保育士をめざした私がコンサルで志す夢。ビジネスの力で子どもたちを貧困から救いたい | キャリコネニュース
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保育士をめざした私がコンサルで志す夢。ビジネスの力で子どもたちを貧困から救いたい

▲学生時代、ボランティア先で自分の将来を見つけた玉城 陽子

学生時代に幼児教育や子どもの貧困について学んだ玉城 陽子。2022年12月現在は主に製造業のDX推進や業務変革、地域振興に取り組んでいます。もともと教育者を志していた玉城は、なぜコンサル業界に入ったのか。現在地から過去を振り返りながら、コンサルタントとして未来の自画像を描きます。【talentbookで読む】

路上で寝る子どもたちを目の当たりに。それまで学んだ幼児教育に対する疑問の芽生え

教育者の家系に生まれ、現場の難しさやおもしろさを子どものころからよく聞いていたこともあり、大学では幼児教育を専攻していました。卒業後は幼稚園か、保育園の先生になるつもりでした。

ところが大学2年生のとき、たまたま友達と旅行で訪れたフィリピンで見た衝撃的な光景を転機に、私は違う道へ進むことになります。

その光景とは、おむつもまだ取れないような子どもが、路上で段ボールを1枚敷いた上に寝ている姿。私が学んできた幼児教育は、家があって食事ができて、誰かしら保護してくれる人がいる前提のもとで初めて成り立つもの。そう気づかされてから子どもの貧困に関心を抱くようになりました。

その後在学中に、NPOに所属してネパールやインドネシアなど東南アジアを中心にボランティアに参加。大学卒業後は、フィリピンの貧困を学ぶために神戸の大学院に進学しました。

当時は、院の卒業後はNPOに就職して路上で生活する子どもたちを直接助けられるような活動をするつもりでした。大学院在学中にNPOで半年強ほどインターンをしていたのも、そのためです。

しかし、そこでまた新たな気づきがありました。それは、NPOにできることは限られるということ。とくに私が参加していた地域のNPOには、「この子たちを助けるのはこのNPO」という具合にNPOごとに受け持つ領域があり、行動が限られていたんです。

また、そんな背景から、NPO同士の協力関係も生まれにくい状況でした。そこで、「この人たち、NPOをつなげる存在が必要だ」と思うようになり、それが次の私の目標になりました。

もうひとつ、資金がなくなったらそこで支援が止まってしまうことも、NPOへの就職を考え直した理由でした。経営の経験がない上、「どうにかして助けてあげたい」という優しい想いを持つ人たちが集まるので、どうしても利益度外視の活動になりがちなんです。

実際に、スタッフが倒れたり、出資者が途切れたりして支援が続かなくなるケースは少なくありません。そういった状況を目にするうち、健全な経営ができる人たちの紹介や、NPOで働く人が経営視点を持つための活動が必要だと考えるようになりました。

経営課題の解決も、資金繰りも、組織と組織が手を取り合う橋渡しも、すべてできるような存在になりたい。そう考えたとき、真っ先に頭に浮かんだのがコンサルタント。ずいぶん回り道をしましたが、自分がやりたいことを実現できる仕事にたどり着けたと思っています。

入社時点のIT知識はゼロ??必死にキャッチアップし、3年目にはリーダーを経験

▲仲間との語らいも成長に必要な大切な時間(画像左が玉城)

もともと幼児教育を専門としていた私が大学で受けてきた授業といえば、お人形をつくったり、絵を描いたり、どんぐりを拾いに行ったりするものばかり。パソコンにはまったく触れたことがなく、入社時点ではエクセルのショートカットキーの使い方や、パワーポイントのつくり方もわからない状態でした。

2019年に入社して初めて参加したのは、RPA(Robotic Process Automation)のプロジェクト。初心者向けの自動化ツールと言われていますが、システムの設計や開発の基礎知識は必要です。未経験の私にとって、それらを理解した上でお客様に提案していくのはなかなかハードルが高い作業でした。

お客様の中に入ったばかりのころは業務の状況がつかめず、どの先輩に何を頼ったらいいかもわからなくて、とても苦労したことを覚えています。無料のツールを触ってみたり、YouTubeを見たり。また、先輩や上司、社内のエンジニア部門の方にも教えてもらいながら、設計や開発のイロハを学んでいきました。

そんな私が初めてチームリーダーを務めたのは、2021年のこと。入社3年目の終わりごろから半年ほど参加した、ITツール導入の案件です。メンバー入れ替えにともなう会社の要請を受けてのことでしたが、私としても「組織やチームをつくり上げることをやってみたい」という想いがあっての抜擢でした。

担当したのは、とある製造業の会社のプロジェクト。扱うパーツが非常に大きいため、工程が多い上に内製と外注の工程が複雑に組み合わさっていました。ロボットで製造するのが難しい部分には人手が入ったり、海外事業部との連携もあったり。従業員数も多く、非常に大規模な工程でした。

当時、お客様の社内では、どのパーツがいつできるのか、今誰が何をやっているのかと、他工程の進捗が見えないために、互いに問い合わせをするような状態だったんです。そこで、進捗を可視化するために、まず部品の作成をタスク化して日程を管理する仕組みをつくることに。それに関連したITツールを入れることが、当社に依頼された仕事でした。

