クリエイター招致で「日本のシアトル」を目指す!―福岡市・山下龍二郎氏に聞く「地方都市の野望」とは?
福岡市はオフィスが安く、人材豊富で住みやすい
――なぜいま、福岡市に企業が集まっているのでしょうか?
山下:多くの大学・専門学校等から毎年輩出される豊富な理工系人材を背景に、民間企業が集積・成長し、福岡市を引っ張ってくださったという側面があります。
市では1980年代からIT関連産業の振興に力を入れてきましたが、これが奏功し、大手エレクトロニクス企業の研究・開発施設をはじめとして、多くのシステムインテグレーター企業が集積をしてきたんです。
そういった教育機関やIT関連産業の集積という素地があり、その後のWebシステム企業やデジタルコンテンツ企業の誕生、成長につながってきたのだと思います。そこから、今で言うレベルファイブ社をはじめ、成功する企業が出てきて、「福岡っていいんじゃない」と言ってもらいやすくなりました。
――最近は、クリエイティブな企業が増えているような気がします。
山下:福岡とクリエイティブ産業の親和性が高い理由は、3つあります。1つめは、福岡は都市でありながら東京よりも地価が安いこと。ITを使ったクリエイティブ産業は、工場のような大規模な設備は必要なく、スモールオフィスからスタートできますよね。ネットインフラさえ整っていれば、東京よりも低廉なコストでオフィスを構えられます。
2つめは、人材が豊富なこと。福岡市は人口に占める15~29歳の若者率が高く(政令指定都市14都市中1位)、大学生の割合も高い(同2位)。多くの理系大学生も輩出していて、優秀な学生が多いことは企業に評価いただいています。
3つめの「住みやすさ」も、働く人には大事です。「食事がおいしい」「通勤時間が東京より短い」「海と山にすぐ行ける」「人や街が開放的で親しみが持てる」といった点は、首都圏から転勤したビジネスパーソンから良く聞かれる評価です。クリエイティブ産業で働く方からは、「オンオフを切り換えやすい」という声も聞きます。マーケットを世界に求める企業には、「アジアとの近接性」も評価いただくポイントのひとつですね。