福岡からベトナムへ。めざす未来を掴むため、行動して道を切り拓く
2022年12月現在、クレスコグループ会社の“クレスコベトナム”に出向している入社6年目の大川 智美。IT未経験から着実に経験とスキルを身につけ、目指すキャリアをかなえた大川の軌跡と、枠にとらわれない独自の将来像を語ります。【talentbookで読む】
“ほかの人とは違う強み”を活かすべく、あえて未知の領域へ
大学時代、大川が所属していたのは国際文理学部。洋楽や洋画への関心から英語をしっかり学びたいと考えたことが、学部を選んだ理由でした。
大川 「通っていた大学は少し特殊で、1年生は全員寮生活でした。4人1部屋で、うちひとりが留学生。学内の留学生の比率も高く、英語で交流する機会が多くありました」
1年間大学を休学して自身も韓国に留学するなど、国際交流の楽しさに目覚めた大川。就職活動では「海外旅行に抵抗のある人でも楽しめる旅行プランを提案したい」と旅行業界を志望していました。そんな中、1年早く卒業した友人がIT企業でいきいきと働いている様子に触発され、IT業界のインターンに参加します。
インターンの業務内容は、1カ月間テーマに沿ってプログラミングを行うというもの。以前は、「プログラミングやIT関連の仕事は難しそうだし、一人でやる作業が多そう」というイメージを抱いていた大川でしたが、実際にインターンに参加して印象が大きく変わったと言います。
大川 「システムエンジニア(SE)は、お客様が求めるシステムをつくり上げるために、お客様と積極的に会話して認識を合わせるなど、コミュニケーションが多い職業なのだと知りました」
また、インターン参加者が自分と異なるタイプの人が多かったことも、IT業界を目指す理由の1つになったと言います。
大川 「インターンで出会ったのは、前からPCが好きな人や、1つのことを突き詰めていくような人が多く、いろいろと興味を持ちやすい私とは違うタイプの人ばかりでした。
“ほかの人とは違う強み”がある分、私が貢献できることも大きいのではと思いましたし、これからの時代に必要な技術が身につくことにも強く惹かれました」
そんな大川がIT企業の中でもクレスコ九州(2019年にクレスコに統合)に興味を持ったのは、説明会で聞いたオフショアの話がきっかけでした。
大川 「今後、日本全体の人口も、IT人口も不足するため、オフショア開発(システム開発業務を海外事業者に委託・発注すること)を積極的に活用すべきことは経済学の授業で知っていました。
説明会でベトナムでのオフショア開発の話があり、この会社なら海外業務にも携われるかもしれないと思ったんです。海外勤務がかなわないとしても、ITの開発スキルは身につくだろうと入社を決めました」
こうして2017年、大川は当時のクレスコ九州からキャリアをスタートしました。
思い描いたキャリアのために経験を積み、念願叶ってベトナムへ
入社後に大川が最初に参画した案件は、偶然にもベトナムオフショア開発を活用した案件。そこでの経験は、大川がオフショア開発に関わる想いをより強くするきっかけになりました。
大川 「ベトナムに依頼した業務の成果物が仕様どおりでなかったり、ソースコードが乱れていたりといったトラブルがありました。今後その点を解決していくには、ベトナム側のメンバーとのコミュニケーションにもテコ入れする必要があると感じたんです。
アウトプットの品質に問題があったのは事実。でも、相手にもっと歩み寄ったコミュニケーションの取り方をすることで、改善できることもあると思いました」
日本側(管理者)とベトナム側(開発者)の間に立って調整するためには、一定の開発経験やスキルが欠かせません。そのため大川は「まずは十分な開発スキルを身につけよう」と決意します。
大川 「人材派遣会社の基幹システムのニアショア開発(システム開発業務を国内の別の地方など比較的近距離の遠隔地にある事業者に委託すること)や、地元九州の企業の物流管理システム開発など、4年間で4つほどの案件に携わりました。
最初は下流工程が中心だったので、実務の中で先輩に教えてもらいながら開発スキルを集中して修得できました。お客様先に常駐する案件で、自分の力で詳細設計~総合テストまでできるようになった段階で、異動希望を出しました」
異動希望が通り、大川は2021年秋に“オフショア推進センター”へ異動。異動後すぐにベトナムに渡り、現地での業務を開始しました。2022年からはグループ会社の“クレスコベトナム”に出向という形で勤務しています。
大川 「会社説明会でオフショア先がベトナムという話を聞いていたので、就職前にベトナムに勝手に視察に行きました(笑)。その時にベトナムの生活をある程度イメージできたので、生活に関するギャップは感じていません。
こんなふうに入社前から色々と準備をして、入社後も希望を発信し続けて、いざ海外に行ってもきちんと業務をやっていけるように行動してきたので、異動はまさに“念願叶った”形でした」
