駒崎氏は続けて、北里大学医学部講師の可知悠子氏が実施した調査結果を引用し、「所得が一番低いほど、保育園や幼稚園に行っていない」と指摘した。保育園や幼稚園は給食があり、虐待やネグレクトにも気付けるので子どもたちのセーフティネットになるが、その場所にいない子どもたちは行政も状況を把握出来ず、適切な支援をしにくくなる。
「この研究で、所得の低い層、外国籍の子供達、あるいは障害があるとか社会的に弱い立場にある子供達が保育園や幼稚園に行けない状況なのがわかった」
駒崎氏は保育園を無償化してもこの状況は続くと主張する。せっかく無償化したのであれば「週1日でも良いから保育園に行きましょう」と、保育園を義務化することが子供達のためになると提言する。
「フランスでは3歳児以降は保育学校に99%の子供が行ってるんですよ。それはセーフティネットを小さい頃から張らなければマズいっていうことがわかってるからです」
無園児は保育園や幼稚園に入っていないだけでなく、社会からのサポートが受けられない”無縁児”になりやすい。そのため、無償化するのであれば義務化もセットにすべきだと語気を強める。
「国際社会では(義務教育の年齢が)下がっている。なぜかと言うと、就学前教育が最も投資対効果が高いというデータが1990年代から出始めているから。それから30年経ってようやく日本で『そうだね』って言われ始めた。日本は遅い」
子供の安全を守るためだけでなく、経済対策としても子供に投資することは重要だ。無償化だけにとどまらず、保育園や幼稚園をどう充実させていくか、今後議論を深めていくべきだろう。