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次世代モビリティサービスで地域の課題解決に挑む。活気あるまちづくりをめざして

▲次世代交通・モビリティサービスに携わる、写真左から綿貫、横澤、王

日産自動車では、電気自動車(EV)や自動運転技術を駆使して、街全体の課題を解決する「次世代モビリティサービス」の研究開発に力を入れています。研究開発を担う総合研究所の綿貫 彩加、横澤 晃平、王 錚(WANG ZHENG)に、新しいモビリティを活用したまちづくりについて、話を聞きました。【talentbookで読む】

福島県浪江町周辺で始まった、街全体の課題を解決する次世代モビリティサービス

総合研究所に勤務する綿貫、横澤、王は、日産自動車が福島県浪江町周辺で推進する、新しいモビリティを活用したまちづくりプロジェクトをはじめとして、次世代モビリティサービスの研究開発に携わっています。

綿貫:私はクルマ関連の技術を活用して街づくりや人の移動を支援する研究を行っています。自動運転などのテクノロジーを組み合わせた次世代交通サービス、いわゆるMaaS(マース, Mobility as a Service)の研究です。

たとえば私が開発に携わった、スマホを使用して車両を呼び出すシステム「スマモビ」。利用者は最寄りのバーチャル停留所を設定し、自由な場所で乗り降りができます。実際に福島県浪江町に導入され、移動に困っている人々の足として活用されています。多くの人に乗ってもらうため利便性を向上し、いかに効率よい配車車両計画を立てられるかといった配車アルゴリズムの研究開発を行っています。

横澤:その開発されたアルゴリズムを、実際に仕組みとして成り立たせるプログラミングの作業を私が担当しています。また、サービスの監視システムやシミュレーターの開発にも携わっています。MaaS以外の分野では、自動運転に関わる研究開発にも携わっており、現在は、より自動運転を身近にするためのシンプルなシステムの開発を担当しています。

王:私は、次世代都市交通の研究に従事しています。具体的には、次世代モビリティサービスや社会環境、持続可能なまちづくりについての調査研究です。また、「モビリティ×エネルギー×まちづくり」で福島県浜通りの復興に貢献する活動にも取り組んでいます。これは日産自動車が、福島県の南相馬市、浪江町、双葉町の3自治体をはじめ、11団体で締結した「福島県浜通り地域における新しいモビリティを活用したまちづくり連携協定」に基づくプロジェクトの一環です。

日ごろからさまざまな業務で連携しているという綿貫と横澤。同じく福島県浪江町のプロジェクトに携わる王と話すのが楽しみだったと言います。

王:将来モビリティの研究に加えて、東京大学と「浜通り地域デザインセンターなみえ」の運営、またコミュニティ活性化の活動も携わっています。地域デザインセンターは浪江町の玄関口に位置しているため、モビリティサービスや地域の情報を発信するなど、地域住民にとっての価値創造が私たちの仕事となっています。

今後は福島県浪江町のプロジェクトを活かして、さらにエリアを拡大していくつもりです。各自治体特有の課題や地域住民のニーズはとても重要な要素で、産官学連携でまちづくりや住民のニーズに適したモビリティサービスの仕組みを構築しています。

綿貫:私も人々のニーズを捉えることはとても大事だと思っています。地域住民が生活で困っていることがモビリティサービスを利用することで「便利だな」とか、「助かった」と感じてもらえるように移動による価値を提供することをめざしています。たとえば浪江町では自宅のすぐそばのバーチャル停留所から車に乗ることができるため、とくに足腰が弱い高齢者に喜ばれています。

横澤:ニーズを捉えることに加えて、私はスピードが大事だと思っています。世の中の傾向として、モノやサービスのリリーススピード、頻度が上がっているので、いかに早くお客さまに価値を提供し続けられるか。0から1をつくり出す研究分野にもスピードが求められるようになっています。

新しいことが好きで、頑張ればその分野の第一人者になれる。それが仕事の醍醐味

▲技能五輪自動車工選手として国際大会で入賞した経験もある横澤

現在、次世代モビリティサービスの研究開発に関わる3人ですが、日産自動車への志望理由はそれぞれ。当時を振り返り、選んだ理由を語ります。

綿貫:大学時代は情報数理学科で応用数学やプログラミングを学んでいました。ここで社会課題を数学的に解決する手法に興味を持つように。卒業後はロボット制御のエンジニアとして、自動化による生産性向上や人手不足解消に取り組んでいました。

しだいに、人口減少や地域の過疎化など、もっと大きな社会課題に関心を持つようになり、自動運転などの技術でこれを解決する方法を模索したいと考え、2018年に日産自動車へ。日産はもともと無人運転によるタクシードライバーの担い手不足の問題を解決する取り組みを行っていて、こうした最先端の技術をリードする姿勢に惹かれたのが入社理由です。

王:私は中国から留学生として日本に来ました。家族が乗っていたのが日産車だったので思い入れがあって、日産自動車へ。入社後は、法規認証・技術渉外部で、中国安全法規、認証、技術渉外業務を担当し、その後、社会課題の解決に貢献する持続可能なモビリティサービスの構築をめざして、総合研究所の都市交通研究チームに参加しました。

横澤:日産自動車を志望したのは、カーレースゲームに出てきたスカイラインGT-R(R32)が好きだったから。せっかく働くなら、憧れの車種を製造するメーカーに入りたいと思いました。そこで、高校は自動車関係を学べる工業高校に進み、そこで自動車整備のスキルを競うものづくり大会に出場。

