会社にとって大事な「採用活動」を社外にアウトソーシングする理由 | キャリコネニュース
おかげさまで6周年 メルマガ読者数
65万人以上!

会社にとって大事な「採用活動」を社外にアウトソーシングする理由

社内外問わず最高のチームを作る

社内外問わず最高のチームを作る

今やどの業界でも、すべての仕事を自社だけで完結することはほとんどありません。業務の一部あるいは多くの部分を、社外のパートナー会社にアウトソーシング(代行会社への外注)をしています。それは事業活動だけではなく、経理や総務などのバックオフィス業務においても普通のことになっています。

以前であれば基本的にすべて内製していた「採用」の仕事にも、アウトソーシングは及んでいます。自社の仲間探しをする大事な仕事を、多くの会社が外注していると聞いたら驚かれる方がいるかもしれませんが、ずいぶん前から一般的になっているのです。(人材研究所代表・曽和利光)

人材紹介会社は「人を探す」業務を代行

例えば、転職希望者を求人企業に紹介する「人材紹介会社」は、採用アウトソーシングの一種です。自社が望む人材の要件を伝えると、人材紹介会社はあらゆる手を尽くして依頼された人材を探し出します。つまり「人を探す」という業務を代行しているわけです。

要件に合う人を見つけたら、面談によって求人企業にフィットしているかを確認しますが、これは「最初の面接」の代行です。そして求人企業の説明を行い、応募を勧めますが、これも「情報伝達」「動機付け」の代行といえます。この間、依頼主は特に何もすることはなく、紹介されてはじめて実際の採用活動をするわけです。

依頼主の名前を出さずに、業務委託として行われているアウトソーシングもあります。例えば、求人広告の制作会社は代表的なもの。候補者の心を揺さぶる採用ページのメッセージは、実は外部の人が書いているということもあるわけです。

オファーボックスやビズリーチのように、登録された候補者のデータを求人企業が検索しスカウトメールを送る「スカウトメディア」が最近増えていますが、求人企業から人材要件をもらって検索やスカウトメールの送信を代行する会社もあります。

アウトソーシング先は「それぞれのプロ」

このほか、会社説明会のコンテンツ制作や運営を代行する会社や、日程調整や合否連絡など候補者とのコミュニケーションを代行する会社もあります。採用プロセスの最後の面接選考以外は、すべてアウトソーシングの対象といってもよいでしょう。

それではなぜ会社は、このような採用プロセスをアウトソーシングするのでしょうか。そんなに重要なことを外注してよいのかと思うかもしれませんが、重要なことだからこそ、各プロセスの専門家にアウトソーシングしているのです。

例えば、広告や会社説明会(最近は動画が増えました)、インターンシップのコンテンツ制作などは、クリエイティブの専門家に依頼する方がよいのは分かりやすいと思います。人事でクリエイティブを学んでいる人は多くありません。

また、自社の人材に詳しい人事も、広い労働市場の状況について、例えば自社に合っているのにリーチできていない人がどこにいるのかなどは分かりません。だから、市場を広く俯瞰していて相場感があり、会社が望む人材がどこに潜んでいるのかを知っていて、発見する力のある人材紹介会社やスカウト代行会社に仕事を依頼するのです。

最近では採用業界もDXが進み、様々なネットメディアや採用業務管理システムなどが出てきていますが、それらの操作にも一定の慣れが必要です。自社の人事がそういうシステムに慣れるより、すでに慣れている会社に代行してもらった方が効率的かつ効果的と考えて、こういうこともアウトソーシングするわけです。

人事がすべき「採用コア業務」がある

それでは、アウトソーシングを利用している人事は何をしているのでしょうか。それは「採用コア業務」と呼ばれているものです。どんな人を採用するのかの基準や、どれだけ採用するのかの目標を定める仕事は、最初のコア業務です。自社のハイパフォーマー(高業績者)の特徴を抽出するなどして採用人材像を決めなければ、どんな採用活動をすべきか考えることすらできません。

次に、どれだけのコストやマンパワーが必要かを考えて、リソースを確保します。すべて自社でできればそれに越したことはありませんが、現実的でないことも多く、特定部分は外注する方が効率的なこともあります。これを判断して、採用プロセス(何をどのようにするのか)と採用体制(誰がするのか)を設計する仕事もコア業務でしょう。

そして、最後のコア業務が、最終面接などを通じて誰を採用するのかを決定することや、来て欲しい人材に意思決定をしてもらう動機付け(アトラクト)です。こればかりは自社で責任を取るしかなく、外部に出すわけにはいきません。

採用アウトソーシングとは、この「コア業務」に自社の持てる人事力をすべて注ぎ込むために、その他の「集める」「伝える」「プロジェクトを進める」などのいわゆる「採用ノンコア業務」を外部に出していることなのです。

採用が会社にとってとても重要なことだからこそ、社内外問わず最高のチームを作り、しかも最も重要な部分だけは自社の力を集中させて、最高の採用成果を上げようとしているのです。そうすることで、自社だけでは出会えなかった人と出会え、素晴らしい仲間に入社してもらうことが可能となるのです。

sowa_book【筆者プロフィール】曽和利光
組織人事コンサルタント。京都大学教育学部教育心理学科卒。リクルート人事部ゼネラルマネジャーを経てライフネット生命、オープンハウスと一貫として人事畑を進み、2011年に株式会社人材研究所を設立。著書に『「ネットワーク採用」とは何か』(労務行政)、『コミュ障のための面接戦略 』 (星海社新書)、『組織論と行動科学から見た人と組織のマネジメントバイアス』(共著、ソシム)など。

■株式会社人材研究所ウェブサイト
http://jinzai-kenkyusho.co.jp/

【PR】注目情報

関連記事

次世代バナー
次世代バナー

アーカイブ