建設業界をめざす若手人材のために──現場をリアルに感じられる実践的な研修で新たな挑戦をサポート | キャリコネニュース
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建設業界をめざす若手人材のために──現場をリアルに感じられる実践的な研修で新たな挑戦をサポート

建設業未経験・他業種から営業としてアーキ・ジャパンに中途入社した本田 勇祐。入社後しばらくは支店の立ち上げを担当し、現場での学びや経験を積んできました。現在はその知見を活かして、社内研修事業を牽引しています。建設未経験の社員が安心して現場で働けるよう、試行錯誤しながら作り上げた研修内容に迫ります。【talentbookで読む】

未経験でも安心して現場に出られるように、建設業を学ぶ仕組みをつくりたい

2023年6月現在、アーキ・ジャパンのグループ会社であるアクト・ジャパンに所属。研修事業部の部長として、当社が運営する日本建設技術教育センター(以下、J-TEC)の運営・管理・サポート業務を担当しています。

建設業界で働く人材育成に特化した教育に注力しているJ-TEC(東京)が開設されたのは、2019年3月のこと。もとは、2014年8月に私1人で発足したアーキ・ジャパンの社内研修事業(人材教育グループ)です。

アーキ・ジャパンの営業担当として中途入社した私ですが、前職はOA機器の営業で、その前は飲食店の店長と、建設業界はまったくの未経験からのスタート。当時のアーキ・ジャパンは三重県の四日市市が本社で中部圏を中心に展開しており、エンジニア数は100名ほど(現在は1,700?1,800名ほど)で、今と比べるとまだまだ小さな組織でした。

入社後、東京支店(現・東京本社)、そして震災復興のタイミングで東北支社の立ち上げ、さらには現場も1年と少し経験したころ、当時の代表から連絡が来ました。これまでは、経験者を募って現場に配属するのが建設業界の基本の流れでしたが、そもそも建設業界全体に人が足りなくなっている。これから先は「人を育てて、現場に配属する」流れを作っていく必要があるので、未経験ながらも現場で学び経験したことを活かして、人材育成に携わってはどうかと。

この言葉をきっかけに、現場から本部へと戻り、労務管理グループの下に立ち上がった「人材教育グループ」に所属しました。最初の研修までわずか1カ月ほど。当時、建設業界未経験で入社した若手の未経験エンジニアを対象とした研修はあまり行われていませんでした。現場からのフィードバックをもらいながら数年かけて研修内容をブラッシュアップ。東京支店のほか、大阪支店も開設するなど研修事業が軌道に乗り、2017年5月にアクト・ジャパンとして外部企業向けの研修もスタートしました。

初めての現場で戸惑うことがないように、できる限りギャップを払拭したい

現在J-CTECの研修センターは、東京・大阪・名古屋の3カ所にあります。中でも2019年にリニューアルした東京の研修センターは、ゆったりとしたフリースペースを設け、実際に触ってみることができるモックアップや鉄筋の模型などが置いてあるほか、講義を受ける教室の天井を抜いていたり、施工途中の壁の中が見られるようにしたりしています。研修を受ける人たちが興味を持って学べる空間に仕上げました。

研修のカリキュラムについては、今までに大きく4回変更しました。初期のころには「現場監督資料」1冊しかなかったのですが、建設業基礎知識について・施工管理について・CAD・測量などカリキュラムを分け、それぞれにテキストを用意する──と、少しずつ今の形に近づいてきました。

しかし、カリキュラム分けすることでそれぞれの項目についてしっかりと学べるメリットがある反面、内容が建設系に特化されているため、専門用語1つをとってみても、建設業界未経験の人にとっては難しかったんです。さらに、研修の期間は限られており、その時間の中ですべてを学ぶにはボリュームが多すぎるのではないかとの懸念も出てきました。

とにかく建設の知識を詰め込むだけの研修では、未経験の人にとっては、その知識を現場でどのように活用すればいいかわからない。そもそも建設現場とはどんな場所で、どのような工事が行われているのかをイメージすることさえも難しいのが現状です。

入社したとき、研修を受けたとき、さらには初めて現場に配属されたときのギャップをできるだけなくしたい。専門的な知識や技術も大切ですが、よりリアルに現場をイメージできること、正しいイメージを持ってもらえることが非常に重要です。そこで、座学だけでなく、演習やグループワーク、ワークショップなども積極的に取り入れるよう一新しました。

それに、研修センターにリアルに集まることにも意味があります。互いに意見を出し合ったり一緒に演習を実践したりすることで、お互いに刺激を与えあう、共に学ぶことでさらなる成長を促す場を提供することも、研修センターが担う役目の1つだと考えています。ただ講義を聴くだけの内容ならオンラインの研修でいいと思いますし……。

