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「生理の貧困」で考える、声を上げる意味と多様な意思決定の大事さ

「生理用品を買うのに苦労した」

「生理用品を買うのに苦労した」

生理用品を買うお金がない。「生理の貧困」が、格差の広がる先進国で問題になっています。欧米では、生理用品にかかる消費税(VAT)や売上税を「タンポン税」と呼び、その廃止運動が広がっています。

タンポン税は、英国では2021年に廃止されました。(https://www.telegraph.co.uk/news/2021/01/01/tampon-tax-abolished-brexit-allows-treasury-scrap-vat-sanitary/)また2020年からは、小中高等学校で生理用品が無料提供されています。米国では23州ですでに非課税になっていて、残る27州でも廃止運動が行われています。(https://www.periodequity.org/)

フランスでは2016年に、生理用品の売上税が20%から5.5%に引き下げられました。日本では消費税の対象です。(文:ウーマンエンパワープロジェクト 谷平優美)

「生理用品を買うのに苦労した」5人に1人

日本は、相対的貧困率が15.4%(厚労省「国民生活基礎調査」2018年)とされています。OECD経済審査報告書(2017年)でも、日本の相対的貧困率はG7で2位という結果でした。格差は深刻です。

生理について啓発活動をする任意団体「#みんなの生理」の調査では、過去1年に生理があった高校生以上の生徒・学生5人に1人が「生理用品を買うのに苦労した」と回答しています。

生理は1回あたり3~7日間で、それが13歳~51歳ごろまで続くと言われています。つまり、仮に38年間・月1回ペースで生理(5日間)があったと計算すると、生理の期間は生涯で2280日間(6.2年間)にも及びます。

生理用品にかかる費用も多額になります。生理用ナプキンは、多い日用、少ない日用、夜用など色々な種類があり、生理用ショーツ、場合によってはタンポンなども必要です。痛みがひどい場合は痛み止めの薬やピルを処方してもらう診療費などもかかります。

変わってきた空気感

こういった生理にまつわる知識を、意外と周りの男性は知らないようでした。そういえば、保健の授業を男女別々に受けていた記憶があります。男性は正確な情報を学ぶ機会が少ないのかもしれません。

ただ、時代は変わってきました。以前は、生理については、何となく対外的に言うには恥ずかしい、話題にすべきではないという空気が感じられました。しかし今は、政府や自治体が言及したり、普通にメディアで取り上げられるようになりました。良い変化を感じます。

こうした問題に気づいた1人1人が、小さくてもできることをすれば、あたたかい輪が広がっていく。救われる人、喜ぶ人が増える。そして、時には世論が動いていくこともある、そんな希望を感じました。私も刺激を受け、生理用品を寄贈させていただきました。

問題は「生理の貧困」だけではありません。性教育も国際水準からすると、遅れています。今回のような話題をきっかけに「生理と命の誕生の仕組みとは?」「相手の心身を尊重するとはどういうことか?」といった点について、正しい知識が広まって、改善が進むといいですね。

政財界をリードする女性が増え、意思決定が多様になって、困っている人たちが声を上げやすい環境が整い、性をめぐる議論も深まっていくことを期待しています。

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【筆者プロフィール】
谷平 優美
ウーマンエンパワープロジェクト代表/株式会社ルバート代表取締役。早稲田大学商学部卒業後、総合人材サービス会社で新規事業立上げ・執行役員を経て、 株式会社リクルートエージェント(現リクルートキャリア)入社。WEB企画・マーケティング、法人営業を経て退職。出産前後には専業主婦やフリーランスも経験。サロン講師、就職講座講師やキャリアカウンセリングをしながら、無理ない子育て中の働き方を模索するも待機児童となり認証保育園を利用しながら活動。転職支援・キャリア教育に関わった経験と、出産後に感じた様々な社会への違和感に何か発信をしたいと2012年にママハピを創業。2018年、社名変更後は時短ママのジョブシェア体制で事業運営。J-WAVEやフジテレビライブニュースα、東洋経済、NewsPicksなどメディア実績多数。2児の母。

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