感情的なコミュニケーションは何も生まない。相手の発言の背景に耳を傾ける
2022年12月現在、クレスコベトナムは、クレスコからの出向者3名、現地採用者7名という体制。クレスコベトナムではオフショア開発以外にも、在ベトナム日系法人向けITサービス事業も行っています。パートナー会社が外資系企業のため、英語でコミュニケーションすることもあります。
その中で大川は、主にオフショア開発にて日本(クレスコ)側とベトナム側を媒介し、オフショア開発を推進する業務を担っています。
大川 「案件ごとの定例会議に参加し調整役を務めています。ベトナム側に対しては作業の進捗や品質の確認を行い、日本側に対しては案件全体の進捗状況をヒアリングしたり、ベトナム側の成果物に関するフィードバックを求めたりしています」
そんな大川が、ベトナムのメンバーとやりとりする上で心がけているのは、本音のコミュニケーションによる関係性づくり。
大川 「ベトナムは真面目な方が多く、出向してきている私を“お客様”扱いして、体裁の良いことしか言わない傾向があるんです。
『会社は違っても同じチームであって、ベトナムのメンバーをサポートするために私はここにいるんだ』『私に言ったことをすべて日本側に伝えるわけではないから、言いづらいことも話してほしい』と伝えていますね」
また、国籍を問わず、誰と仕事をするときも大川が大切にしているのが、相手の意見を感情的になって否定しないこと。たとえば、オフショア開発に対して日本側から不満があがっても、まずは冷静に受け止めるようにしていると言います。
大川 「客観的に聞いてみると、一方的な意見に感じる場合もあります。そういうときは『このように言う理由があるはず』と考えて、意見に耳を傾けます。そうすることで、新しい考え方に出会えることもあるんです」
とはいえ、メンバー全員が大川のように考えられるわけではありません。そういうときは大川が間に入り、大川からメンバーに情報共有をするようにしています。
大川 「こういうことは、オフショアだからでも、ベトナムだからでもなく、世界中どこでも起こりうることですよね。『感情的に対応しても良好な関係性はつくれない』ということを、日々感じています」
ユニークな経験を活かし、新たな道を切り拓いていく
ベトナムに行ったことで、より多くのものが見えるようになったと大川は振り返ります。
大川 「ベトナムに行ってからは、リーダーやマネジャーなど上の立場の方と打ち合わせをすることが多く、案件全体の話を聞くことで視野が広がりました」
また、オフショア開発を推進すること自体にも、使命とやりがいを感じています。
大川 「日本の人口減の話もそうですが、ベトナムに開発を任せることで、顧客提案などにもっと時間を割けるようになります。また、日本のビジネスパートナーさんは日本側のマネジャーが管理をしますが、クレスコベトナムはベトナム側でチームを組んで管理するので、日本側のマネジメント負荷が下がります。しっかりとコミュニケーションができれば、クオリティの高い開発も可能です。
こういった具体的なメリットは、現地に行ったからこそ理解できたこと。社内にもっと伝えていきたいと思っています。そうしてオフショア開発が活発になれば、会社の業績拡大やベトナムの経済発展にも貢献できるはずです」
帰国後も「ベトナムからだと伝えきれないことを日本からも伝えていきたい」と意気込みます。
大川 「今後は、マネジャーやスペシャリストなどの役割にとらわれず、“オフショア推進アドバイザー”のような立ち位置で、オフショア開発を盛んにしていけたらと思っています。
福岡事業所のニアショア開発エンジニアがベトナムで仕事をしているとか、ニアショアとオフショアどちらも経験したとか、ユニークな経験をさせてもらえているので、『こんなキャリアや働き方もアリなんだ』と思ってもらえるような存在になれたらうれしいですね」
そんな独自の視点を持つ大川が考えるクレスコの雰囲気とは、どのようなものなのでしょうか。
大川 「自ら考えて動けるメンバーを育てようとする環境があります。実際、これまでの上司たちは、私が質問や相談をすると、決まって『大川はどう思うの?』と返してくれました。
またクレスコには『枠にとらわれず、どんどんチャレンジしてほしい』という考えがあると思っていて、私もそれに共感しています。技術が得意な人は勉強会を積極的に開催していますし、自分の考えを持って積極的に動けるタイプの方が合うと思います」
自分の希望を叶えるために、そして目の前の課題を乗り越えるために、自ら考え、行動してきた大川。今後も経験を積み視野を広げながら、新しい道を切り拓いていくことでしょう。
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