緊急事態宣言の解除以降、会社帰りの人々が街を行き交う”見慣れた日常”に戻りつつある。しかし、新型コロナウイルスが残した爪痕は甚大だ。これから売上の回復や業務の遅れを取り戻すために奔走することが予想される中、退職を決意した人も多い。キャリコネニュース読者からは
「緊急事態宣言中、ずっと在宅勤務の部署がある一方、自分の部署には土日も含めて出社させるように指示があり辞めようと思った」(東京都/40代男性/サービス系)
「マスク不足の時に、パートの私にだけマスクをくれず『1時間も並べば買える』と言われ退職を考えた」(千葉県/50代女性/金融・保険系)
「コロナの状況なので時差勤務を願い出たら、自主退職勧奨をされた。持病があることを知りながら雇っておいて、何かあったら首を切るやり方に『ああ、いずれ殺されるな』と思った」(東京都/40代女性/IT・通信系)
といった経験談が寄せられている。(文:鹿賀大資)
「関係ないことを、ごちゃごちゃ人に話すな」と口止めまで
九州で建築・土木技術職をする50代男性も、コロナがきっかけで退職を決意した当時の心境を振り返る。男性と一緒に働く現場監督が、自らにも濃厚接触者の疑いがあると会社に打ち明けたことで事態は急変。監督は、上司である所長に「家族が発熱した」と伝えたという。監督の家族というのは、当時、クラスター感染が報じられた地元の病院に出入りする関係業者だった。
「監督が職場の危険を案じ所長に自粛を申し出たところ、所長から『まだコロナかどうかわからんちゃろ?そんな簡単に休まれんやろ?』と言われたそうです。それでも監督は『現場の皆に迷惑かけたくないので、検査結果が出るまで休ませて下さい』と再びお願いしたそうです」
しかし、所長は監督の話を受け入れずに「関係ないことを、ごちゃごちゃ人に話すな」と口止めまでしたという。経緯を聞いた作業員の一人は翌日、全員が集まる朝礼で「この現場の家族に発熱者、つまりコロナの疑いがある人がいるのに所長は隠蔽しようとしてる」と切り出したという。
「すると所長は『いやいや、あなた方には関係のないことだから……』と言いました。たまらずその作業員が『この緊迫したご時世に関係ないはないやろ』と返すと、所長は『何でそんな突っかかって来るんですか?私がそんなに悪いことをしていますか?まだわからないだから言わなくてもいいでしょ?』と……」
現場は4日後に稼働停止 「やれやれ……」かと思いきや
結局この騒動から4日後、現場はストップし、社長が激昂したという。
「社長は告発した協力会社の作業員を呼び出し、遠回しにクビにしました。しかも監督は左遷同様の扱いで、別の現場に飛ばされました」
男性は「人命よりも、契約者と工期と金が最優先だと気づき、会社には不信感しかありません。土建業は施主の言葉が命より重いようです。こんな世界にはいたくはありませんが、学校を卒業して30年これしかしてないので、会社を変えることくらいしか出来ませんでした」と綴っている。新天地での活躍を願うばかりだ。
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