鉄道係員への暴力、6割が飲酒後に 終点で起こされ立腹し殴りかかるケースも
暴力行為の発生場所として最も多かったのは「改札」(38.2%)。泥酔した利用者がIC乗車券をタッチしないで自動改札機を通ろうとし、通過できないことに腹を立てて駅員に暴力を振るうケースがあったという。
続いて多かった場所は「ホーム」(33.7%)や「車内」(14.9%)で、酔いのあまり終点まで寝てしまい、係員が起こそうとした際に殴りかかる例があるという。加害者の年齢は「20代以下」(14.0%)が最も少なく、「60代以上」(21.3%)が最も多かった。
同協会は、暴力行為件数が前年度より減った理由として、「監視カメラの駅構内・車内への設置」や「啓発ポスターの掲出」などが抑止力になったためと分析している。中でも啓発ポスターについて、
「利用者に『暴力行為は犯罪』『鉄道会社は刑事事件として扱う』という認識を広めた」
と、暴力行為に対する人々の見方を変えるきっかけになったとしている。
8月と12月に暴行件数が増加する理由
また、全暴行件数のうち、62%(440件)が飲酒をした人によって引き起こされていることも判明した。飲み会シーズンである8月と12月に発生件数が増加したり、午後10時~午前5時までの深夜に多く発生したりするのも、こうした背景があるようだ。
酔った人の対応には駅員でなくても苦慮するものだが、鉄道各社ではどのように対応しているのか。広報担当者は、駅係員に研修で行う「2つのパターン」を明かす。
「一つは、酔っ払ったお客様へ対する係員の接遇面の向上です。苛立ちが顔に出てしまうなど、ぞんざいに扱わないようマナー向上を図ります。もう一つは、自分の身の守り方です。万が一暴力を振るわれそうになった場合にどう身を守るかを、国交省の方をお呼びし、実技をして学びます」
女性係員が手に負えない場合には、男性係員を呼ぶという対策も取るという。
暴力行為の件数は2年連続で減少となったが、それでも700件台と依然として高い水準を保っている。鉄道各社は7月7日から9月6日までの2か月の間、「見逃しません!その暴力、犯罪です!」と銘打ったポスターを駅構内や列車内に掲示し、引き続き暴力行為の減少に取り組んでいくとのことだ。