発達障害当事者を企業はどう受け入れればいいのか 特性を見てマネジメントすれば貴重な戦力に | キャリコネニュース - Page 2
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発達障害当事者を企業はどう受け入れればいいのか 特性を見てマネジメントすれば貴重な戦力に

発達障害と一括りにしても、個人差がとても大きく、当事者が障害を伏せ(自己理解をせず)採用側も気付かず、就職できる事も実際多いです。各企業の既存社員の中には一定数、症状の重さは別として発達障害の疑いがある人が在籍していると思われます。

しかし、当事者にとって就職は決してゴールではありません。就業後、職場で次のような困難にぶつかることが多いです。

・周囲とうまくコミュニケーションとれない
・その場の雰囲気が読めない
・仕事の段取りが悪い
・衝動的に行動してしまう
・時間や期限が守れない
・約束や用事をよく忘れる

コミュニケーションが取れずに過ごす事で次第に孤立していくだけでなく、上記のようなミスが続くと、上司や周囲から叱責される事もあります。何度注意されても修正出来ないことで気を病み「自分は何をやっても駄目なんだ」と、うつ病、不安障害などの二次障害を発症する可能性があります。

発達障害を脳の多様性、個性と捉える

こうした内容を目の当たりにすると、発達障害の人を採用することを敬遠してしまうかもしれませんが、それは違います。

ニューロダイバーシティという概念をご存知でしょうか。自閉症、読み書き障害、注意欠陥/多動性障害(ADHD)などの障害を優劣の観点で捉えるのではなく、脳の多様性、個性として受け止める、という考え方です。

例えば、注意欠陥/多動性障害(ADHD)の人には優れた発想力や行動力を持つ人が多く、ものづくりや研究の分野などで活躍しています。それぞれの特性を理解し正しいマネジメントをすることで、高い成果を出せ、生産性を上げる事が可能です。

事実マイクロソフトやヒューレッドパッカードなど著名な企業だけでなく、イスラエルでは軍隊でもこの考えや取り組みをいち早く取り入れ、成果を上げているといいます。

一方、発達障害の当事者は高い専門性を持ち合わせているものの、次のようなことが欠けていることがあります。

・コミュニケーション能力
・チームプレーヤーとしての資質
・EQ(こころの知能指数)
・説得力
・人脈を広げる力
・特別な配慮なしに慣例に従う力

今でこそ崩れつつありますが、終身雇用がまだ残る日本では、一つの企業に長く勤められる人材を採用するために、協調性や総合職として幅広い仕事に対応できる器用さを重視する傾向があります。これらを一般的に満たす採用基準だと、例え専門性に特化した優秀な人材であっても一律に弾かれてしまいます。

専門性の高い尖った人材として活用すれば企業にもプラスに

そもそも発達障害は病気ではないので、『治す』ものではありません。今後企業は当事者の特性を理解し、得意な部分を伸ばし、苦手な分野は工夫していくべきでしょう。一人一人が総合職で業務を兼任するのではなく、専門性の高い尖った人材として活躍すれば企業の競争力の強化にもなります。

まだまだ世の中では、障害のある人が意図せず取った行為が、個人の怠慢や意識の不足によるものと捉えられがちです。もちろん当事者側にも工夫や改善して行かなければいけないことは多々あるので、一概に企業や管理者側に全ての責任があるとは言えません。

しかしながら障害者に対する「誤解」や「知識不足」が雇用促進やマネジメントを邪魔しているのであれば、企業にとっては大きな損失になります。その為にも障害者の特性を正しく認知していくことが今後ますます必要になっていくでしょう。

筆者近影

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【プロフィール】志村 駿介

株式会社Lean on Me代表。障害のある当事者や障害福祉業界の職員研修支援、一般企業の障害者雇用における研修まで障害福祉に関する総合的な研修を行っている。2016年には大阪府よりスタートアッパー事業として認定を受けた。

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