はてな匿名ダイアリーに10月20日、「パソコンが無い時代ってどうやって仕事してたの?」と疑問を投げかけるエントリがあった。
「自分の仕事はパソコンの無い時代にはそもそも無いんだけど、他の仕事も含めてどうやって仕事してたのか想像つかない。効率の悪さがすごそう」
と生産性の悪さを予想していた。短い文だが反響は大きく、様々なコメントが寄せられた。
日本にパソコンが普及し始めたのはウィンドウズが発売された1995年以降。アラフィフ筆者も会社勤めをしていたころで、以前は経理用のオフィスコンピュータやワープロを使用していた。現在のようにソフトさえあれば色々できるものではなく、紙の帳簿もつけていた。(文:okei)
「たくさん人を雇って、手分けしてやっていた。もっとゆったりね」
確かに今と比べると効率が悪かったが、そういうものだと思っていたし、郵便局までゆったり歩いて何気に息抜きしていたな、と思い出される。ブックマークのコメントは、筆者のようにしみじみ回顧する声が相次いだ。
「そりゃ手書きで製図したり、(中略)多数の女子工員が算盤はじいて強度計算したり」
「今70過ぎの爺さんに聞いたけど、庶務係の女の子がそれはもう沢山いて、勝手に遊びに行くわ飲みに行くわしているうちに出生率上がってたとか言ってた」
電卓での検算はもちろん、”方眼紙に線を引くだけの女性事務員”がいたという証言も。50代以上からだろう、景気の良さもあり、どこか楽しそうな雰囲気さえある。
「地方の未知の小都市に出張する時は、昭文社の都道府県地図帳買って地理把握して、時刻表で行き方決めて、図書館で行先のタウンページ見て適当なビジホの見当付けて、電話して宿代確認して予約してました」
など細かく解説する人も。確かに効率は悪そうだが、個人の問題解決力は鍛えられそうだ。
「効率の悪さがすごそう」に対して、「だから、みんなに仕事があったんだよ」「たくさん人を雇って、手分けしてやっていた。もっとゆったりね」という指摘も目立つ。多くのコメントから、アナログ仕事を社員の数にものをいわせて頑張っていた様子がうかがえた。
「効率が上がり、一人で受け持つ仕事が増えた。なのに給料は増えない」
一方で、「電話ばっかでとにかくうるさい」や、「現代の生産性と比較すれば、彼らのやっていたことがもはや『仕事』と呼べないことは明らかである」など、アナログ仕事のやり方に厳しい声もある。結局、時代の変化によって淘汰されたのも仕方ないのだろう。
しかし、効率がよくなったから働く人がラクになったかと言えば、逆だとする意見も多かった。「建築図面などは仕上がりは今より遅かったし一人が受け持つ案件も少なかった」という人は、
「パソコンが普及して図面がより短時間で上がり、一人が受け持つ案件が多くなった。なのに、なぜか給料は増えない。逆に減っている謎」
と首をひねる。結局経営側が人件費を削減出来ただけなのか。「メールによって24時間低コストで通信可能」という時代では、常に休まらない人も多いだろう。
コメントの中には、「電話とFAXと郵便とワープロと電卓とコピー機が大活躍してた時代だったよ」として、
「一般職の女子がたくさんいたよ。技術の進歩によって『なくなる仕事』をリアルタイムで目撃してきたよ。あれから四半世紀、また来そうだね」
という声もあり、ヒヤリとさせられる。
ただ、この話題の元である投稿者の仕事は「パソコンのない時代にはない」というから、仕事は別の形で増えてもいる。筆者もネットとパソコンがなければ今の仕事はなかったただろう。テクノロジーの進化によって、人間のほうが変化を求められている。今ならさしずめ人工知能(AI)だろうか。それが働く人にとってメリットばかりなら良いのだが。