苦況なときこそ前を向く。コロナ禍を乗り越えたレストラン事業の現在地 | キャリコネニュース
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苦況なときこそ前を向く。コロナ禍を乗り越えたレストラン事業の現在地

ポジティブドリームパーソンズ(以下、PDP)が運営する、福岡にある3店舗のレストラン会場。これら3つのレストランをゼネラルマネージャーとして牽引しているのが、船坂 勇太だ。アルバイト入社から正社員になった船坂は、コロナ禍の苦況を乗り越え、回復に向けて取り組んできた。そんな船坂が今思うこととは。【talentbookで読む】

前のめりに取り組んでいく──アルバイト時代から培ってきた姿勢

船坂は現在ゼネラルマネージャーとして、福岡にある3店舗のレストラン会場を指揮している。1つめはホテルの敷地にある「メインダイニング カバーナ」 。山岳イタリアンというコンセプトのオールデイダイニングレストランだ。2つめの「グラナダスィート オン ア ターブル」は、福岡でも中心地のひとつである中洲にある、肉料理を中心としたコンセプトのレストラン。3つめの「高宮庭園茶寮」は、出汁をテーマに九州里山料理を提供するレストランだ。

船坂 「ゼネラルマネージャーの大きな役割は、経営資源と呼ばれる『ヒト・モノ・カネ』のマネジメントを行うことです。採用や育成に携わりつつ、チームビルディングや個人のコンディションを把握し、売上や個人の生産性を高めるための設備、商品の導入について考える。また、利益を最大化させるために投資やコスト削減を行うことがミッションとなっています」

3つのマネジメントに軸足を置きつつ、船坂は現場に出て、レストランの営業にも携わっている。

船坂 「実は私は、アルバイトからキャリアを始めたんです。アルバイト時代の最初の仕事は、宴席サービスの担当でした。そこから正社員にステップアップし、3年間勤めた後に、次は名古屋に異動。名古屋ではホテル内にあるレストランに勤務し、サービス面をマネジメントするユニットマネージャーになりました。そしてステップアップを重ね、現在は、ゼネラルマネージャーを担当しています」

エネルギッシュにキャリアップを続ける船坂。その行動力の軸にあるのは、「前のめり」という言葉だ。

船坂 「『前のめり』は当社でよく使われる言葉ですが、私はこれを『何事にもポジティブに取り組む姿勢』と捉え、昔から大切にしています。

飲食業は体力的に大変な部分もある仕事です。でも自分が苦しいからといって表情に出してしまうと、他のみんなもネガティブな気持ちになってしまう。だからできる限り笑顔で、自分が大変なときこそ周囲にポジティブな声をかけるのが私のやり方です。

これに加え、マネージャーになってから意識しているのは『言行一致』。ここがブレてしまうとメンバーからの信頼を得ることができないし、言葉の重みがなくなってしまう。なかなか難しいことですが、姿勢としていつも大切にしています」

「モノの消費」から「コトの消費」へ。コロナ禍から生まれた新サービス

前のめりに仕事に取り組み続けてきた船坂。コロナ禍となり、これまでにない課題に直面したときも、その姿勢は変わらなかったと振り返る。

船坂 「大変なことが多い時期でした。休業を余儀なくされ、それにともないクローズする店舗も出てくるなどポジティブではないトピックスも続きました。でも私個人としては、あまり後ろ向きな気持ちにはならなかったんです。

会社がしっかり『あなたたちを守るよ』とメッセージを発信してくれていたことが大きかったですね。今は厳しくても、PDPであれば必ず反転攻勢のタイミングはやってくる、そう信じていたので、この状況下で何ができるかを考えていきました」

自分たちにやれることを率先して模索し始めた船坂。不安を抱えるメンバーのためにとくに工夫したのは、未来のためにブレストする時間をつくることだ。

船坂 「コロナ禍をきっかけに、レストランに求められるものが『モノの消費』から『コトの消費』に変わったと感じています。だからこそ会社全体としてもより業態を尖らせること、ブラッシュアップさせることが大事だと考えました。

そこで、ただモノを売るだけではなく、体験価値などの付加価値を感じてもらえるように、料理やお店のコンセプトを再設計しようと。みんなでアイデアを出し合う時間をつくり、休業という期間を活用しながら、じっくりと思考したり議論したりするようにしていきました」

活発な議論を経て、船坂たちは2つのジャンルに注力することを決めた。「テイクアウト・デリバリー」と、「アフタヌーンティー」だ。

船坂 「『テイクアウト・デリバリー』は、外出が制限される中でも家での時間をより豊かにしていただくために始めたサービスです。これまでは来店していただいたお客様に対して食事を提供していたのですが、『お持ち帰り』での体験価値を向上することをめざしました。

テイクアウトの定番は、お寿司やピザ、ハンバーガーといったファーストフードが中心だったのですが、レストランとしての専門性のある料理を提供できるように試行錯誤をしましたね。理想としてはお店で出すものと同じクオリティーの料理をお家でも食べられること。弊社としては初めての試みでしたが、続ける中で評価をいただけるようになっていきました。

