“晴天”は市場が成長しており、業績の安定によって「快晴」「晴れ」「薄日」にわけられる。”曇り”は、市場は停滞しているか好転の兆しが見られる状態。”雨天”は市場が縮小傾向で、業績の回復見込みによって「小雨」「雨」「雷雨」に分けられる。
2020年度の業界展望は、”晴天”と予想される分野が75で、2019年度より3増加となっているが増加幅は緩やか。
一方、”雨天”は51分野で、50分野を上回るのは2016年度以来。また雨天は昨年度より7分野増加しており、この増加幅は消費税が8%に引き上げられた翌年の2015年度に次ぐ規模となった。全体の業況は足踏み局面で、製造業などの一部業界では後退する見通しだ。
天気が「改善」されたのは11分野で、「悪化」は16分野となった。2年以上連続で「悪化」が「改善」を上回るのは、リーマン・ショックが発生した2006~2009年度(4年連続)以来、11年ぶりとなる。
製造業はリーマン・ショック級の業況悪化がありえる?
改善する分野に関しては、東京五輪による特需や、2019年度に落ち込んだ需要が持ち直すことへの期待感を見込んでの予想となっている。
「半導体」「工作機械」(薄日)などは、2019年度に米中貿易摩擦による世界市況の悪化影響を受けたが、5G通信など先端需要の回復を期待。「地上波テレビ放送」(薄日)は、東京五輪開催による広告需要の増加を見込むが、新型コロナの感染動向によっては業績が変動する可能性もある。
一方、「化粧品製造」(薄日)は、東京五輪開催による消費効果を期待するが、新型コロナの感染拡大に伴う中国市場の停滞、生産停止といった影響を懸念している。また「移動体通信(MNO)」(曇り)は楽天モバイルの本格的なサービス開始で、顧客獲得競争は激化する模様。大手キャリアは料金プランの見直しやサービス差別化が求められる。
天気図の改善・悪化を指数化したTDB業況インデックス(DI)の2020年度見通しは、全業界が48.7と予想。2019年8月時点(48.1)から0.6ポイント上昇しているが、引き続き業況の判断基準となる50を下回る見通し。緩やかな悪化局面が当面続くとみられる。
製造業のTDB業況DIは40.3。全業界を8.4ポイント下回り、2019年(49.2)から大幅に悪化する予想だ。過去10年間で最低となり、東日本大震災発生直後の2011年度(51.2)を下回り、リーマン・ショック級の業況悪化も予想される。
米中貿易摩擦や中国市場の減速を理由に、鉄鋼分野などでは業況が悪化している。さらに新型コロナの感染拡大に伴う生産停滞・消費縮小を懸念することで、先行きの業況を現状維持から引き下げる業界が出たことも要因となっている。