女性は入社1年目から海外出張し、27歳でシンガポールに駐在員として赴任。同社初の女性石油トレーダーとして活躍していた。同じフロアで働く先輩男性社員と結婚し、2回の産休・育休を経て2年前に職場復帰している。
キャリア面談で課長から指摘されたのは、3年7か月に及ぶ産休・育休で生じたブランクだ。課長はブランクを「言ってみれば同期の中で遅れている」と表現する。
「職能部門(編注:経理や総務などの管理部門)は9時から5時で時間も読めて出張もない。働くお母さんには適しているみたいな考え方があって、そういう人が圧倒的に多い」
子育て前のように時間の自由が効かず「出張に明日すぐ行けと言われても行けない」働き方に歯がゆさを感じている女性に、課長は総務や経理などの部門への移動を提案していた。
ネットではこうした表現や異動提案に「時代錯誤だ」「肩たたき」と批判が挙がった。業務経験の浅い社員の伸びしろに期待して異動を提案するなら、まだ分かる。入社して16年、産休・育休以外は資源エネルギー部門で一貫してキャリアを積んできた女性を別部署に異動させるのはどうなのか、というのだ。
一方、「長期間休んでたなら周りから遅れてるのは当たり前」「育児のことも考えて残業や出張の少ない部署を提案してくれてる」と、課長の提案を会社なりの配慮として好意的に解釈する人もいる。「会社側の対応としてはむしろいい方だと思う」という声も出ていた。