組織変更があったため、2023年2月現在はこのプロジェクトから離れていますが、リーダーでない期間も含めると約3年間、このお客様とご一緒させていただきました。

現場に伝わる提案ができるように──見たり聞いたり、自分で確かめる

▲お客様の課題に向きあい、可能性を信じて取り組む日々

現在は、大きく2つのプロジェクトを担当しています。

1つ目は、官公庁の案件です。

現在の担当エリアには、DXに対応できて、なおかつ地域の活性化に向けて産業をシフトチェンジしていける人財が不足している問題があります。そこでエル・ティー・エスが、人財育成や、人財が集まって活動をするための拠点づくりを行うことになりました。

まだ始まったばかりで、私自身も役割を模索している段階です。ただ、意欲のある人たちがたくさんいるので、人々をつなぎ合わせる存在として価値を発揮できたらと思っています。

2つ目は、製造業のお客様の案件。組織としてあるべき姿に向かっていくために、どう組織を変えて、どうあるべきかを問うフェーズでご一緒させてもらっています。

大きなイメージを描けるメンバーは他にいるので、現場の方がついてこられるような具体的なベースの提案に落とし込んでいくことが、私のミッションだと思っています。

というのも、以前担当したITツール導入案件のとき、「上からはこう言われているけれど、下の業務としては日々忙しくて取り組めない」という声が多く寄せられたんです。

机上でいかに「こうあるべき」を語ったところで、現場では「それはわかるけど……」となることが少なくありません。だからこそ、私は、お客様がどんな困りごとを抱えているのか、まずは実際に自分で見たり聞いたりして確かめ、その人・組織に寄り添った解決策の提案をすることを大事にしています。

めざすべき理想像を語るだけでなく、同時に「この業務のこの部分をこうやって変えていきましょう」「あの部署とこういう具合にタッグを組めたらいいですね」と、具体的な方法を現場が求めるかたちで提案できるのが、私にとって理想のコンサルタント像です。

そうした現場主義の考え方は、フィリピンでの衝撃的な経験はもちろん、大学時代の保育時からの行動が今に活きています。大学時代は、子どもに実際に聞くことを意識していたんです。それは、「どうしていつも外に出ていっちゃうの?」と聞くと、「お弁当を全部食べられたからうれしかった」というような、その子なりの理由を話してくれるから。

今も、お客様先で現場の方にお話をうかがっていると、管理職の方がまったく想定していなかったところで苦労されていたり、超人的な努力のもとで対応されていたりすることがあります。想像とはまったく違うことが現場で起きている可能性があることは、常に忘れないようにしています。

こうした考え方を活かしながら、今取り組んでいる案件では、上の人たちが見据える理想に寄り添いながらも、現場の人たちにフィットする提案をしたいです。そうすることで、組織全体で目線をひとつにして、次の一歩を踏み出すための後押しができたらと思っています。

話を聞き、受け止め、共感してくれる人が集うエル・ティー・エスで、夢を追いかける

私はエル・ティー・エスの地方拠点に勤務していて、主に地方自治体や地方企業のお客様を担当しています。ここで働いていると、首都圏では見られない、地方企業ならではの課題を感じることがあります。

地方企業は昔ながらの古き良き文化を大切に継承する一方、意思決定や行動のスピードなどに慎重な部分があります。そうした地方ならではの現状への理解を深め、その方々の目線でお話しできる経験を積んで、自分の強みにしていきたいと考えています。

地域を盛り上げるという大きな課題に対して、一緒につくり上げていこうとする“共創”の精神で向き合っていくのはとてもおもしろいですし、首都圏ではあまり得られない経験だと感じています。

また私の場合、「自分は相手に何ができるか」を常に考えられるこの仕事自体が好きです。私は、困っている人を目の前にしたときに、「この人は私がどう動いたら笑顔になるんだろう」と考えるのが好きで、幼児教育のときから、その意識が強くありました。

笑顔になってもらうために、今この子には何をしたらいいのか。私はどう声を掛けたらいいんだろう。何のおもちゃを渡せばいいんだろう──そんなことを考えるのが、大学での実習でもすごく好きだったんです。

今もその延長線上で、相手がいち個人から組織や団体へ変わっただけなんです。

そんな私から見て、エル・ティー・エスにマッチすると思うのは、「人の意見を聞ける人」です。私が見てきた先輩たちはみんな、まずこちらの話を聞いてくれる人でした。

また、コンサルタントは、慣れない業界の仕事にアサインされることが多い業種。製造業のお客様を担当したかと思えば、次は食品関係、その次は商社という具合に、短期間でいろいろな知識が求められることもあるはず。自分で学ぶことを楽しめる人なら、きっとこの仕事がおもしろいと感じられると思います。

将来的には、資金を安定的に調達しながら、貧困解決のための組織を持続的に成長させていける仕組みをつくっていきたいですね。

就職活動で、その話をいろいろな方にしましたが、「それってビジネスとして成り立つの?」「必要なお金はどうやって稼ぐの?」と聞かれなかったのは、エル・ティー・エスの人だけでした。「すごく共感するよ」と皆さんが話を聞いてくれたこの会社でなら、それを実現するために必要なことが学べると確信しています。

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