LUX「#性別知ってどうするの」 “性別不問”の履歴書導入から1年、採用現場はどう変わった? | キャリコネニュース
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LUX「#性別知ってどうするの」 “性別不問”の履歴書導入から1年、採用現場はどう変わった?

履歴書から性別情報を除いたら?

履歴書から性別情報を除いたら?

人材採用の現場では「女性だから」という理由で、不採用となることがある。無意識に生じる性別への先入観をなくすため、トータルビューティーケアブランド「LUX」は2020年から「ラックス ソーシャルダメージケア プロジェクト」という活動を開始。その中で「#性別知ってどうするの」というキャンペーンを実施した。

同ブランドを展開するユニリーバ・ジャパンでは2020年3月から、新卒採用を含むあらゆる採用ルートで、履歴書から顔写真と性別欄をなくし、名前は名字のみの記載という”性別を尋ねない”採用選考を行っている。この新機軸の履歴書を導入してから約1年が経過するが、現場に変化はあったのか。ラックスのブランドマネージャー・河田瑶子さんに話を聞いた。

「日本ではまだまだ『女性・男性だから』という無意識の固定観念が存在しています」

ラックスの調査によると、採用の書類審査をすることがある会社員・経営者(424人)のうち約2割が「男性を優先して採用したことがある」と回答。また、「自社では採用過程において男女平等だと感じない」(26.6%)と回答した人も4人に1人に及んだ。採用現場では、性別における無意識の先入観(アンコンシャス・バイアス)が依然としてあるようだ。

ラックスの取組みに国内22の企業が賛同し、ユニリーバ・ジャパンのほか、ガイアックス、三井化学などでも選考時に性別の記入や顔写真を不要としている。

河田さんは「最終的なゴールは履歴書のフォーマットを変えることでなく、あくまで誰もが性別に関係なく自分らしく輝ける社会を作り上げることです」と語る。履歴書のフォーマット変更は、”性別に対して無意識の固定観念気づきを与えるための第一歩”としている。

「性別欄やファーストネームなどを取り除いたことで、『当たり前』を疑うきっかけを与えることが出来たと考えています。まずは無意識のジェンダーバイアスに『気づく』ことが大事ですが、日本ではまだまだ『女性だから』『男性だから』という無意識の固定観念が存在しています」

ラックスの調査では、男女の顔写真を表示した上で、「どちらがよりこの業界、職種を志望していると思うか」を聞くと、女性の写真は「美容・ファッション業界」「広報・マーケティング職」「金融/保険業」志望、男性の写真は「IT・エンジニア業界」志望だと感じる人が多かったという。

「企業側は性別よりも個々人の能力・適性が重要だという意識を持つことが必要です。就活生も、性別によって無意識に自分の可能性を狭めることなく、自分自身が心からやりたいとパッションを持てる職業を追い求めてほしいと考えています」

「『女性だから』という理由で採用・昇進が決まることもありません」

この取組みはラックス主導で行われ、ユニリーバ・ジャパンの採用活動にも取り入れられた。河田さんは「ブランドパーパスに基づいて大きなアクションを起こすことは初めてで、グローバル本社のチームも含め、大きな反響を呼びました」と話す。

「改めて採用担当者だけでなくユニリーバの社員の認識も統一されました。社会全体がよりよい方向になると信じております。昨今、SDGsに関心がある学生も年々増えており、実際に採用過程で『この取組みでこの会社に興味を持つきっかけになった』と話す学生もいます」

面接などで応募者の顔を見ることにはなるが、性別やファーストネームを質問することはない。入社後は法的な手続きに戸籍上の性別情報が必要になる場合があるが、あくまでも本人から直接人事に提出する。上司や同僚などに性別を知られることはない。

入社する社員の男女比について、ユニリーバ・ジャパン採用担当者は、「元よりユニリーバは多様性を重視しています。選考過程で性別で判断することはないため大きな変化は見られません」と話す。また、世間には「昨今の男女平等とは女性優遇なのでは」という人もいるが、

「弊社ではダイバーシティを重要視しており、確かに性別もその要素の一つではあります。しかし、価値観やリーダーシップのタイプなど、より広い意味での”ダイバーシティ”の推進をはかっており、『女性だから』という理由で採用・昇進が決まることもありません」

とコメントしている。あくまで能力や適性、意欲が評価の対象であり、採用活動が”性別”で左右されるべきではないとしている。

一方、人事的な観点からの懸念もあった。同社実施の新卒・中途採用だけでなく、取引のある人材紹介会社に対しても性別が判明する項目を除いた履歴書を作成してもらうことになる。

「手間が増えるため紹介が減ってしまうのではと思いましたが、ラックスの想いを前向きに考えてもらえており、協力いただいたおかげで想定していたほどの負担はかかっていません」

今後について河田さんは、「プロジェクトを通して、採用に限らず、社会に存在する様々な『傷み(=ダメージ)』に対してアクションを取っていきたいと考えております」とコメントしている。

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