拒食症の一番の原因は「ダイエット」ではない 過食症についても約3割が「強い意志があればやめられる」と誤解
脱毛サロンを運営するミュゼプラチナムは、日本摂食障害協会と共同で「摂食障害に対する一般女性の認識調査」を実施し、6月4日の「世界摂食障害アクションデイ」で結果を発表した。対象は、同社のサービス利用会員の女性約4000人。
体質やストレスなどが関連、ダイエットが唯一の原因ではない。
摂食障害は過食症と拒食症を包括した呼び名だが、調査ではまず、この言葉の認知度を調べた。過食症が64%、拒食症が63%とほぼ同程度かつ半数を超えていたのに対し、摂食障害の認知度は48%と、他2つと比べて低めだった。
摂食障害に対し、どれくらい理解が進んでいるかも聞いた。「ストレスが関係する疾患だと思う」には93%が「そう思う」と答え、「女性だけがなると思う」には82%が「そう思わない」と回答していた。摂食障害の発症にはストレスと関わりがあり、性別に関わらず誰でもなる可能性があることなどは、広く認知されていることが判明した。
しかし、誤解されている部分もまだ多い。「摂食障害は、ダイエットが一番の原因だと思う」という設問には68%が「そう思う」と答えたが、これは誤りだ。臨床心理士の小原千郷さんは、同社のリリース内で
「摂食障害の発症には、その人の生まれ持った体質やストレスなどが関連し、ダイエットなどのただ一つの原因から起こるわけではありません」
と説明する。確かに、過度なダイエットが発症の引き金になることはあるが、それが最も大きな誘発材料ではなく、要因を精査する必要があるという。
調査では、「拒食症の人は、自分の意志で拒食をしていると思う」に「そう思う」と答えたのも36%ほどいる。また、過食症についても「強い意志があればやめられる」と思う人は27%と、3割ほどいると判明した。どちらも間違った認識である。
小原さんは、「拒食症の拒食は、体重を戻して健康になりたいと思っても、怖くて食べられないのが特徴です。過食症の可食は『自分の意志でコントロールできない』のが特徴です」と強調していた。
身近に患者がいる人は、疾患への理解が進む傾向
摂食障害についての情報に触れた経験の多さと、疾患への偏見の高さも検討した。その結果、テレビ、ネット、学校の保健の授業、専門家の書いた本や講演の4つすべてで、情報を見聞きしたことが多いほど、疾患への偏見は低くなる傾向がみられた。
また、摂食障害を持つ人に「まったく会ったことがない」人よりも、「身近ではないが会った」人、「身近で会ったことがある」人のほうが、偏見度合が低かった。
小原さんは調査を総括し、
「身長に生まれつきの個人差があるように、体型にも生まれつきの個人差があり、女性の魅力はその内面も含めた総合的なものです。美容について考える際も、体重・体型にとらわれすぎず、自分に合った健康的な『キレイ』を求めることが大切です」
とコメントしている。