出生数過去最低、子どもを産まない理由は? 保育代月20万円を払ってキャリア継続のため働く女性も | キャリコネニュース
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出生数過去最低、子どもを産まない理由は? 保育代月20万円を払ってキャリア継続のため働く女性も

子育てにお金がかかりすぎる……

子育てにお金がかかりすぎる……

2018年の出生数は91.8万人で過去最低となりました(厚生労働省調査)。1人の女性が生涯に産む子どもの数にあたる合計特殊出生率の政府目標は1.8ですが、現在1.42と3年連続の低下となっています。

人口の減少に加えて、晩婚化・出産年齢の高止まりが大きな原因と言われています。現に1年間で25~39歳の女性人口は2.5%減、第1子出産は平均30.7歳で過去最高水準となっています。

家族や結婚の形も多様化してきていますが、やはり「子育てにお金がかかりすぎる」ということを日々感じている人も多いでしょう。そして、共働き社会で負担が大きくなりがちな母親は「働きながら子育てをするのには無理がありすぎる」と感じています。

1人目で予想以上にしんどかっただけに、2人目も欲しいけど二の足を踏むという声もよくあがります。そのために仕事を諦めて退職する人もまだまだいます。(文:時短ママ戦略活用アドバイザー谷平優美)

微熱時に3時間だけシッター利用で約1万3000円、家計に痛手

お金の話としては、まず保育園やシッターもなかなかの負担です。私も待機児童を経験し、子どもを認証保育園に通わせている時期がありました。月数万円の行政補助が出てもお金が結構かかるので、立ち上げ時の自営業としてはとても割に合いませんでした。

認可保育園に入れた後も、自治体によりますが乳児だと毎月6万円近くが保育園代としてかかっていました。キャリア継続のため、シッターにも月10万円近く支払い、合計で20万円近くかかったという人もいます。

将来の投資として割り切る人もいますが、この時点で、それなりの収入がないとこうしたサービスもなかなか利用できないですよね。

それから子どもが病気の時は休めるなら、もちろん休みたい。でもどうしても休めない仕事の際、病児保育が欠かせません。重要商談・プレゼンや昇進昇格に関わる大きな仕事の日にあたってしまったら、男女関係なく大変です。

最近では、登録すれば月額制で当日依頼でも100%対応してくれる病児保育のサービスもできてきましたが、利用するにせよ本当に大変なやりくりです。

わが家は今まで、基本は私が調整し、難しい時は実家や夫と調整して何とかできていました。でも、正直それらの家族サポートがなければ今の働き方も断念して専業主婦かパートを選択していたことでしょう。

どうしても誰もピンチヒッターがおらず、微熱時に3時間だけシッターを手配した際もなんと約1万3000円かかりました。家計に痛手です。しかも仕事のための必要経費なのに、経費として認められなくモヤモヤ。シッターを使える福利厚生がある企業勤務ではなく、パート・アルバイトや自営業等だと、休む以外の選択肢を取りにくいと思います。

柔軟に休めない職場や重い職責は、子どもが小さいうちはためらいます。そのため安易にチャレンジできず、キャリアとしては昇格も受けにくい停滞期に入ってしまいます。実家をいくらでも頼れるワーママと比較されて、「個人としてやる気がない」と評価されるのは大変つらいものです。

共働きでも「理想のタイミングで、理想の人数を産みたい」と思えるように

そんなこんなで、2人目を産むなら働き方を見直すか、仕事を断念するしかないものか……と悩んでしまうことにもなる人が出てきます。

人生100年時代、思っていたより数十年分の貯蓄も考えておかないといけないし、子どもが成長したら習い事に、高校大学進学に、と意外とお金がかかっていく……。そんな漠然した不安から、子どもは1人だけにして生活や教育水準を保つほうがいいかな、という話になるのは残念なことです。

フランスは人口減と出生率低下を色々な家族政策や支援で乗り越えました。被傭者やその配偶者を主な対象とした家族給付から、フランスに居住し子を扶養するすべての人を対象にした支援まであります。

ほかにも認定保育ママ制度、保育所整備に対する家族手当金庫の支援、多様な働き方を可能とする柔軟な育児休業制度など仕事と家庭の両立支援施策を多く設けています。日本でも学べる点があれば参考にしていきたいですね。

日本企業でも施策が進んでいるところもあります。とはいえ経営者は、妻が専業主婦の世帯もまだまだ多いのではないでしょうか。だからこそ、共働きという生き方を選んでいる社員家族をサポートする制度を作ってほしいです。

子育てについて色んな想いをもっている父だけでなく、今の仕組みでは葛藤をかなり抱えている母もいるという想像力をぜひ持って、制度と文化をつくっていただきたいなと感じます。

子どもたちは日本の宝。将来の私たちや日本を支えてくれる存在でもあります。笑顔で成長していくためにも、夫婦で経済貢献しながら共働きでも「子どもを理想のタイミングで、理想の人数を産みたい」と思えるよう、さまざまな角度からの議論し、早急に施策を導入していくことが必要ではないでしょうか。

著者近影

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【筆者プロフィール】

谷平 優美

時短ママ戦略活用アドバイザー/株式会社ルバート代表取締役。早稲田大学商学部卒業後、総合人材サービス会社で新規事業立上げ・執行役員を経て、 株式会社リクルートエージェント(現リクルートキャリア)入社。WEB企画・マーケティング、法人営業を経て退職。出産前後には専業主婦やフリーランスも経験。サロン講師、就職講座講師やキャリアカウンセリングをしながら、無理ない子育て中の働き方を模索するも待機児童となり認証保育園を利用しながら活動。転職支援・キャリア教育に関わった経験と、出産後に感じた様々な社会への違和感に何か発信をしたいと2012年にママハピを創業。2018年、社名変更後は時短ママのジョブシェア体制で事業運営。J-WAVEやフジテレビライブニュースα、東洋経済、NewsPicksなどメディア実績多数。2児の母。

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