社会課題の取り組み要請に応える。そして仲間の未来のため事業を変革したい | キャリコネニュース
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社会課題の取り組み要請に応える。そして仲間の未来のため事業を変革したい

▲2018年8月 防衛省大臣官房施設監特別顕彰を受賞(写真左:馬場)

2023年4月現在、社会インフラマネジメント事業部事業推進室長を務める馬場 宇久。キャリア入社後、営業部門を経て、土壌・水環境に関する民間事業や東日本大震災の被災地での放射線モニタリング業務など幅広い領域で活躍してきました。これまでを振り返りながら、アジア航測で働くやりがい、仕事への想いを語ります。【talentbookで読む】

営業と技術の両部門を経験し掴んだニーズで実現した新規事業の立ち上げ

アジア航測の社会インフラマネジメント事業部が担うのは、その名の通り、道路や鉄道、エネルギーといった社会インフラを支える事業者や自治体の支援です。馬場が室長を務める事業推進室は、それぞれの部門だけでは対応できない仕事をしている部署で、約10名のメンバーが所属しています。

馬場 「社会インフラマネジメント事業部は技術部門の集合体です。ですから事業部全体の調整役が必要で、私は、各部門が業務を遂行するための最適化、部門間の調整や連携、事業部全体での損益管理などを行っています。また、事業部を超えた営業部門や管理部門との調整なども担い、さらには新しい事業の検討なども行っています。

以前は環境エネルギー技術部の部門長だったのですが、再生可能エネルギーの事業化支援や福島の復興支援事業などは、やはり複数の部門が連携しなければできない業務です。そこでも私が動いていたので、そういう役割を担うことが多いですね」

馬場がアジア航測に入社したのは、1997年のこと。6年ほど営業部門で民間、環境ビジネスに携わった後、2003年に土壌汚染対策法施行に備えるビジネスモデルを構築する目的で“土地環境情報プロジェクト”をスタートすることに。そのプロジェクトで、 “土壌汚染リスク・スクリーニングサービス フェーズ0.5”を立ち上げたときのことが印象に残っていると言います。

馬場 「もともと大学は地球科学が専門で技術系でしたが、入社後の配属は営業部門でした。しかし、日々の営業活動の中で、営業職・技術職関係なく、技術やトレンドも勉強していく必要を感じていました。そういったなかで、土壌汚染対策法が施行されたことによる“ニーズ”は把握できていました。

土壌汚染の可能性を知るためには、その土地の履歴を調べなくてはいけません。大学時代も航空写真測量などを行っていたので、航空写真が一番土地の履歴を捉えることができると解っていました。当社は航空測量をベースとした会社ですので、当社のリソースで、新たなサービス、商品ができると確信しました。そうして動いているうちに技術部門に配属になりました。

そこで新たなサービスとして、過去の土地利用データや航空写真をもとに、土壌汚染のリスクを地図上に表示して提供する“土壌汚染リスク・スクリーニングサービス フェーズ0.5”を開発しました。終戦直後から撮影されている航空写真や旧国土庁の土地利用データなどの所在や内容がわかっているので、その資料をもとに当社の発想力と技術をもってすれば、お客様の要望に合った調査結果をリーズナブルかつスピーディーに提供できると考えたのです」

その後、2004年に営業・生産が一体となった組織として土壌・水環境事業部を社内に新設、土地の履歴調査から土壌汚染調査まで一貫したサービスを提供し、好評を得ました。そして7年後にはその部門長にステップアップします。しかし訪れたリーマンショック。これにより業績は悪化、さらに東日本大震災が発生します。

社会情勢が悪化し新ビジネスは低迷。東日本大震災での放射性物質対策が社会課題に

▲放射線モニタリングの測定・立会いの様子(写真右:馬場)

リーマンショック、さらに東日本大震災によって業績悪化にさらに拍車がかかる中での部門長就任となった馬場。福島第一原子力発電所事故による放射性物質対策に着目。ここで貢献できないかと考えました。

馬場 「当社にとって放射性物質は専門外。社内に詳しい人は誰もいませんでしたが、調べるうちに当社に貢献できることがあることがわかったのです。除染事業に取り組むため、2012年に土壌・水環境事業部内に環境再生支援室(のちに部に昇格)を福島に設置しました」

結果的にこの事業が軌道にのりましたが、最初からうまくいったわけではありませんでした。

馬場 「新しく事業を立ち上げるといっても、誰もが自分の仕事を抱えていますから、メンバーを集めるためには社内の調整が必要で、なかなか簡単にはいきません。しかも除染関連業務の場合、放射線による健康被害への不安がともなうため、人材の確保はさらに難航しました。

そこで、まず自分が率先して行動し、どのような危険があるかを踏まえて共感を集めることにしたのです。実際に除染関連業務を経験し、正しく恐れて対応すれば問題ないことを理解した上で情報共有し、仲間を少しずつ増やしていきました」

当時、新規事業の立ち上げに苦しむ馬場を勇気づけた言葉があります。

馬場 「今の小川会長から、『誰もやったことないのだからやってみよう』と言われて、それがすとんと腑に落ちました。誰もわからない分野だからこそ、地道に取り組んでいけば、いずれ第一人者になれるかもしれない。そんな想いで向き合ってきました。

このときも、土壌汚染リスクサービスを立ち上げたときも、現在の再生可能エネルギー事業支援でも、そうですね」

実際の除染関連業務では、既存の技術を水平展開することで対応してきたと語る馬場。アジア航測がこれまでに培ってきた技術・ノウハウが役立ったと言います。

馬場 「放射線量の測定結果を地図上に示したり、現場の土地利用の状況を明らかにしたりする上で、当社の地理情報システムに関する技術を応用しました。また、放射性物質の動きを把握する際には、森林などでの砂防計画で使われる技術を活用。さまざまな技術を組み合わせることで存在感を発揮することができました」

