インスタの青汁ダイエットアカウント、実は「ステマ」だった 業者が謝罪、サイト閉鎖へ
問題になったのは、「ダイエット中!29歳二児の母(ID: hk9060_diet)」というアカウントだ。「29歳、2人の子持ち、デスクワークのパートをしていて運動苦手。むくみ便秘ひどい下半身デブタイプ。157cm。スタート時55kg、体脂肪率27%」の一般女性がダイエットに挑む様子を綴っていた。
体重の経過やストレッチ方法、食事内容などの生活感ある投稿や、コメントに丁寧に返答する様子が見られ、フォロワー数は2万3000人を超えていた。6月12日には、ダイエット開始から5か月で体重が8キロ減ったと報告。それを支えたものとして、プロテイン摂取や筋トレ、糖質制限の食事の他、
「食前にホット青汁を飲む!これが一番大事でした!」
と感想を述べていたが、一見してあからさまな宣伝と分かるような投稿はほとんど無い。食事画像のコメントでおすすめの青汁商品を聞かれた際に
「私はいつも『いろはに青汁』というサイトのランキング上位を数種類買ってローテで飲んでます。ドラッグストアのは当たり外れ大きくてまずいの引きやすいので、しっかり試飲レビューされてるサイトでのおすすめを選ぶのがおすすめです!」
と返答したり、自身が信頼しているサイトとして「いろはに青汁」を挙げる程度だった。
「いろはに青汁」は8月30日に閉鎖されている他、該当のインスタグラムアカウントも9月1日18時を持って削除すると発表された。同社は、問題になったアカウントと別に公式アカウント(ID:irohanihaha)も持っていたが、こちらも同じく9月1日に閉鎖される予定となっている。
「インスタ経由で流入してくれるユーザーは、企業にとっておいしい存在」
ステマに関しては過去に、サイバーエージェントが運営するアメブロ上で、複数の芸能人が行っていたことが判明し問題になった。中にはステマ発覚が原因で表舞台から姿を消した芸能人もいる。SNSマーケティング業界関係者は、最近ではこうしたステマが、ツイッターやインスタに場所を移して横行しているようだと話す。
「大手の広告代理店の下請けをしているような中小規模の業者が裏メニューとして用意していたり、個人アフィリエイターがやっていると聞きます。手動かボットかは業者によりますが、フォロワーを増やすために地道にアカウントを育てている業者もあるようです」
ステマ用のアカウントを複数運用し、ニュースリリースや商品情報を流して互いにいいねを押しあい、そこから、業者と知らずにフォローしている一般ユーザーに拡散していく仕組みだそうだ。
インスタ経由で流入してくれるユーザーは、企業にとって非常においしい存在だという。
「アカウントをフォローする、というアクションを既に取っているため、検索でただ流れてきたユーザーより商品を購入してくれる可能性が高いのです。また、SNSからの流入があるということは、それだけ生きたユーザーが来ている証になります。その結果、SEO評価が上がって、検索順位が上昇することもあります」
こうした背景もあり、「インスタでのステマが無くなることは無いでしょうね」と話していた。
また、ITジャーナリストの井上トシユキ氏は、ステマアカウントを見分けるポイントとして「不自然なフォロワー数・いいね数・褒め合い」を挙げる。やはり、中小広告代理店が自社で持つアカウントを使い、フォロワー数やいいね数を釣り上げているケースが珍しくないという。「通常のアカウントかステマかどうか判別するのは難しいが、こうした特徴があったら警戒して見ておくのが良いだろう」と語った。
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