そして技能五輪自動車工選手として、日産自動車に採用されました。入社後に技能五輪の全国大会で金メダルを獲得。国際大会でも5位入賞することができました。

技能五輪選手として入社した横澤は、現在の自動運転関連の研究開発に携わるまで、ずっと勉強を続けてきました。大変ながら、新しいことを学んでいくのが何より好きだったと語ります。

横澤:私は技能五輪選手として活動した後、2年間、日産短大で生産技術について学びました。その後、現在の部署で生産ロボットの故障予知などを行っていました。そこから自動運転関連の研究に携わるようになり、人の運転行動を統計的に分析し、将来の自動運転技術に役立てる研究をしてきました。そして現在、モビリティサービスや後付けの自動運転デバイスの研究開発に携わっています。

学生のときよりも社会人になってからの方が勉強の毎日。ただ、新しいことが大好きで、頑張ればその分野の第一人者になれるというところが、この仕事の魅力だと思っています。

人々が喜んでいる姿に覚える達成感と社会貢献の手ごたえ

▲地域のためにできることは? 自動車会社の一員としてまちづくりに取り組む王

日産自動車に入社後、さまざまな道を歩んできた3人。これまでの仕事で印象に残っているエピソードもそれぞれ異なります。

王:私は、現在の仕事に就いた後に初めて福島県を訪れたのですが、浪江町で津波の爪跡を間近に見て衝撃を受け、地域のために何かできることはないかと真剣に考えました。現在は、浪江町に拠点を立ち上げ、モビリティチーム、エネルギーチーム、まちづくりチームとともに活動しています。ここ3年間は地域に密着して、産官民のご協力をいただきながら「浜通り連携協定サミット」の開催にも微力ながら貢献することができました。

最初に浪江町を訪れた3年前は、ホテルや役場に行くのに移動手段がなく、大きなスーツケースを引きずって20分くらい歩きましたが、今は電車を降りたら目の前に「浜セン(浜通り地域デザインセンターなみえ)」がありますし、「スマモビ」もあるのでどこでも行けます。駅周辺のイメージが明るくなり、これもチームのメンバー全員で頑張った成果だと感じています。

綿貫:私は「スマモビ」の立ち上げが印象的でした。研究所で仮説をもとにシステムの要件を考えたり、開発を進めたりする中で、実際に地域住民の方々に使ってもらえるのか、日常生活でどれだけ役立つのか、マイカーが一般的で、歩行者が少ない地域に「スマモビ」が根付くのか導入当初は不安でした。

それでも、浪江町でシステムを立ち上げ、地図作成や乗降するための停車場所の計測などの地道な活動を通して、地域に適応させる工夫をした結果、今では「スマモビ」は地域の公共サービスとして認知され、多くの方に日常の中で利用されることに。これからもますます多くの人々に利用される公共交通サービスになっていってほしいと思っています。

お客さまが喜ぶ姿を想定して、それをアルゴリズムに落とし込むプロセスは簡単ではありません。責任感も大きいですが、人々が喜んでいる姿を現地で見ると、社会貢献の手応えをダイレクトに感じることができます。

横澤:私は入社当初のことが印象的で、新車の安全性を評価するテストドライバーの仕事に感銘を受けました。先輩方の仕事姿を見て、そのテクニックに圧倒されたのを鮮明に覚えています。

私はクルマ好きなので、仕事の成果を最後は自動車で検証できることに魅力を感じます。自動車メーカーとして、クルマでどう社会に価値を提供できるか。それを考えるのが一番楽しいところだと思います。

次世代モビリティサービスで、新たな発見やワクワクする体験を提供したい

▲浪江町で「スマモビ」を立ち上げ。地域の交通課題の解決を願う綿貫

大きなやりがいを感じている3人には、これから成し遂げたいことがあります。

王:チームで頑張っている実証実験の成果を確かなものにして、「スマモビ」のサービスを福島県内はもちろん、過疎化の課題を抱える全国各地の地域自治体にも拡大していきたいと思っています。

綿貫:私は自動運転を活用した移動サービスによって、地域の人々の生活を支え、コミュニケーションを活発にし、新たな発見やワクワクする体験を提供することをめざしています。

これによって、車、街、人が一体となった活気ある社会を創造し、地域の困り事を解決していきたい。浪江町でのプロジェクトから得られた課題に向き合いながら、高齢化、過疎化といった社会課題により地域に起きているさまざまな交通課題を解決するため、自治体や地域住民の方々にこのモビリティサービス研究を通じて貢献していきたいと思っています。

横澤:技術者として、車の楽しさをもっと伝えていきたいですね。社会が便利に進化するなか、日産自動車のサービスや自動運転が選ばれる要素は楽しさやブランド力だと感じています。日産の自動運転の実力やモビリティサービスの独自性を示すために、積極的に地方自治体などに提案していきたいと思っています。

さまざまなアプローチによって、日産自動車の次世代モビリティサービスの構築は著しく進んでいます。

そこには地域の課題解決に挑む技術者たちの熱い想いが。新しいモビリティを中心とした活気あるまちづくりをめざして、ワクワクするような明るい未来が動き出しています。

※ 記載内容は2023年7月時点(オンラインヒアリング時点)のものです

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