陰口、悪口を言われない人はいない。だけど、直接その陰口を耳にしてしまう人というのは案外少ない。やっぱり、みんな当人に面と向かって文句を言うのは怖いものだし、本人のいないところで喋ってしまうものだ。
が、たまにそれが本人の耳に入ってしまうことも。陰口を言っている人たちにとっては「やっべえ!」ってな状況だろうけど、そんなのを聞いてしまう当人もかなりつらい思いをすることになる。今回は、なんともいたたまれなくなる悲しい話を紹介したい……。(文:松本ミゾレ)
「まあちょっと嫌われてたのは薄々勘付いてた」
先日、おーぷん2ちゃんねるに、こんな悲しいスレッドが立った。「飲み会翌日、『なんでワイ君誘ったん?』という社内メールがCCで届くw」ってのがそれだ。
もうタイトルだけで「うわぁ」って気持ちになってしまう。この飲み会、同期数名が集まるといった規模だったようだ。スレ主はあまり同期と仲良くなかったというが、他のメンバーとしては、微妙な立ち位置のスレ主もとりあえず呼んでおこうと、考えたのだろう。無難である。
だけどきっと、呼んだはいいものの「呼ばなきゃ良かったわ」と思われてしまった、ということのようだ。スレ主はこの仕打ちを受けて「まあちょっと嫌われてたのは薄々勘付いてた」とも書き込んでいる。悲しい……。
メールを送った同僚もうかつである。複数人に送信する社内メールからスレ主のアドレスをうっかり抜き忘れて送信しちゃってるわけだから。社会人として、これはあまりにも粗忽なミスだ。というか社内メールで愚痴を送るなよ、という気持ちにもなる。
ちなみにこのメールを受けてスレ主は「では、今後は下名抜きでお願いします。また、今後お仕事でご一緒する際は変わりなくよろしくお願いします」と返信するそうだ。無難だしカドが立たない。たとえ飲み会で全然面白い話ができなくても、こっちのほうがよっぽど“社会人”している。立派だ。
陰口は盛り上がるものだけど、どこで本人に聞かれるか分からない…
上記のような事態っていろんなところで発生しているものだ。それこそ今はグループLINEで会社のメンバーが連絡を取り合うことも多いけど、本来のグループLINEとは別に、特定の誰かを省いたグループLINEを作って、そこでチャットで愚痴ってる人なんてのもいるよね。
そんでもってしばしば、その愚痴・陰口OKなグループLINEじゃなくて、間違えて本来のグループLINEで愚痴とか陰口書いちゃってすぐ消しちゃうみたいな人もたまに見かける。
似たようなことは、僕も以前経験した。まだ19歳のとき、当時働いていたパチンコ屋でバイトの人たちが、更衣室でSさんというコワモテでワキガな従業員の陰口で盛り上がっていた。
僕もそのとき同じ場所にいたんだけど、同僚社員の女の子にもワキガのYちゃんってのがいたので「ワキガの話で盛り上がったらさすがにアレか」と思って聞こえないふりをしていた。それに、ワキガは自覚症状もない。もしかしたら僕もワキガだったらとんだお笑い草だ。
でも、Sさんのワキガ話で盛り上がる面々は徐々にヒートアップ。「Sさんの着た後の上着絶対着たくないわ~」とか言って大騒ぎしていたんだけど、すると突然「バタン!」という大きな音。一同が驚いてそちらを見ると、鬼の形相をしたSさんが。実はSさん、普通に更衣室で着替えをしていたのだ。
なにせコワモテ。一同は蛇に睨まれたカエルのように押し黙り、そそくさと更衣室を出て行くほかなかった。あの気まずい雰囲気。今思い出しても心がざわざわしてしまう。
件のスレ主もまた、Sさんのような気持ちになったことだろう。陰口は、楽しい。楽しいけども、やっぱり言わないに越したことはないのだ……自分のためにも、職場のみんなのためにも。