海外駐在やHondaへの出向で価値観が変化──大事なのは、芯を持って挑戦すること | キャリコネニュース
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海外駐在やHondaへの出向で価値観が変化──大事なのは、芯を持って挑戦すること

Hondaのグローバルビジネスを物流で支えるホンダロジスティクスで、海外物流課に勤務する酒井 佑一朗。グローバル物流を担うKD包装の経験を経て、インドネシア駐在、Hondaへの出向などさまざまなチャレンジをしてきた酒井が、自らの価値観を変えた経験や、これからめざすことを語ります。【talentbookで読む】

コミュニケーションと「現場第一主義」を大切に、スムーズな作業をサポートする

部品メーカー、Honda、販売店をつなぐ架け橋として、Hondaの物流領域を一手に担うホンダロジスティクス。部品からクルマの製造、お客様に届くまでの過程を、グローバルな物流システムで支えています。

入社16年目を迎えた酒井は現在、埼玉事業所で海外物流課包装一係の主任として活躍しています。

「海外物流課は、もともとはKD包装課と呼ばれていた部署です。KDとはノックダウンの略で、海外にあるHondaの生産工場で組み立てるための部品を部品メーカーから集め、包装して輸出することが主な業務です。

包装一係は、埼玉にある拠点を管轄。包装の現場で起きている困り事を解決したり、より効率的に作業が進むような施策を提案・実施したりすることで、Hondaのクルマづくりに貢献することをめざしています」

主任である酒井にとって、各担当者の業務が滞りなく進んでいるかを確認しながら、部署全体の生産性が上がるような企画を立てることも重要な仕事です。

「メーカーから届いた部品が不足していれば、不足分を搬入してもらうよう依頼しなければいけませんし、Hondaの生産工場ではなく、海外の部品メーカーに届けるものもあります。さまざまなケースに対応できるよう業務ごとに担当者が細かく分かれているため、私は全体を見ながら進捗管理を行い、困っていることがあればサポートします。

また、通常は毎日一定数をやりとりするのですが、イレギュラーな発注が来る場合もあります。その際には、適切な輸出方法の計画を立案します。

さらに、新たな包装業務が必要になった場合には、必要なスペースや人員、設備を計画し、立ち上げを行う企画業務も担います」

幅広い業務を管轄し、スムーズに進行していく立場として酒井が大切にしているのが、現場のメンバーとのコミュニケーション、そして「現場第一主義」です。

「部下であろうと先輩であろうと上司であろうと、自分から率先してコミュニケーションをとるようにしています。とくに、後輩や部下が話しかけやすい雰囲気づくりを意識しています。やっぱり、話しかけたときに嫌な顔をされたり、忙しそうな雰囲気を出されたりすると、聞きづらくなってしまいますから。

もう一つ、現場を最優先するということを大切にしています。私たちが仕事をできているのは、現場の方たちが頑張ってくれているおかげ。だからこそ、現場を第一に考えることを心がけています」

「Hondaブランド」への憧れで入社。KD包装業務から海外駐在まで経験

酒井が入社したのは2008年。就職活動では、ある“こだわり”を持っていたと話します。

「業種にはこだわらず、とにかくHondaグループの会社だけを受けました。もともとクルマが好きで、学生時代はクルマを運転するのが趣味だったんです。昔から家族がHondaのクルマに乗っていたこともあり、とくにHonda車に愛着があって。なかでも、CIVIC TYPE R(シビック タイプアール)というクルマが憧れで……。タイミングと予算とで、結局乗れずじまいだったのですが(笑)。

あとは、本田宗一郎の考え方が好きだったんです。家族経営にこだわらず、良いものを作るために一番ふさわしい人がトップに立つ。その理念を70年以上も前から貫いている会社は、なかなかないと思いました」

憧れのHondaグループであるホンダロジスティクスに入社を果たした酒井。入社後5年間は、KD包装のスペシャリストとしてキャリアを積むことになります。

「主に、北米向けの部品管理を担当していました。部品メーカーが計画されたタイミングで出荷できなくなった場合などに、暫定の処置を行い挽回の計画を管理する仕事がメインでした」

その後、海外事業本部へ異動。約4年間、インドネシアで新倉庫の立ち上げサポートに携わります。

「最初の1年は、1?2カ月の出張を繰り返していたのですが、2年目からは駐在員として現場の責任者を務めていました。新規の立ち上げですから、現場領域に限らず、総務や営業など、何にでも対応しなければいけません。イチから業務を学んで理解したことを教えての繰り返しで、とにかく大変でした」

