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Webエンジニアとは?キャリアパスや必要なスキルを解説

スマホが普及し、いつでも、どこでもインターネットにアクセスできる時代。日々、新しいWebアプリケーションやWebサービスが登場しています。そんなWebにかかわるサービスを構築するWebエンジニアとは、どんな職業なのでしょうか。キャリアパスや仕事内容、必要なスキルについて、Webサービス企業のCTOを務める星直史さんがわかりやすく解説します。

目次

 Webエンジニアとは?
 Webエンジニアの仕事内容
 Webエンジニアの働き方
 Webエンジニアになるには

星 直史さんのプロフィール

新卒入社したSIerでC#, Javaを学んだ後にピクスタ株式会社に2012年に入社しました。 写真素材・ストックフォト「PIXTA」の改善改修に従事。その後、開発リーダー、マネージャーを経て、2018年1月より開発部長に就任しました。 現在2020年1月よりスナップマート株式会社 取締役CTOとして働いています。 エンジニアリングのことならお気軽にご相談ください。

Webエンジニアとは?

——Webエンジニアとはどんなことをするのでしょうか。概要を教えてください。 Webエンジニアとは、PCのWebサイトやスマホサイト上で動作する機能の設計や開発を、プログラミング言語を使って行う職業をいいます。 Webエンジニアが活躍するフィールドは、大きく次の2つにわかれています。1つ目がSIer(システムインテグレーター)、もう1つがWeb制作系です。 ——SIerとWeb制作系、両者の違いはどんなところにありますか? SIerは、主にBtoBの受発注の関係にもとづいてシステムを開発します。たとえば、官公庁や国のWebサイト構築を大手SIerが請け負う、といったような場合です。 対して、Web制作系の会社には事業会社が多く、受託開発を行う会社や、自社のサービスで売上を立てる会社もあります。

Webエンジニアの仕事内容

Webエンジニアの役割

——Webエンジニアの仕事内容を教えてください。 Webエンジニアが1人か2人しかいないような小規模な組織では、1人のエンジニアがWeb開発の全体を担います。しかし、エンジニアが20〜30人もいるような大規模な組織では、複数のエンジニアが同時にさまざまな方向からシステムの修正をするため、互いに影響しあって不具合を起こしてしまうことがあります。 こうしたコンフリクトを防ぐため、大規模な組織では「フロントエンド」と「バックエンド」にわけて開発を進めています。 フロントエンドは「Webサイトのどこにボタンを配置するか」「ボタンを押したときにどんな動作をするか」といったユーザーの目に見える部分、一方、バックエンドは「ボタンを押したときの購入処理」「サーバで処理した結果をフロントに返す」とったユーザーの目には見えない部分の設計・開発を担当します。

SIerとWeb制作系で異なる開発の進め方

——Webエンジニアは、どのように開発を進めていくのでしょうか。SIerとWeb制作系、それぞれの特徴を教えてください。 SIerは主にウォーターフォール開発という方法で開発を進めていきます。 ウォーターフォール開発では、上から下に流れる滝のように、上流工程から下流工程に向かって開発を進めていきます。基本的に、上の工程が終わるまでは次の工程には進みません。マンションや住宅の建築をイメージするとわかりやすいかもしれませんね。 1.要件定義…クライアントと「何をやるか」「納期」など要件を照らし合わせる。 2.外部設計…システムの動作に対する取り決めをする。 3.内部設計…外部設計で取り決めた動作をさせるためにどうプログラミングするかを決める。 4.実装…内部設計で作成した設計図をもとにプログラムを書く。 5.テストシステムが正常に動くかどうかテストをする。 これらの工程を細分化し、テストをする人はテスター、プログラムをする人はプログラマーと、それぞれの工程に専任の担当がつきます。 ——Web制作系はいかがですか? Web制作の現場では、アジャイル開発という手法が用いられます。ウォーターフォール開発のように要件定義や設計、開発といった手順は踏みますが、それぞれをまわすサイクルが速いですね。 細かく設計してドキュメントを書くよりも、世の中が便利になるサービスを早くリリースしようという価値観で、「しっかりと動作すること」「価値のある機能を迅速にリリースすること」を優先し、スピードを重視しています。 Web制作系の開発では、各工程に専任の担当をつけるといった仕事の取り決めはほぼありません。エンジニア、プロダクトマネージャー、デザイナーが1つのチームになってシステム開発を進めます。

Webエンジニアの働き方

Webエンジニアの一般的な就職先

——Webエンジニアの一般的な就職先としてはどんなものが挙げられますか? SIerやWeb制作系の会社に就職することが多いですね。業界内での両者の比率は、SIerがおよそ8〜9割、残り1〜2割がWeb制作系と、大きく偏っています。 SIerは一次請け、二次請け…と、五次請けあたりまでがピラミッドのような多重請負構造になることもあります。ピラミッドの下のほうにいくにつれて中小企業が多くなっていきますが、一次請けに位置するような大手企業に就職するには、輝かしい経歴やキャリアがなければ厳しいでしょう。 Web制作をしている事業会社で有名なのは「クックパッド」です。事業会社では30〜50人のエンジニアを抱えていることが多いのですが、クックパッドでは100人ほど。技術力が高く、日本で名だたるエンジニアたちが集まっています。

