尾木ママ、iPS論文不正で国の責任指摘 「大切な分野には、国が全額ふんだんにお金投入すべきではないでしょうか?」
京都大学のiPS細胞研究所の研究者が書いた論文に、研究の改ざんとねつ造が見つかった問題が波紋を広げている。
問題になった論文は、現在iPS細胞研究所で進行・計画されている臨床研究や治験とは無関係だが、同研究所が1月22日に開いた記者会見で、所長でiPS細胞研究の第一人者である山中伸弥氏は、論文不正を防ぐことが出来なかったことへの責任として辞任も視野に入れていると明らかにした。
こうした中、山中教授に辞めないで欲しいという声が各所から上がっている。尾木ママこと教育評論家の尾木直樹さんは1月23日にブログを更新し、「山中教授がiPS細胞研究所所長を辞任したら、日本だけじゃなく、世界のiPS細胞研究に大きな影響を与えることが心配です!」と自身の思いを綴った。
「人件費節約のために、若い研究者を正規雇用出来ず、任期付き雇用が教授の4割にも達する異常事態」
尾木さんは、全国で論文不正問題が続出している背景に、研究費用や大学運営費の逼迫があると言う。
「東大も含めて、全国的に著名な研究者も含めて論文不正問題が続発している背景には、国が研究費や大学の運営費を大幅に削減して、各大学は人件費節約の為ために、若い研究者を正規雇用出来ず、任期付き雇用が教授の4割にも達する異常事態になっていることがあるのです」
国立大学は法人化以降、国から支給される運営交付金が毎年約1%ずつ削減され続けるなど、経済的に余裕がない状況が続いている。京大のiPS研究所でも9割以上の教職員が非正規雇用で、山中所長は研究所ホームページやメディアで、研究資金の寄附を募っていた。論文不正を行った研究者も有期雇用だった。
尾木さんは、研究者が不正を行ったのは「任期付き雇用で早く成果を出さないと任期の延長をしてもらえないからだと言われています。成果を焦ったのです」とコメント。その上で、
「iPS細胞研究なんて大切な分野には、国が全額ふんだんにお金投入すべきではないでしょうか?」
と、国全体で研究を支えていく必要性を訴えた。