海外勤務を経て、2016年には再びKD包装の担当になるものの、すぐにHondaへの出向が決定。2022年にホンダロジスティクスに戻るまでの約5年間、“発注側”として自分の会社と向き合うことになります。

「Hondaでは、イギリス向けの部品の包装計画を担当しました。イギリスの工場からオーダーをもらい、それをホンダロジスティクスに展開するという業務です。自分の会社を外から冷静に見るというのは不思議な感覚でしたが、課題も見えましたし、貴重な経験でした」

多様性を実感した海外での経験が、自分の価値観の基礎となる

KD包装、海外事業部、海外駐在、Hondaへの出向と、さまざまな挑戦を続けてきた酒井。自身の価値観が大きく変わったきっかけとなったのは、海外での勤務だと振り返ります。

「経験のないなか、手探りで新規業務を進めるというのが、まず大きな転換期でした。日本人の同期も友人もいませんから、自立するしかない。そこで、現地の方と徹底的にコミュニケーションをとったことが、今の自分のスタイルにつながっています」

とくに、多様な宗教が受け入れられているインドネシアでは、職場のスタッフの信仰する宗教もさまざまで、その価値観が仕事に反映されることも。なかでも、考え方の違いを実感した出来事が印象に残っていると言います。

「あるとき、現地のスタッフがちょっとしたミスを起こしてしまいました。すぐに報告してもらえば時間をかけることなく処理できる案件だったのですが、そのスタッフは報告ではなくお祈りを優先し、なかなか報告してもらえませんでした。もちろん本人は真剣で、お祈りすることでミスが消えるかもしれないと考えていた部分があったそうなんです。

こういった価値観の違いを理解してもらうのは、本当に大変でした。ミスは誰でもするのだから、早めに報連相をしてほしいということを、毎日毎日繰り返し伝えていきました。

十分に伝えられていないこともあったと思うのですが、多様性を肌で感じ、コミュニケーションを繰り返した経験は、自分のなかですごく大きな財産になっています」

また、Hondaへの出向で外から自分の会社を見たことも、自社の課題を知る良い経験だったと話します。

「Hondaは製造のプロフェッショナルですが、当社は物流のプロフェッショナル。物流領域においては専門でやってきているにも関わらず、その強みをアピールできていない、自信が足りないと感じました。

というのも、発注元であるHondaに対して、『もっと自信を持って提案していいのに』と思う場面があったのです。それはもしかしたら、自信を持つだけの努力が足りないということかもしれません。自社を客観的に見たことで、そんな気づきがありました」

挑戦できる環境だからこそ、芯を持って「やりたいこと」を発信し続ける

自社の課題を冷静に見ることができた経験から、酒井にはやってみたいことがあると言います。

「予算や場所の問題などで現実的には難しいのですが、全国に散らばっている拠点をまとめることで、もっと効率化できるのではないかと考えています。

たとえば、当社は埼玉県のなかだけでも複数の拠点を持っています。けれど、当社が密にやりとりするHondaの生産工場は県内に1カ所。そこに拠点をまとめることで、部品メーカーからの搬入も当社からの搬出も、もっとスムーズにできる可能性があると思います」

また、自身のキャリアについても、新たな挑戦を見据えています。

「Hondaに出向していた5年間を除き、私はずっと現場に関わる仕事をしてきました。そのため、予算を扱う事業管理の仕事をほとんど経験したことがありません。これまで携わってきた現場の効率改善や安全性の向上といったことが、収益にどうつながっているのかを、まだ実感できていないんです。

ですから、より会社全体を見ることができる事業管理の仕事にも挑戦したいと考えています」

自らがさまざまな環境に身を置いたことで成長してきたからこそ、後輩たち、そしてこれから入社する人たちには、「自分の芯を持つことが大事」だとアドバイスを送ります。

「私は入社当初から、海外への駐在制度に希望を出し、海外で仕事をしたいということを、いろいろな人に言い続けていました。それがたまたま海外事業部の方の耳に入り、インドネシア出向の機会を得ることができました。

もちろん、希望すれば誰でも海外勤務ができるわけではありません。ただ、自分のやりたいことを芯を持って発信し続けていれば、実ることもある。どこでつながるかはわかりませんから。

その芯というのは、仕事のことだけではなく、プライベートを充実させたいといったことでもいいんです。当社には、本当にいろいろな仕事がありますし、働きやすい環境もあります。挑戦したい人が挑戦できる職場ですから、ぜひ、自分のなかで柱になるものを持って入社してほしいと思います」

※ 記載内容は2023年10月時点のものです

株式会社ホンダロジスティクス

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