そうやって既存の技術を組み合わせていく提案ができたのは、営業職の経験があったからこそ。馬場は次のように続けます。

馬場 「お客様や社内の技術のメンバーと対等に会話するには、新しい情報にも精通していなくてはなりません。営業として当社の技術を広く知っておく必要があったので、どの領域で何をしているのか、全体像は把握できていました。配属先に関係なく、常に学ぶ姿勢を貫いてきたことが実を結んだと思っています」

その後、環境・エネルギーソリューション事業部を設置し、再生可能エネルギーの事業化支援への展開と他分野でも事業に携わってきた馬場。2021年10月から、現在の部署へと異動することになりました。

社会に貢献できることがやりがい。会社が社会的課題に取り組むことを伝えるのも使命

▲2012年5月に行われた福島の復興事業を推進する「環境再生支援室」の開所式の様子(写真前列左から4人目:馬場)

約26年にわたり、さまざまな部署を立ち上げてきた馬場。その根底にあるのは、入社当時から持っていた社会貢献への想いです。

馬場 「アジア航測に入社する前、4年ほど旅行会社で働いていたのですが、阪神淡路大震災が発生し、自粛ムードの波が広がったことで、自分がやっている仕事に自信が持てなくなってしまっていたのです。旅行会社の一員としては、貢献できることが少ないと感じ、歯がゆい想いをしました。そこで、自分に何ができるのだろうと考える中で出会ったのがアジア航測でした。

そうした想いで入社したのち、社会インフラを支える事業の支援や東日本大震災後の復興事業に携わるなど、及ばずながらも人の役に立つことができています。そのことに強くやりがいを感じています」

社会貢献への想いから入社を決意し、実際にそれらを体現してきた一方、アジア航測が社会的課題の解決に取り組んでいることはあまり知られていないと馬場は言います。それを社外へ伝えていくことに、今の馬場は使命感を持っています。

馬場 「社会貢献ができる仕事だと自負していますが、企業としてそうした事業を推進していることを広く伝えていくことも私の役割だと思っています。たとえば、当社では、再生可能エネルギーの主力電源化として政府が推し進める洋上風力発電に関し、ヨーロッパや台湾で実績のある海外の会社と提携して再生可能エネルギー事業を進めています。

現在は国内でのルールづくりや技術的な調査のための検討をしている段階です。プレスリリースなどを通じて広報するなど、こうしたプロジェクトに取り組んでいることを社外に向けてどんどんアピールしていきたいですね」(アジア航測のホームページはこちら:IR情報)

また、馬場にとってはアジア航測での事業転換も描いているビジョンの一つです。

馬場 「これまでのアジア航測は、請け負う側として事業に参加することがほとんどでした。それらの仕事も大事にしつつ、今後は、自ら事業をつくり出していけるような組織づくりをしていきたいと考えています。

たとえば今は、再生可能エネルギーの事業化支援の取り組みを進めていますが、支援する側ではなく、われわれ自身が事業の担い手になりたいと考えています。世界の大きな課題となっている、2050年のカーボンニュートラルの実現に向けた事業にも参加するなど、新しいビジネスを積極的に立ち上げていきたいですね」

会社としての未来を描く馬場。その背景には個人としての想いも関係していると言います。それは、一体どんな想いなのでしょうか。

事業を請け負う側から、自ら事業をつくる側へ。価値観の転換が私たちの未来をつくる

▲ 執務室での様子

事業を請け負う側から、事業を作る側へ──そのビジョンを描く背景には、会社を持続させたい、そしてともに事業を担う仲間に楽しく働いてほしいという馬場の想いがありました。

馬場 「発注者から仕事を請け負う状況は、そう長くは続かないと思っています。というのも、当社は人が仕事の主役であるため、仮に発注が増えたとしても社員の労働時間が増えていくばかりなのです。

採用が難しくなる世の中において、それは持続可能な状況とは言えません。また私自身、部門長時代に、遅くまで働く仲間たちを見てきました。当時は今とは少し違う価値観の世の中で時代的な背景もありましたが、そのころから、仲間たちには楽しく働いてもらいたいという想いはずっと持っていました」

どうなれば仲間が楽しく働けるのだろうか。忙しすぎても、手持ち無沙汰になってしまってもよくない。適切な量の仕事でやりがいを持って全員が働ければ、会社も長く続いていくのではないか。

そうした考えの末に、馬場は今、事業づくりという未来を描いているのです。社員の働き方にパラダイムシフトを起こせるように。しくみから変えていけるように、と。そんな馬場は、若いメンバー、そしてこれから新たな仲間となる学生たちに伝えたいことがあると言います。

馬場 「新卒で入ってくる方が『自分の専門は○○です』と話されるのを聞いて思うのは、その後何十年と続くキャリアを、学生時代の2、3年やってきたことだけで決めてしまっていいのかということ。

ベースとなる専攻分野があるのは良いことですが、もっと楽しいと思える未知の分野があるかもしれません。自分で枠を決めてしまうことで関心の領域が広がらなくなってしまうのは、とてももったいないこと。可能性を狭めることなく、いろいろなことに興味を持って挑戦してほしいですね」

営業からキャリアを始め、技術部門ではさまざまな立ち上げを担ってきた馬場。まさにその姿は、変革者そのもの。今掲げている、事業転換への志もアジア航測の仕事を世に伝えることも、馬場はきっと実現していくはずです。馬場もまた、自らの可能性を狭めることなく、これからも新たな変革をアジア航測で起こしていく一人なのです。

アジア航測株式会社

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