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アジアパシフィック地域から世界の医療の発展を支える。グローバルマーケターの矜持

アジアパシフィック外科マーケティンググループで、アジアパシフィック地域におけるオリンパスの外科製品の拡販を担う伊藤 優理。シンガポールや香港、オーストラリアなどの各拠点と協業しながら、地域に向けた販促業務に取り組んでいます。人々の健康と安心のために、医療を支えている伊藤のキャリアと展望に迫ります。【talentbookで読む】

新製品をアジアの国々でいかに広げるか。各拠点と連携し、具体的な戦略を描く

──現在の仕事の内容を教えてください。

現在は、アジアパシフィック外科マーケティンググループに所属し、アジアパシフィック地域における、オリンパスの外科製品のマーケティング戦略を手がける部門です。外科製品と一口に言ってもさまざまな製品がありますが、私が主に担当しているのは、とくに外科手術に使われる医療機器で、超音波を使った切開装置などを中心に、扱う製品はかなり幅広いです。

新製品の導入にあたっては、製品ができる前から動き出しているため、各製品の開発を担当したビジネスユニット(以下、BU)と連携して、どうやってアジアの国々で発売していくか、具体的な戦略を描きます。当社は、世界各地にセールスビジネスセンター(以下、SBC)という販売担当拠点を持っているので、販売戦略が決まったらSBCに共有。互いに連携しながら戦略を実行していきます。

SBCが独自に現地でマーケティングを行う場合もありますが、その際、私たちはマーケティングのサポートを行ったりもします。また、実際に医療機器の新製品を世に出す際には、各国で「製品登録」を済ませる必要があり、その進捗を把握してスムーズな発売をサポートするのも大事な仕事。地域学会で新製品の発表や展示などのプロモーション活動を行うこともあります。

このように業務は多岐にわたり、「なんでも屋さん」と言っても過言ではありません。だからこそ、売上にこだわり、社内の各部門と関わって、日々起こる問題を柔軟に解決しています。

──リージョナルマーケティングという仕事の意義をどのように捉えていますか?

オリンパスの外科製品は、消化器内視鏡分野と比べるとまだまだマーケットシェアが低い状態です。今後さらにシェアを獲得していくには、それぞれの地域の状況に沿った形で製品をローンチすることが重要です。

たとえば、ある地域で「この商品を早く販売したい」という要望があったとしても、セールスマーケティングの視点では別の商品を先に出した方が、結果として、売上を最大化できるという場合があります。このように、地域のスタッフとさまざまな観点で意見を出し合いながら、コミュニケーションをリードしていくのが私たちの役割であり、価値を提供できる部分です。

また、他社が参入しないうちにシェアを取っていくためには、ローンチに対するスピード感も大事です。とくに、欧米の会社はローンチまでのスピードが速く、当社のスピード感にはまだまだ課題が多いのですが、追いつけるように日々挑戦しているところです。当社が真のグローバルメドテックカンパニーへと成長するにあたっては、このスピードへの挑戦は欠かせないポイント。必要な情報をわかりやすく伝え、関係する全員が同じ理解に立てるように丁寧に意思疎通を重ねるように心がけています。

ともに働く仲間たちは国籍やバックグラウンドが多様。だからこそ、当たり前を当たり前と思わず、常に相手の立場でコミュニケーションをとるように意識しています。

日本で作られた医療製品を世界に送り出したい。外資系メーカーから転職

──入社前のキャリアと、オリンパス入社の経緯を教えてください。

前職では、BtoCの外資系メーカーでマーケティングをしていました。シンプルに言えば、海外で作られた商品を日本国内でどう売っていくのかを考える仕事。次第に、日本で作られたこだわりのある製品を世界に広めていく仕事は、さらにやりがいがあるだろうなと思うようになりました。日本のモノづくりは強みだと感じており、日本の製品を国外に広めていく仕事に携わりたいと考え始めました。

同時に、医療という分野に興味を持つようになっていました。人間は絶対に年老いていくものなので、医療の仕事のニーズは決してなくならない。そのような成長市場で自分のキャリアを描けるのは楽しいだろうなと。そのふたつの理想を叶えられる会社を探した結果、オリンパスにたどり着きました。

──実際にオリンパスに入社してからは、どのようなキャリアを歩んできたのでしょうか。

はじめはメディカルアフェアーズ部門を志望しました。メディカルアフェアーズとは、医療現場のニーズを捉える活動が中心にあります。当時は、メディカルアフェアーズ部門がグローバル組織として新たに立ち上げられるというタイミングで、立ち上げに際して前職の経験が活きると思い志望しました。前職の外資系メーカーでの立場は、オリンパスで言えばSBCの立場。経験を活かして、SBC目線での意見をうまく提案できるのではないかと思ったからです。

実際に、前職の経験を活かすことができ、SBCの現場の人たちの目線でさまざまな提案をしました。たとえば、部門としてどの方向性に向かっていくべきかなどの情報をマネジメント側からしっかり指示してもらえると、現場は動きやすいし、安心して自分たちの業務に邁進できます。マネジメント側がSBCと密にコミュニケーションをとれるよう、会議体を作るなど、仕組みを整えることを提案し、実現できました。

メディカルアフェアーズ部門で私が担当していた業務は現場からは少し遠いものでしたが、だからこそ事業全体を俯瞰して見ることができたのは、貴重な経験になったと思います。部門内には、ドクター教育に関わるチームや、ドクターと連携しながら臨床試験を企画するチーム、それらドクター協業の契約に関わるチームなど、さまざまな機能を持ったチームがあり、当社のビジネスの土台に幅広く触れることができました。

また、医療機器界のトレンドや、他社の取り組みについて広く知ることができ、製品に関しても、当社で扱う内視鏡分野と外科分野の両方の分野をカバーしていたので広範囲な知識を得ることができましたね。