こうした会社は就職の難易度がかなり高いですね。逆に小規模な事業会社では、人件費を抑えるためになんでもできるスーパーエンジニアを求めているケースが多く、比較的スキルが低いエンジニアにはなかなかハードルが高いといえます。

——Webエンジニアとして就職するのは狭き門なのですね。 そうですね。SIerもWeb制作系の事業会社も、スキルが何もない状態では難しいと思います。プログラミングスクールを卒業したばかりの人では、技術スキルが求める基準に達しないこともあります。

Webエンジニアの一般的なキャリアパス

——Webエンジニアの一般的なキャリアパスにはどのようなものがありますか? SIerは、開発の下流工程からステップアップしていくケースが多いですね。最初はテストから始まり、プログラミング、設計、要件定義へと上流工程を上っていきます。上流工程に上がるにつれて、業務の抽象度も上がっていきますね。 一方、Web制作系では、テストだけでなくフロントエンド、バックエンドなど、キャリアのはじめからすべての実装を行っていきます。一定の経験を積んだらリーダーとなり、小さな単位のチームを引っ張っていきます。そして、マネージャー、開発部長などを経て、事業レベルで経営に参画する取締役へとキャリアアップしていきます。 ——現在の採用の傾向はいかがですか? 採用活動をしていると、中途採用を希望する人の大半がSIerからWeb制作系への転職を目指しており、Web制作系からWeb制作系、Web制作系からSIerというのは少ないのが現状です。 プログラムをバリバリ書いて会社の成長に貢献するというのがWebエンジニアの理想の姿ですが、SIerは多重請負構造になっていたり、開発工程の下流から経験を積んでいかなければなりません。そんな現実とのギャップにやりがいを感じられない人も多いのではないでしょうか。 一方で、SIerに就職することで、次のようなメリットもあります。 ・業界の9割がSIerなので、SIerからSIerへの転職がしやすい ・要求されるスキルレベルがSIer業界内で平準化されてる ・資格を保有することで年収が高くなる ・開発手法をまんべんなく俯瞰して見ることができる ほかにも、Web制作系に比べてSIerは収入が安定しているという利点があります。

Webエンジニアになるには

Webエンジニアになるために必要なスキルとは

——Webエンジニアになるためには、SIerに就職したいのか、Web制作系を目指すのかで必要となるスキルが異なりそうですね。SIerを目指す場合、どんなスキルが必要ですか? SIerは国家資格やベンダー資格を保有しているかどうかといった、エンジニアの知識やスキルを客観的に評価できる指標が求められます。そのため、IPA(情報処理推進機構)が実施する「基本情報技術者試験」や「応用情報技術者試験」を取得しておくと、就職に有利に働くでしょう。 また、入社後は「オラクルマスター」や「オラクル認定Java資格」のグレード上位の資格を取得することで、キャリアアップや年収増につながります。 SIerは保守的な技術選定が多く、安定性や見積の容易さから過去に実績がある技術を採用する傾向にあります。「C#」「Java」「C++」といったプログラミング言語を身につけておくとよいでしょう。 ——では、Web制作系を目指す人は、どんなスキルを身につけるとよいでしょうか。 Web制作系は、システム開発の知識やスキルで判断されます。たとえば、「フロントエンドならJavaScript」「バックエンドであればRuby on Rails」「インフラならAWS」といったように、それぞれ中心となる技術が身についていて、1人でも実装できるぐらいのレベルに到達しておきたいですね。 資格などの客観的な指標は求められませんが、リテラシーとして応用情報処理技術者までは取得しておくとよいかもしれません。 Web制作系では積極的に新しいことに挑戦し、リターンを得ることに活発です。そのため、技術選定でも新しい技術を採用することが多いですね。Web制作系の事業会社を目指す人は、「Ruby」「PHP」「JavaScript」といったプログラミング言語を使って、ひとりで実装ができるレベルまで高めておくとよいでしょう。

実装までできる技術スキルを身につけておこう

——これからWebエンジニアを目指す人にアドバイスをお願いします。 これからWebエンジニアを目指す人は、キャリアのファーストステップとしてSIerとWeb制作系の事業会社の中間にあたるWebの受託制作会社を目指すのも1つの手段です。

SIerのような開発手法を採っているため、システム開発の全体を俯瞰して見ることができますし、技術選定は事業会社で導入しているような新しいものであることが多いので、学びが多いのではないでしょうか。

そのためには、1つのプログラミング言語を集中して身につけ、自分ひとりで実装できるスキルを身につけること。そして、Webエンジニア業界についてSIerからWeb制作系まで幅広く情報をキャッチするようにしましょう。

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