非エリート大学の「職業訓練校化」に賛成の声 「良く分からん大学多すぎ」「Fラン潰せ」
文部科学省が大学改革を検討する有識者会議に、「ほとんどの大学を『職業訓練校化』してはどうか」という提案が持ち上がった。資料を作成したのは、経営共創基盤の代表で経営コンサルタントの冨山和彦氏だ。
この案をキャリコネニュースが取り上げたところ、ネットで大きな話題となった。ツイッターでは「大学の本質を見失っている」など批判が相次いだが、若い読者の多いニコニコニュースでは、なぜか歓迎する声も多かった。
現状知る若者たち「遊び呆ける学生はいらない」
冨山氏の提案では、グローバルに通用する「高度なプロフェッショナル人材」を輩出できるトップレベルの大学を「G(グローバル)型大学」とし、それ以外の「L(ローカル)型大学」を「職業訓練校化」して学問より「実践力」を身につけるべきとした。
日本は少子化で、多くの産業で人材不足が起きることが予想されるので、交通や飲食、福祉など、おもにサービス業を担える「即戦力」を育てた方が、国の生産性・効率性が上がるのではというのが、その理由だ。
700以上のコメントが寄せられたニコニコニュースでは、意外にも賛成の声が多かった。自らも学生生活を送りながら、こんなことでいいのかと感じているのか、
「良く分からん大学が多すぎ」
「遊び呆けている学生は大学にはいらない」
と、現状の大学や学生のあり方に疑問を呈する内容が多い。「大学のレベルに達してないとこ増えすぎたからねえ、空っぽ学士様増やし過ぎたつけだわ」と容赦ない。年長者のブログなどには、大学の理想像や理念を踏まえつつ冨山氏を批判する声も目に付くが、そのようなコメントはほとんど見られない。
確かに少子化の流れに反し、大学の数は増えている。文科省の「学校基本調査」によると、2014年度の大学数は781校で、10年前に比べると55校も増加している。一方で、大学への進学者数は約4500人しか増えていない。
カネを払えば誰でも大学生になれる「大学全入時代」になり、学生のレベルが下がっていることを実感している人たちも少なくない。「学問に臨む気がないからFラン大とかに行くんだろ?」「Fランは排除すべき」「私大半分廃止して潰せよ」という辛辣な声もあった。
「洗脳しやすい奴隷生産」につながらないか
経済学者の池田信夫氏は「G型大学とL型大学」と題したブログエントリーで、「大部分のL型労働者にとっては、哲学や社会学を習うより、英語や簿記を使えるようになることが重要だ」と賛意を表しつつ、「教育予算を使うなら、幼児教育だ」と指摘しているが、ニコニコ読者にも大学以前の教育も含めて見直すべきと考える声が目についた。
「中高で人間性に格差が生まれている。大学に来て、学ぶ準備が出来てないヤツがあまりにも多すぎる」
「やるなら小中校から徹底しろ。苦手分野より得意分野を伸ばす方が効率的なのに形ばかりの『平等』を押し付ける教育を見直せ」
社会人の転職のように、大学にも転学などの「流動化」が必要という声もあった。
「これをやるなら学生に転学の自由を与えないとダメだろうな。センターや入試でその後4年間が全部決まるって制度とは合わない」
大学と企業の結びつきを強くするならば、企業の協力が欠かせないが、いまの企業が「やる気あるのか?」という懸念も。さらに、「G型」と「L型」と大学の時点で二分割される政策は、エリート主義を深めるだけの結果になるのでは、とする読者もいる。
「言いたいことはわかるが、こういう人たちが言うと、洗脳しやすく使いやすい奴隷生産を目論んでいるのではないかと勘ぐってしまうなぁ」
なお、この有識者会議は委員からのヒアリング段階であり、「社会・経済の変化に伴う人材需要に即応した質の高い職業人」の育成や、「専門高校卒業者の進学機会や社会人の学び直しの機会」を拡大するために、今後も議論が重ねられる予定だという。ネットに噴出した若者たちの意見も、議論に取り込んでもらえないだろうか。
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