多様性が当たり前の社会の実現を──私がD&I推進活動に取り組む原動力 | キャリコネニュース
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多様性が当たり前の社会の実現を──私がD&I推進活動に取り組む原動力

経理部に所属する加川 麻美子。日々のタイトなルーティン業務をこなしながら、株式会社 明治のD&Iの取り組みのひとつである、LGBTQ+アライネットワーク“Marble”に所属し、チームのリーダーとしてプロジェクトを遂行しています。人前に出ることが苦手だと言う彼女が、精力的に活動する理由とは。【talentbookで読む】

生きづらさに共鳴したことが、Marbleの一員として活動を開始するきっかけに

私は経理部に所属し、支出管理を主に担当しています。午前は全国の事業所からの支払いデータと実際に支払う口座情報に相違がないかの確認や修正処理を行い、データを銀行に転送する作業をしています。

そして午後には、午前に銀行に転送したデータが正しく連携されているかなどを確認し、さらに何十もの確認や処理を行っています。毎日ルーティン業務があり、対応しなければいけない時間が決まっているため、常に気を張って業務に取り組んでいます。

そんな経理部の業務とは別に、LGBTQ+アライ(Ally=性的マイノリティの理解者・支援者のこと)ネットワーク“Marble(※)”のメンバーとしての顔も持っています。アライネットワーク“Marble”とは、当社がダイバーシティ&インクルージョン(以下、D&I)の取り組みの一環として推進している、従業員によるネットワーク活動・ERG(Employee Resource Group)のひとつです。

Marbleとして活動を始めたのは、全社員向けに行われたLGBTQ+セミナーに参加したことがきっかけでした。私にはもともと周りの目を気にするところがあり、何かにつけ「こうすべき、ああすべき」と思うなど、生きづらさを感じる場面が多かったんです。

一方、LGBTQ+の当事者の方はおそらく私以上に、周囲の眼差しや心ない言葉に傷ついた経験をされているように思います。そのため、人の気持ちが理解できたり、理解しようと努力されたりしている方が多く、私はその姿勢や考え方、発する言葉などに心地良さを感じたのかもしれません。

そこで、当事者やアライの方々ともっと関わり、さまざまな価値観や考え方を知りたいと思い、Marbleのメンバーになりました。

また、小学校の同級生がYouTube上でLGBTQ+の当事者としてたくさんの方に向けて情報発信していることをたまたま知る機会があったんです。身近に当事者がいて、しかも積極的に活動していることに心を打たれたことも背中を押しました。

※Marbleとは社内のLGBTQ+アライネットワークの通称で、アライメンバーで考えたネーミングです。Make a rainbow (虹を作る) + ble(できる:接尾語)の造語で、「アライ活動によって多彩な虹を描いていける」という想いを込めました。また、マーブル模様の混ざり合った画一的でない自由さや、明治商品のカラフルな「マーブルチョコレート」も連想させる親しみやすいネーミングとしました。

LGBTQ+のイベントに参加したことで、活動へのモチベーションを新たに

▲東京レインボープライドにて

Marbleの主な活動内容は、職場においてボトムアップ型でアライの風土醸成を行うこと、アライであることを表明したり、自ら行動で示したりすることです。毎月定例ミーティングを行い、勉強会の実施や今後の活動についての意見交換を行っていますが、私がとても良い点だと思っているのが、社内でセミナーなどの施策を行った際、実施後に必ず参加者からフィードバックをもらえることです。

たとえば、「全人口の8~10%がLGBTQ+の当事者」と発信したときには、「自分の身近にもたくさん当事者がいる可能性があることに気づかされました」という反応をいただきました。さまざまな発信に対して返ってくる意見は、LGBTQ+アライに関する今後のアプローチの仕方を考える上で参考になっています。

また、Marbleのメンバーの中には、“レインボープライド”というLGBTQ+のパレードに自発的に参加する人も少なくありません。同イベントは、性的指向および性自認に関わらず、すべての人がより自分らしく誇りを持って、前向きに楽しく生きていくことができる社会を目指すもので、私も昨年“東京レインボープライド”に参加しました。

そのときは沿道からパレードを応援していたのですが、パレードに参加していた方が見ず知らずの私たちに向けて、「明治さん、ありがとう!」と声をかけてくださって。一緒に参加していたメンバーと互いに顔を見合わせて涙ぐむくらい感動しました。通りすがりの関係でしかない私たちを素直に受け入れてくれる温かさに心を動かされ、自分らしさを安心して出せる感じがしたのを覚えています。

