衆院本会議で9日、幼児教育や保育を無償化する「子ども・子育て支援法改正案」が、与党などの賛成多数で可決された。しかし、保育の現場では待機児童や保育士不足などが問題視されている。無償化で需要が顕在化し、待機児童が更に増える恐れもあり、無償化に疑問を抱く国民は多い。
4月9日の「モーニングCROSS」(MX系)では、認定NPO法人フローレンスで代表理事を務める駒崎弘樹氏が保育園・幼稚園の入園の義務化を提言した。駒崎氏は「保育園や幼稚園に行っていない子供の数が、3歳が9万人、4歳が2.8万人、5歳が2万人」というデータを示す。3歳児以降は保育園や幼稚園に子供を通わせるのが一般的だが、約14万人の子供が保育園や幼稚園に入っていない現状がある。(文:石川祐介)
「国際社会では義務教育の年齢が下がっている。日本は遅い」
駒崎氏は続けて、北里大学医学部講師の可知悠子氏が実施した調査結果を引用し、「所得が一番低いほど、保育園や幼稚園に行っていない」と指摘した。保育園や幼稚園は給食があり、虐待やネグレクトにも気付けるので子どもたちのセーフティネットになるが、その場所にいない子どもたちは行政も状況を把握出来ず、適切な支援をしにくくなる。
「この研究で、所得の低い層、外国籍の子供達、あるいは障害があるとか社会的に弱い立場にある子供達が保育園や幼稚園に行けない状況なのがわかった」
駒崎氏は保育園を無償化してもこの状況は続くと主張する。せっかく無償化したのであれば「週1日でも良いから保育園に行きましょう」と、保育園を義務化することが子供達のためになると提言する。
「フランスでは3歳児以降は保育学校に99%の子供が行ってるんですよ。それはセーフティネットを小さい頃から張らなければマズいっていうことがわかってるからです」
無園児は保育園や幼稚園に入っていないだけでなく、社会からのサポートが受けられない”無縁児”になりやすい。そのため、無償化するのであれば義務化もセットにすべきだと語気を強める。
「国際社会では(義務教育の年齢が)下がっている。なぜかと言うと、就学前教育が最も投資対効果が高いというデータが1990年代から出始めているから。それから30年経ってようやく日本で『そうだね』って言われ始めた。日本は遅い」
子供の安全を守るためだけでなく、経済対策としても子供に投資することは重要だ。無償化だけにとどまらず、保育園や幼稚園をどう充実させていくか、今後議論を深めていくべきだろう。