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「大学指定の履歴書使え」と就職課 就活生は「5枚100円」を生協で買っている

「手書き」「パソコン」論争は絶えず

「手書き」「パソコン」論争は絶えず

3月に入り、2016年卒の就活も本格化してきた。就活に望む学生たちを疲弊させるものの1つが、企業に提出する「履歴書」の作成だ。数十社を受ける人も珍しくない中で、多くの学生が「手書き」を求められている。

この問題に対し、大学ジャーナリストの石渡嶺司氏はTHE PAGEへの寄稿の中で、「採用担当者に取材すると、ほぼすべて、『手書きの方がいい』との回答で揃いました」と書いている。その一方でコメント欄には、社会人から手書き必須の風潮に否定的な書き込みが数多く見られる。

「手書き履歴書は、多数の企業に応募せざるをえない学生に、余計な負担を強いている」
「採用担当したことあるけど、手書きかどうかなんて全く話題にもならなかったね。内容が大事。むしろ手書きじゃないのが理由で落ちるような会社は避けた方が良いね」

「手書きかパソコンか」以前の壁が立ちはだかる

都内の有名大学に通う女子学生のAさんに話を聞くと、確かに「履歴書は手書きで書いていますね」という。その理由は、上記の記事では指摘されていないものだった。

「大学の就職課から、『履歴書は大学指定のものを使ってくださいね』と言われるんですよね。大学生協で売っている校章入りの紙で、5枚100円なんですが」

就職課がなぜこの使用を推奨するのか、理由は分からない。ただ、会社側の募集要項にも「大学指定の用紙を使うことが望ましいです」と書かれていることもあるという。

要するに「手書きかパソコンか」論争以前に、「大学指定の用紙を選ぶべきか否か」という問題があるわけだ。この指定用紙については、前述の石渡氏が別の記事で、

「大学指定の履歴書を使わず、市販のものを使う、ということはあれこれ書き込まなくて済むように学生が楽をしている、逃げている、そう見る採用担当者がいます」
「大学指定の履歴書があるのにそれを使わない、ということは『決められたことを守れない学生』である証拠」

と言及している。ここまでリスクがあるといわれたら、学生たちも従わざるを得ない。

「新卒向けのデータフォーマット」できないか

それでは普通の市販の履歴書と、大学指定の履歴書は何が違うのか。Aさんによれば、大学指定のものは「自己PR」や「志望動機」に関する記述欄の数が多かったり、スペースが大きかったりするのだという。

また、校章が入っているため、企業側からは一目で大学を判別できるという利点もあるかもしれない。Aさんのような有名大学であれば「学歴フィルターに通りやすいのではないか」という期待もわくので、自然と指定用紙を選ぶことになる。

しかし、それと引き換えに「手書き」という選択肢しかなくなるとすれば、これは悩ましいことだ。もしも「大学指定の履歴書」と同じ形式のワードやPDFのフォーマットが存在すれば、それを利用する学生もいるに違いない。Aさんも、

「そういうものがあったら、間違いなくパソコンで作りますね」

と答えている。校章入りのものは学歴を偽装しやすい、という指摘もありそうだが、それは手書きの指定用紙でも同じこと。冒頭の記事では採用コンサルタントが、

「メンタルの弱い学生は震えた字を書くから、手書きが必要」

と指摘しているが、履歴書の文字だけでそんな決め付けをされてはたまらない。同じことを繰り返し書く作業より、業界研究をしたり自分の人生のあり方を考えたりする方に時間を割くべきだろう。

大学側が「指定履歴書」何百セットの売り上げをアテにしているとは思いたくないが、大学指定のデータフォーマットができないものか。本当は新卒向けであれば、校章も不要なのかもしれない。

あわせて読みたい:採用担当者が語る、「手書きの履歴書」不要論

※ウェブ媒体やテレビ番組等で記事を引用する際は恐れ入りますが「キャリコネニュース」と出典の明記をお願いします。

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