受講者や現場の声に耳を傾け、さらに「ためになる」研修を

研修後、現場に出た人たちからのフィードバックが聞けること、それをもとにさらにブラッシュアップできる点も、私たちの強みです。

実際に現場に出てつまずきや戸惑いを感じるのは、専門知識がないことよりも、現場の雰囲気に慣れていなかったり、何をしていいかわからなかったり、うまくコミュニケーションをとれなかったりする部分が大きい。そんな不安やギャップを少しでも取り除くために、現場に出たばかりの新人が任される業務を演習に取り入れました。

これをやっておくと、現場で指示を受けたときに「反応する」ことができます。たとえ完璧にできなくても「研修でやったことがあります」と会話の糸口にすることだってできますし、「実際の現場ではこんなことをするんだ」とより具体的にイメージできることで、安心できたという声も少なくありません。

2022年夏ごろの4回目のリニューアルで新しく取り入れたのは、「写真管理」の研修です。建設現場では、実に多くの写真を撮ります。たとえば、新築マンションの現場の場合、作り上げていく過程の一つひとつを写真で記録しておかないと、後から確認できませんし、完成時には報告書として提出しなければなりません。そのため、多いときには1日に何百枚もの写真を撮ることもあります。

そこで、現場で「写真、撮っておいて」と頼まれたときに困ることがないよう、デジカメやタブレットの使い方はもちろん、撮影した写真データの管理ソフトや報告書作成ソフトの使い方などを学び、実際に撮影から報告書提出までの流れを実践してもらっているのです。ちなみに、カリキュラムを作る際には、ゼネコンやサブコン、設備系、電気系などさまざまな現場に関わる方々にヒアリングして、現場の生の声を取り入れるようにしています。

さらにもう1つの研修が「特別教育」。これは特定の業務に就く際に必要な教育であり、労働安全衛生法で定められています。これらは資格取得でもあり、「教育を受ける=知識を持っている」ことの証です。本人にとって大きなアドバンテージになるので、研修のカリキュラムに取り入れています。

一人ひとりが達成感を持って進んでいけるように、研修を通じてサポート

先程、現場でつまずいてしまう理由は、知識や技術面というよりも、コミュニケーション部分が多いとお伝えしました。先輩や上司、職人さんにうまく自分の意見を伝えられない、休憩時間に会話に入れないことも考えられます。大きな現場になれば、それこそ1日に何人もの人とやりとりをしなければなりません。

だからこそ「現場では、こんな立ち振る舞いが求められる」「こんなときには、こうしたらいい」など、人と人とのコミュニケーションの実務演習を行うことで、さまざまな人と関わることへの不安要素を払拭していきたいですね。

そして、自分自身の強みや弱みを知ることも大切です。自分に自信がないと弱みばかりに目が行きがちですが、弱みは裏を返せば強みになることも少なくありません。そういった自分の「資質」を知ってから現場に出ることができるように、自己理解を深める機会も研修に取り入れる予定です。また、専門技術だけではない、社会人として歩んでいく中で壁にぶち当たったときの乗り越え方のようなものも伝えていけるよう、準備を進めているところです。

人にはいろんな才能があります。しかし、自分の才能に気づけない人も多い。そんな人こそ、少しでも興味があれば建設業界にチャレンジしていただきたい。専門職のイメージが強いかもしれませんが、未経験者にも門戸を開いており、受け入れてくれる業界でもあります。資格や経験年数で仕事の責任や範囲が決まってくる部分もあるので、手に職をつけて一歩一歩キャリアを積み重ねていきたい人にも向いていると思います。

もちろん、建設業に携わるやりがいは、何といっても達成感です。多くの人が関わるプロジェクトの一員として、みんなで作り上げた建物が完成したときのやりがいは計り知れません。そして、そのやりがいは経験を積んでいくうちに増していくものだと思います。最初はわからなかったことが段々とわかるようになって、自分が現場全体を管理しているんだと感じる瞬間が一番おもしろいんじゃないかなと思いますね。共に働く職人さんたちは、ちょっと強面だったりぶっきらぼうだったりすることもありますが、人情味があり、しっかりと心の通った人間関係を構築できるのも、この仕事ならではだと思います。

私たちは、よりリアルに現場を感じられる、そして実践に即した研修で皆さんの新たなスタートを応援します。未経験でも前向きな気持ちがあれば、きっと乗り越えていけますので、ぜひチャレンジしていただきたいですね。

※ 取材内容は2023年6月時点のものです

株式会社アーキ・ジャパン

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