子育てしながらの仕事復帰に潜む落とし穴 「フルタイム正社員」より優先すべきこと
子育て中の女性は仕事復帰を考えるにあたって、ブランクのある人ほど「出産前の働き方イメージや昔の記憶」にとらわれがちですが、古い情報や思い込みで考えるのは危険です。現在の状況とギャップが出てくることが多々あります。Web検索や求人サイト、先輩ママや行政機関など色々な情報源があるので、しっかり情報収集しましょう。
条件を細かく選ばなければ求人はたくさんあるのはもちろんですが、今は子育てをしながら働きやすい求人も増えてきています。(文:時短ママ戦略活用アドバイザー谷平優美)
「シフト制で週5日アルバイト」「未経験業種に挑戦」など色んな働き方がある
以前は社員といえばフルタイム正社員が中心でしたが、今は雇用形態や働く時間も多様化してきています。ママの再就職も色々な一歩の踏み出し方があるので、発想を固定化させず検討してみましょう。
以前の経験・キャリアを活かせるのはもちろん理想ですし、企業からも経験者として優遇されやすいです。ですが、ちょうどよい働き方がない場合や、以前の経験に自信がない場合もあるはず。先輩たちの復職の仕方として、例えば以下のようなスタートの仕方もあります。
・無理なく派遣やパートでオフィス事務
時間や日数が少なめの事務は人気ですが、案件がかなり少なく、事務スキルの高い経験者であっても相当な難関です。ママハピ調査でも週2~3のオフィス事務が一番人気です。
・3人の子育てをしながらシフト制で週5日、飲食店でアルバイト
自分の都合にあわせてシフトを申請できますが、売上により入る時間を減らされてしまうこともあるので注意!
・子どもが幼稚園に行っている平日10~13時で3時間パート
幼稚園と保育園が分かれているのがそもそも実態にそぐわなくなっていますが、延長預かり制度がない幼稚園の場合はこういった選択をしている人もいます。
・未経験でも、キャリアアップを重視したいからとニーズが高い介護職に就職
その時々で求人の相場は変化しています。時代としてニーズが高い介護業界は一歩が踏み出しやすく未経験者歓迎の案件も多いです。
・在宅求人の紹介会社やサイトに登録をして、すきま時間を活用した在宅事務
在宅はメリハリをつけて自己管理ができる人にはおすすめです。孤独を感じやすい人や、責任感からやりすぎてしまう、というタイプの方には夫婦げんかの元になりやすいのでおすすめしません。作業単価と内容は幅広いので、自分の希望に合うのか調べてみましょう。
・子育てや家事経験を活かして家事代行スタッフや塾の先生
主婦・ママの力をまさにそのまま活かせる仕事ですね。
まずは「経験を積むこと」重視 固定概念にとらわれない情報収集を
まだまだ時間制約のある人に対しての企業の受け皿は少ないものの、週1~3日や、1日1~3時間から可能、という求人も増えつつあります。いきなり理想の職場には行けないので、将来のためにまず階段の1歩目を上がるイメージをつけていきましょう。様々な社会復帰の仕方がありますので、固定概念にとらわれず情報収集をしてみてください。
自分のスキルや経験も、時間とともに古くなってしまうことも事実です。求人相場の中での自分の立ち位置を見誤り、「絶対に週2で自宅から30分以内の事務だけ」などの厳しい条件に固執すると、ブランクが長期化してしまうので注意が必要です。
正社員にこだわらず、まずその職種の経験を雇用形態に関わらずスタートしておくことが重要です。3年・5年と経った時に自分を助けてくれる経験になるはずです。何も動かずに3~5年経ってしまうのとは大違いです。新卒社員だって、全く営業や現場経験なく商品企画がしたい!といってもいきなりは力を発揮できないものですよね。
復帰を考えるママさんも、あくまで変化する求人マーケット相場の中で、中長期でやりたい仕事や働き方に近づけていくための一歩目、という位置づけでスタートできることを考えてみてください。
【筆者プロフィール】
谷平 優美
時短ママ戦略活用アドバイザー/株式会社ルバート代表取締役。早稲田大学商学部卒業後、総合人材サービス会社で新規事業立上げ・執行役員を経て、 株式会社リクルートエージェント(現リクルートキャリア)入社。WEB企画・マーケティング、法人営業を経て退職。出産前後には専業主婦やフリーランスも経験。サロン講師、就職講座講師やキャリアカウンセリングをしながら、無理ない子育て中の働き方を模索するも待機児童となり認証保育園を利用しながら活動。転職支援・キャリア教育に関わった経験と、出産後に感じた様々な社会への違和感に何か発信をしたいと2012年にママハピを創業。2018年、株式会社ルバートに社名変更、時短ママたちによるジョブシェア体制で事業運営。2児の母。