『アフタヌーンティー』も、ゼロベースからスタートしたサービスです。旅行にも飲みに行くこともできない制限がかかる生活の中、自分へのご褒美としてお茶やスイーツ、軽食を楽しみたいお客様に向けたカフェタイムのサービスです。

制限がある中でも、季節に合わせた料理やスイーツをおいしい紅茶やハーブティーと一緒に味わう贅沢な時間を提供したいという想いから、パティシエに新しい商品を開発してもらいつつ、実現していきました」

気づかされたのは「待っていてもお客様は来ない」ということ

▲「グラナダスィート オン ア ターブル」イベント時(写真:最後列中央)

こうしたコロナ禍での施策を経て、現在も舩坂は、新たな企画を実施し続けている。

「グラナダスィート オン ア ターブル」では、これまでにないビュッフェイベントを実施。イベントにインフルエンサーを招待することで、社外に向けた情報発信を強めた。

船坂 「『グラナダスィート オン ア ターブル』はコロナ前と比較すると苦戦が続いている店舗でした。そこで昨年実施したのが『肉の日』というイベントです。初回開催時に、インフルエンサーの方々を招待し、Instagramに投稿をしていただくことで認知を広げていきました。

当社では各店舗がInstagramのページを持っていますが、このイベントを経て『グラナダスィート オン ア ターブル』のアカウントは、フォロワーが1日で100名増加、週間で500名近く増加することができました。

以降も『肉の日』のイベントを3回開催しています。おかげさまで、毎回満席。イベントの効果もあって、2019年比較でプラスで推移するところまでご来店いただけるようになりました」

「高宮庭園茶寮」では敷地内の庭を活用し、四季のイベントを通じて認知拡大をめざしてきた。

船坂 「初回は夏のイベントでした。竹の灯籠をお庭に設置し、レストランのダイニングからお庭を眺めて食事をしていただき、お帰りの際には、庭園の竹灯籠やライトアップされたお庭を散策いただけるようにしました。

このイベントは、おかげさまで次回4回目を迎えます。徐々に認知していただき、リピートでご利用いただく機会も増えてきました。定期的なイベント開催と運営に関するノウハウも蓄積されてきたので、今後は成功事例として『高宮庭園茶寮』だけでなく、他のレストランにも展開したいと思っています」

こうした施策を通した学びについて、舩坂はこのように語る。

船坂 「待っているだけではお客様は来ない、というのはコロナ禍でとくに学びになったことです。コロナ禍以前から、お客様を呼び込むための施策を考えたり、実行したりとしていましたが、とくに今『自分たちで人を呼び込む』ことの重要性を実感しています。

コロナの影響が落ち着いたからといって、以前の状態に戻るだけではいけません。ここからもっと日々の営業だけではなく、イベントを通してお客様への情報の発信や顧客を呼び込んでいくことが大事なことだと感じています」

財産は人。学びを糧に、200年継続するレストランをめざして

新たな挑戦を続ける中で、船坂はPDPの「人の魅力」を再確認したと話す。

船坂 「『メンバーは家族』『メンバーはお客様』という企業理念の通り、支えてくれる人がいたり、切磋琢磨できる仲間がいたり、ちゃんと指導をしてくれる人がいたりするんです。

入社以来ずっと、常に誰かと一緒に、ゴールをめざしている感覚があります。新たな施策を進める上でも、現場がみんなで力を合わせ、ときに本社のメンバーの力も借りながら、進めてきました。PDPの一番の魅力であり財産は、やはり人なんだと実感しましたね」

今後の展望として船坂は、定期的にイベントを開催していきたいと考えている。お花見シーズンや歓迎会、夏のイベントなど、年間通して計画的に実施することで、露出を高め、顧客への情報発信を強化したい考えだ。

船坂 「イベントを通して、お客様と強くつながって、お店のリピーターになり、ファンになっていただく。そうすることができれば、この先またコロナ禍のような外的要因が起きた際にも負けないレストランをつくれると思うんです。苦しかった経験で終わらせずに、学びを活かし、情報発信を続けたいと思っています」

ひとつ、船坂が感じているミッションは、レストランの価値を高めることだ。利益の創出はもちろんだが、ブランディングにも注力し、社外からのブランド評価を高めていきたいと考えている。

船坂 「弊社には『200年継続する会社』というスローガンがあります。レストラン事業部においてもこのスローガンを踏襲し、200年継続するレストランをつくっていきたいですね。それがわれわれの使命だと思っています。そのために、ここまでお話しした取り組みを続けて、輝く人財が溢れる部署をつくっていきます」

未曽有の状況でも立ち止まることなく、周囲を巻き込み、前へ前へと進んできた船坂。PDPへの強い信頼を原動力に、彼の挑戦は続く。

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