「業界そのものが斜陽産業であるので、仕方がないが年収はさほど上がっていないのが現状。基本給についても世代間の格差が大きく、バブル期に入社した世代と平成氷河期世代ではかなり差があるため不公平感は否めない」(建設コンサルタント、30代前半、男性、正社員、年収750万円)
「一昔前は20代社員でもけっこうなボーナスが出てたとのこと。『昔はよかった』的なムードはある。バブル世代・50代など中高年社員のボリュームが大きく、できる人とできない人の差も大きい。逆に20代・30代はいわゆる氷河期世代なため、現実的でコツコツやる人も多い気がする。たいした仕事をしていなくても、中高年世代は私の倍近い年収を手にしていることを思うと、世代間の不公平感は確実にある」(技術関連職、20代後半、女性、正社員、年収550万円)
「2004年頃から長くいる派遣社員は、単なるアシスタント的な事務職でもどんどん正社員になっていった。超氷河期に何とか就職が決まった私たち社員は正直複雑な気持ちだった」(物流企画、30代後半、女性、正社員、年収450万円)
就職氷河期世代は過酷な就職活動を強いられた世代だ。景気悪化で企業に余裕がなかったため、高学歴でも安定した職につくことができず、アルバイトやフリーターにならざるを得なかった。運良く入社できた場合も給料は少なく、倒産などでリストラにあう人も多かった。
当時「新卒採用」で入社するのは狭き門だ。新卒の正社員で入社できた人はある意味エリート中のエリートと言ってもいい。しかしそんな氷河期世代と、好景気で大量採用時代のバブル期に入社したバブル世代とでは、給与形態や昇進のペースに大幅な差が生まれている。
こうした状況から、口コミではバブル世代と氷河期世代の待遇差を嘆く声が見られた。派遣社員から簡単に正社員になれた世代と、正社員になるためにとてつもなく苦労した世代。たった数年の違いが大きな差を生んでしまっている。
社員の年齢構成がアンバランスに「30代の社員がまったくいない」
「就職氷河期の煽りで30代の社員がまったくおらず、40代以上の社員も若者との接し方が分かってないと思われる。向こうに理解がない以上、権力的に考えてどうしても昭和的な体質が幅を利かせることになる。もう少しバランスが良くなればいいと思うことが多々ある」(ルートセールス、20代前半、男性、正社員、年収300万円)
「就職氷河期の年齢層が、中途入社をし会社の従業員の多くを占めているので、非常に不均衡な年齢構成である。そのため、これらの年齢の人間が40代50代となったときに会社として存続するのか、非常に疑問がある」(システムエンジニア、30代前半、男性、正社員、年収529万円)
氷河期世代を生んだ約10年の間に、企業の従業員の年齢構成はアンバランスになってしまった。当時採用を抑制した企業は、現在になって働き盛りの30代、40代が不足する事態に陥っている。また、非正規雇用やアルバイトで20代を過ごした氷河期世代たちは、正社員として研修を受けられず実績も積めなかったため、人材派遣会社などを利用して未経験の企業に転職する場合もある。氷河期世代にとってはなんとかたどり着いた転職先だ。一方で、受け入れる企業は「即戦力」を期待するため、ミスマッチが生じてしまう。
これまで国にも企業にも置き去りにされてきた氷河期世代。少子高齢化で人手不足の今、この世代の労働環境と収入を安定させることが急務だ。