三菱ケミカルグループが事業会社の垣根をなくすフラットな組織を実現「ワンチームでスピード感ある変革を」 | キャリコネニュース
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三菱ケミカルグループが事業会社の垣根をなくすフラットな組織を実現「ワンチームでスピード感ある変革を」

人事本部Japan人事部人材組織開発グループの増山栞さん

化学製品や産業ガス、ヘルスケアと多岐にわたる事業を展開する三菱ケミカルグループ株式会社(以下、三菱ケミカルグループ)は、2022年4月、事業会社ごとの経営体制から、グループ全社を一体的に運営する体制へと移行した。

グループ企業は625社、従業員数は7万人(2021年度時点)にも及ぶ。社会課題の解決を推し進める戦略を掲げ、「One Company, One Team」でさらなる事業の成長と描く未来の実現をめざす三菱ケミカルグループ。新体制のなかで必要となる人物像とは。人事本部で人材組織開発を担当する増山 栞さんに話を伺った。(文:千葉郁美)

グループの経営を一本化。効果的なシナジー創出に向けた新体制の構築

――御社は今年4月に大きな体制変更を実施し、事業会社ごとの経営からグループ全体を一体的に運営する体制となりました。非常に大きな組織となりましたが、この新体制にはどのような背景があるのでしょうか。

三菱ケミカルグループは2021年12月に発表した新経営方針「Forging the future 未来を拓く」において、効率性を追求した事業運営と事業の成長力を引き出す明確な戦略を定め、グループ内各社がよりシナジーを創出できるパフォーマンス主導型のグループになるべく、「One Company, One Team」の新体制がスタートした次第です。

2022年4月からスタートした組織体制

新体制の戦略的意義は「One Company, One Team」のカルチャーを持つフラットな組織を作ること、そして責任の所在の明確化を図ることにあります。新組織体制では、これまで事業会社ごとに担っていた人事や総務、ファイナンスなどを含むコーポレート機能を集約し、組織のスリム化を図っています。

――組織構造を根本的に変えていくことで、戦略をより効率的に実践していくということですね。御社が推進する経営戦略について教えていただけますか。

当社は大きく分けて4つの事業セグメントを有しています。その中でも「市場の魅力度」「グループの強み」「カーボンニュートラルへの寄与」の3つの評価基準を設け、それに基づき注力事業を選別して競争優位性がある成長市場にフォーカスしたポートフォリオ運営を進めています。

最重要戦略市場と位置づけたのは「エレクトロニクス」と「ヘルスケア&ライフサイエンス」の二つで、それぞれ当社のコア技術を用いてターゲット領域の更なる成長を目指しています。例えばエレクトロニクスであれば、電解液などEV用の電池に使用される材料と技術、ヘルスケア&ライフサイエンスでは食品の包装材やフィルムなどですね。

それ以外にも、当社が強みを有する機能性素材事業群では、それぞれの領域でさらに競争力強化を図っていこうとしています。

それから、重要な取り組みとしてカーボンニュートラルがあります。企業としての持続的な成長を達成しつつも、2050年までの着実なカーボンニュートラル実現を目指していきます。

さらに、石油化学・炭素事業においては分離・再編を進めています。これはカーボンニュートラル実現のために切り離すのではなく、独立化を進めることで国内の基礎化学産業の再編を主導していこうという動きです。

この事業は「装置産業」でとても規模が大きく、製造工程で大量のCO2が排出されてしまうのですが、CO2フリーあるいはカーボンネガティブを実現するにはかなりの設備投資や技術開発が必要となります。

これはとても単独の会社にできることではないという認識があり、パートナー企業と組んで設備投資や技術開発を進めようと一歩踏み出したという取り組みです。これによって産業全体のカーボンニュートラルを実現させたいと考えています。

事業会社がそれぞれ持つナレッジが実務の中で相乗効果を発揮

――新体制がスタートして2ヶ月余りが経過しました。フラットな組織づくりに向けた具体的な動きはありますか。

これまでは事業会社ごとにあったコーポレート機能が4月1日から集約され、私の所属する人事本部も各事業会社の人事担当者が三菱ケミカルグループとして一つのチームになって一緒に仕事をしている状況です。

まだ新体制が組まれたばかりなので手探りの部分も多いですが、やはりこれまであった事業会社の垣根がなくなったことによるシナジーをすでに体感しているところです。他の事業会社のメンバーと一緒に仕事をしていくなかで、ちょっとした手法の違いを知ったり、気づきがあったり。これまでにはなかったアイデアに触れることもあり、相乗効果を感じています。

――人事部門では、採用戦略や人材の育成計画などを定めて動かれるかと思います。グループ会社といえども事業ごとにやり方や価値観の違いなどもあるかと思いますが、今後はどのような方針で進めていくのでしょうか。

新体制における人事戦略全般の策定は早急に進めなければいけない部分で、One companyとして統合すべきもの、事業ごとに定めるべきものの整理も含め、策定しようとしています。現在のところは検討段階ですね。

採用活動については、昨年度から動き出しているものもありますので、今年度は事業会社ごとの動きが主となりますが、次年度以降に向けた検討を併走しています。

人材育成についても同様に、これまで事業会社ごとで執り行なってきた育成体系を鑑み、One companyとしてのあるべき体系の検討に着手しており、段階的に調整していくことになると考えています。

急速な変革をポジティブに捉え、チャレンジ精神を持つ人材に期待

三菱ケミカルグループの本社が入るパレスビル

――グループ全体で共通している人事戦略はありますか。

一つ重要な課題としているのは、ダイバーシティ&インクルージョンの推進です。 当社は経営戦略の一つとして、ダイバーシティ&インクルージョンの推進を掲げており、属性の多様性だけではなく「内なる多様性」を引き出して、新たな発想やイノベーションを生み出す組織につなげることを目指しています。

ダイバーシティ&インクルージョン推進の最初のステップとして、女性活躍の推進に向けた施策を進めています。そもそも「女性」ですら活躍できていない状況では、他の属性や、内なる多様性を推進できないだろうということですね。

採用に関しても、管理職層や次世代タレント層で女性の採用を強化していくという方針を立てています。

――組織再編で、御社の事業戦略はさらに強い推進力で実現していくのではと予想されます。そんな御社の事業にとって、必要とされる人物像とはどういった人でしょうか。

当社は今まさに変革期にあり、今後もすごく早いスピードで変化していくことが予想されます。ですので、このスピード感のある変化に対応できる、しかもポジティブに捉えられることは重要だと思っています。既存のやり方や考え方に偏らず、新しいことに挑戦していきたいという思考の方が非常にマッチするのではないかと思います。

また、グローバルな人材にも注目しています。今後、海外での事業展開を強化していく事業もありますので、広く海外にも目を向けて仕事に取り組んでいただける人。そうした人材にも活躍していただけると考えています。

【プロフィール】 増山栞(ますやま・しおり) 人事本部 Japan人事部 人材組織開発グループ 所属。2017年入社。光学フィルムの営業を担当したのち、21年4月から現職

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