苦手な役目を引き受け、人を頼ることを覚えたことが生きやすくなるきっかけに

▲自らがリーダーとなって作成した「LGBTQ+基礎知識集」

Marbleのアライ活動では、“学ぶ&社内啓発チーム”、“表明する・行動するチーム”、“社外発信チーム”などスモールチームをつくって企画などをしていて、その中で私は、学ぶ&社内啓発チームに所属しています。アライ活動の中で最も印象に残っている経験は、同チーム内で基礎知識集制作のリーダーに立候補してプロジェクトをけん引したことです。

私は人前で話したり、リーダーシップを発揮したりすることがとても苦手。でも、当事者の皆さんがご自身の経験や考え方を話してくださっていることを受けて、「私も一歩踏み出したい」と勇気を振り絞って立候補しました。

基礎知識集は、LGBTQ+に関する用語を端的な説明でまとめました。また知識だけでなく、私が皆にどのような気持ちを持ってもらいたいかも自分の言葉で盛り込んでみました。私がたたき台を作り、メンバーに意見を聞く形で進めていきましたが、制作過程では自分で納得して提出した案でも、メンバーにフィードバックを求めてみると、自分が気づいていなかった視点から意見が出され、皆で作りあげていくことの大切さを知りました。はたから見ると些細なことかもしれませんが、資料作りのコツを教えてもらうなど、今まで苦手としていた「人を頼ること」ができたことも個人的には大きな収穫でした。また、伝えたいポイントを自分の言葉でまとめたことについては、メンバーからも良い評価をいただき、とても嬉しかったです。

これまでの私は必要以上に責任感を感じ、何をするにも「自分がやらなくちゃ」「ひとりでやり遂げないと」とすべてを抱え込もうとするところがあったんです。でも、Marbleという、なにもかもが新しい環境に飛び込み、メンバーに頼らざるを得ない状況に身を置いたことで大きな変化があり、成長につながったと感じています。

また、Marbleでの活動を通じて、日々の業務や仕事の姿勢にも変化がありました。これまでの私は普段のルーティン業務と少し異なる仕事をするだけでもすごく緊張してしまっていましたが、Marbleでの活動を始めて以来、「もしもつまずいたら周りの人に助けてもらえばいい」と気楽に考えられるようになり、ずいぶんと生きやすくなったなと感じています。

Marbleでの活動について、「社内の活動でこういうことをしたんですよ」と同じ部署の方に事後報告したところ、「加川さんってそんなこともできるの?」とすごく驚かれたことがありました。Marbleに所属しているメンバーは、経理部の中では私ひとりなので、私が経理部でMarbleの話をすることで、LGBTQ+に関する関心を社内に少しでも広げることができたと思うと、すごく嬉しいですね。

アライという言葉がなくなるくらい、多様性が特別でない社会に

▲アライのメンバーと共に

直近で取り組んでいきたいことは、LGBTQ+の当事者にとって働きやすい職場環境づくりや、同性パートナーの福利厚生適用といった制度づくりです。もちろん、気づかいなどソフト面も重要なのですが、当事者の方が求める気づかいや配慮は当然ながら人によってさまざま。会社として一元化して対応するのはどうしても難しくなってしまいます。

そこで、まずは会社としてハード面から着手し、制度が充実していくことによって、今までLGBTQ+に関心がなかった人にも「これが当たり前なんだ」と気づいてもらえたらと思っています。

社外に向けた活動としては、当社が得意とするチョコレート菓子を通じて、LGBTQ+に関する発信を進めていきたいと思っています。具体的にどういった施策が可能か、日々アンテナを張って情報収集していきたいですね。

また、私自身はLGBTQ+が特別なことだとは思っていません。人それぞれ体型や性格に個性があるように、LGBTQ+も個性のひとつだと考えています。今後、LGBTQ+をそう感じられる人を増やし、アライという言葉がなくなるくらい自然なことにしていくのが理想ですね。普段、経理部で数字やデータといった揺るぎないものを扱っているので、アライの活動の中では、人との関わりの中で、揺らぎや変化を感じられるようなことに取り組み続けたいです。

そして最終的には、このアライ活動を、「人と違うことを理由に抑圧されることなく、誰もが得意な部分や個性を活かして活躍し、もっと輝けるような社会の実現」につなげていけたらと思っています。

私自身がLGBTQ+やアライの方々に支えられているので、私も皆さんを支えたいという気持ちがあります。その想いを原動力に、これからも頑張っていきたいです。

株式会社 明治

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