磨きレベル診断」である。15個の質問の内容に答えると自分の「女磨きレベル」がパーセンテージで評価されるものだが、
「おにぎりやパンだけで食事を済ませることがある」
「ファッションや美容のトレンドは積極的に収集している」
「『でも』『だって』『どうせ』という言葉は使わない」
「今の自分に誇りを持っている」
など、女性に限定する必然性の無い問いかけばかりだ。
仕事と家庭の両立が女性にのみ期待されがちな昨今、ただでさえ「なぜ女性ばかりが」という疑問や抑圧感を感じることが多いのに、「女磨きを怠っていないか」などの文言をかけられてはたまったものではない。どんな性でもあてはまるはずの行動や態度で「女磨きレベル」を測られ、その数値が低ければ「あなたは好ましい女性像ではない」と言われているのと同然だ。一方的に性別規範を押し付けられ、値踏みされていると感じてもおかしくはない。
ちふれ化粧品が築いてきたイメージへの失望も炎上の一因
ちふれ化粧品は長らく、過度な包装や広告はせず、商品の中身で勝負するという姿勢を貫いてきたメーカーだ。こうした質実剛健さや潔さに惹かれて購入していた消費者も多い。
だが、今回の呟きと診断コンテンツでは「女磨き」という曖昧な言葉で、性別にこだわる必要のない行動や態度を女性にのみ望ましいあり方とするメッセージを発信した。これを受け、同社のこれまでの姿勢が崩れた、もしくは欺瞞だったと捉えた消費者もいるはずだ。
期待を裏切られたがっかり感の大きさも、炎上の一因になったようだ。なお、ちふれのツイッターアカウントを確認したところ、26日13時現在で全ての呟きが削除されている。診断コンテンツも取り下げられ、同社はホームページ上で「不快な思いをさせてしまうことは想定していなかった」として「お詫びと報告」を掲載した
女性向けの商品でありながら、購入時に男性目線を意識させるPRの仕方は、時代の変化と共に受け入れられにくくなってきている。今月初めにはユニ・チャームの生理用品の広告が、「男性のためにタンポンを使おう」というメッセージを発信したことに批判が殺到。広告を取り下げる事態になった。
昨年には資生堂の化粧品ブランド「インテグレート」が、25歳の誕生日を迎えた女性に「今日からもう女の子じゃない」「可愛いという武器は使えない」と声をかけるCMを放送し、「昭和の価値観」「可愛いだけが女性の魅力ではない」など批判を集めていた。