もちろん医療に関する知識を身につけるのは大変ですが、会社の支援体制が充実しています。たとえば、入社直後には中途採用者向け研修に参加させてもらい、しっかりと組まれたプログラムのおかげで日々の仕事をこなせるレベルにはなれたと思っています。

しかし、実際に知識を自分の強みに変換していくためには、現場でさらに経験を積む必要があるのも事実。その意味で、医療分野に携わるのが初めてだった私にとって、メディカルアフェアーズ部門はいいファーストステップだったと思います。約4年間経験を積んだところで「もっと現場に近い仕事をしたい」という思いが出てきて、現在のマーケティンググループに異動させてもらいました。

アジアでの影響力を最大化するために、創意工夫を重ねる

──マーケティングの仕事のおもしろさは、どのようなところにあるのでしょうか。

医療機器の新製品を世の中におくりだす際の販促計画の立て方は、興味深いなと思っています。アジアで製品を売るためには、先んじて活用しているドクターの活用情報をあわせて提供することで、ユーザーであるドクター同士、共感するところがあるため、理解しやすいようです。そこで、BU経由で先行して発売している各地域のマーケティング部門から情報を集めたり、地域を越えてドクターに講演してもらったりするなど、ユーザーが納得できる情報を提供することとあわせてプロモーション計画をたて、活動を行います。

アジア各地の手術手技のトレンドや、各地にいるドクターの情報にアンテナをはっておくことが重要かつ大変ではありますが、市場の最先端をいつも感じることができるマーケティングの仕事はおもしろいですし、とくに担当しているアジア全体への影響力を最大化することができるのはこの仕事の醍醐味ですね。

マーケティングとは離れた細かい調整をすることが多いのも、おもしろみの一つと感じています。たとえば「これだけ売れそう」という現地のニーズと「これくらいしか供給できない」という生産側の状況がある中で、製品の送り先を調整するのも私たちの仕事。

また、「オーストラリアではこのレベルの供給があれば十分なので、製品を一部韓国に供給しよう」みたいな調整をして、一つの国だけを見るのではなく、アジアパシフィック地域を俯瞰して、地域での売上を最大化するためにさまざまな調整が発生します。

これってマーケティングの仕事なの?というような細かいものもありますが、マーケティングの仕事は、突き詰めれば、物を世の中に送りこむこと、しいては売り上げにどれだけ貢献できるかが勝負。そのゴールをイメージしながら、部内のいろいろな人と関わりながら、積極的に細かい調整をしています。

──反対に、難しさや苦労を感じるのはどんなときですか。

私は医療分野の経験がまだまだ浅いので、先生方とお話するために、外科手術に関する知識や製品に関する知識をもっともっと学ばなければなりません。市場のトレンドは日々変わりますし、製品登録に必要な知識もどんどん変化するので、あらゆるところに触角を伸ばしながら仕事をするのは大変ですし、難しい点ですね。

でもこの難しさが、同時に魅力でもあります。私は性格的に新しいことを知るのが好きなので、「今はこんな治療法が出てきているんだ」とか「他社はこんな製品を作っていて、それはこういうニーズがあるからなんだ」というのを知ることが、すごく楽しいんです。ロボットなどの先端技術が医療機器に入ってくるなど、ダイナミックに進化していく医療の世界を間近で見られるので、興味深く学び続けています。

世界の医療の発展に貢献していく仕事。その誇りと責任が原動力

──オリンパスの魅力は、どのような点にあると感じていますか。

日本の会社からだんだんとグローバル企業へと進化しているところが、魅力的だと思います。入社した2016年当時、私はオリンパスを「典型的な日本企業だな」と感じていたんです。でもそこからオリンパスは、トランスフォームを重ねてきました。今では、私がグローバルに関わる部門で仕事をしていることも相まって、入社当時の印象が大きく覆っていますね。実際、物事が決まるスピードや動くスピードもここ数年ですごく速くなってきている印象を受けます。

グローバルな環境の魅力は、多様な価値観やバックグラウンドを持った人と働けること。たとえばイベントを開催する場合、日本人の多くは全部抜け漏れなく準備し、問題が起こらないように準備しようとしますよね。でも国が違えばそのスタイルも変わり、そもそも問題が起こるものとして準備する、という選択をすることもあるんです。

そうした考えに触れると目からウロコですし、自分の中での前提と相手の前提は全然違うのだと勉強になります。だからこそ、互いの考えを言葉にしあいながら、相手の立場に立ってコミュニケーションを取るように意識していますね。

──最後に、今後の展望を聞かせてください。

日々いろいろなことが起こる今の環境はとても学びが多いので、しばらくは続けたいです。ただし、ゆくゆくは、外科製品以外の製品も担当できたらおもしろいのかなという気はしています。同時にもっと上流に行って、製品開発に関わる仕事もやってみたいですね。挑戦したいことが多くてすごく悩んでいるところです。

もっと大きな視点で話すと、“世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現”をめざすという当社のOur Purposeの実現に向けて貢献していきたいという思いが強くあります。

世界にはすでに医療先進国になっているところもありますし、逆に医療が必要な人にまだ提供できていない国もあります。でも、自身が担当する地域がどこであっても、私がマーケターであっても製品開発者であっても、世界の医療の発展に貢献していく仕事であることは揺らぎません。

私がサプライチェーンと協業せずに納品が遅れたら、世界のどこかで手術ができないということが1件でも起こるかもしれないし、反対に私が調整したことで手術が予定通り行われて誰かの命が助かるかもしれない。自分の仕事が世界の人々の健康と安心につながっているのだという意識を常に持ちながら、これからも走り続けます。

※ 記載内容は2023年3月時点のものです

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