新型コロナによる先行きの見えない不安、ストレス どう向き合っていくべきか
コロナウイルスの影響により、先行きの見えない不安が拡がっていることを感じます。不安を感じた時に、不安だから動くのをやめておこうと考える人と、不安を感じたまま動く人に分かれます。その違いは何なのか? 今日は、不安とうまく付き合いながら物事を進めていくコツについてかんがえて見たいと思います。
まず知っていただきたいことは、不安や恐怖を感じなくなることはない、ということです。身体が怪我をした時に痛みを感じて知らせてくれるように、不安やストレス、恐怖は、私たちが新しいことに取り組んだり、変化しようとしているときにサインとしてあらわれます。(文:ビジネスコーチ 駄田井 一孝)
新しい不慣れな環境で不安を感じるのは当然
以前に、漫画で外科手術によって痛みを感じなくなった人の話を読んだことがあります。大量出血を伴う怪我をしているのにその事に自分で気が付くことが出来ない。そのことに恐怖を感じるという話でした。また、病気に関しても自覚症状がないと発見が遅くなり完治が難しくなります。そう考えてみると痛みも大切な役割を担っていることが分かります。
初めての場所に行こうとする時、初めての人と会うとき、不安を感じたことはありませんか?
「無事に辿り着けるだろうか?」「迷わないだろうか?」
「思っていることを伝えられるだろうか?」「うまく話をすることが出来るだろうか?」
これらのことが頭の中に湧きあがってくるのは、適切な反応なのです。ですので、不安にならないようするのではなく、不安をキャッチして適切に行動することが大切です。
初めての場所に行くことに不安を感じている場合、まずは、自分が何に不安を感じているのかを観察してみます。「無事に辿り着けるだろうか?」「迷わないだろうか?」という不安を感じているのだなとまずは不安を受け取ります。
その上で、対策を考えます。地図を事前に確認して道を把握しておこう。迷っても辿り着けるようにいつもより早く家を出よう。迷った時に連絡できるように連絡先を調べておこう等。
私自身、初めての企業で研修をする時や、初めての場所で講演会をする時に不安や怖さを感じます。回数を重ねていても不安がなくなることはありませんので、そこは諦めて対策を考えます。
事前に講演会場を確認できるのであれば、会場を見ておきます。「もし、頭の中が真っ白になったらどうしよう?」という不安を感じたら、頭の中が真っ白になりましたと参加者の方に伝えて、レジメを確認しよう。いつでも話に戻ってこれるようにレジメを用意しておこう。このように事前に想定できることについては手を打っておきます。
不安や怖さをやわらげる方法の一つとしては、感じていることを言葉にして伝えてみることです。「今、とても緊張しています。手に汗もかいています。うまくお伝え出来るかどうかが不安ですがしっかりと務めさせていただきます」。このように感じていることを言葉に出しておくのです。緊張や不安を相手に感じさせてはいけない、悟られてはいけないと対処するよりも、緊張や不安を感じている自分ですと表現するほうが緊張や不安とはうまく付き合えます。
不安を受け止めた上で対策を進めていく
今、世の中は、コロナウイルスの影響で、「ウイルスに罹ったらどうしよう?」「大切な人にうつしたら……」と不安や怖さを感じている人が増えています。ウイルスに罹ることを恐れて外出が出来なくなった人もいます。ここでも「正しく恐れる」ことが大切です。
感染症対策の基本的な考え方を学び、冷静に対策を立てる事が重要です。全ての感染症には、感染経路があり、これを遮断することが対策の基本的な考え方です。ウイルスの感染経路は、飛沫感染と接触感染の2つしかありません。2つの経路をブロックする為に何が必要なのかを考えます。手洗いをして3密を避けよう、マスクをつけようなど、ウイルスをブロックする為の対策を考えます。
もう一つ、対策として考えておきたいのは、自分や家族がウイルスに罹ったらどうするのか?についてです。どこに連絡して誰にサポートしてもらうのか、何を備えておけばよいのか、をあらかじめ考えておきます。
不安や怖さを感じたら、まずその不安や怖さをしっかりと受け止める。受け止めた後に、その後に対策を考えて実行します。
私たちは、生きている限り何らかのリスクがあります。リスクをゼロにすることは出来ません。不安定で不確実な、刻一刻と変わり続ける現実を生きています。不安や恐怖はあって当然。そして、不安や怖さを感じたらしっかりと受け止めて、「やれることは何?」「備えておけることは何?」と自分自身に問いかけ行動を起こす。そんな風に不安とうまく付き合って物事を進めていきましょう。