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開拓の余地あり! 採用担当者が「大学のキャリアセンター」と信頼関係を作るコツ

キャリアセンターとの関係づくりは重要

キャリアセンターとの関係づくりは重要

様々な採用手法の中で、多くの企業が「学校に対する直接的なアプローチ」にまだ手をつけていません。研究室やゼミの先生、学校の就職課やキャリアセンターに協力を仰ぎ、その先にいる学生に接触する手法は、理系採用の一部でしか行われていません。

逆にいうと、学校と強いリレーションを作って採用力を強化する手法には、まだ開拓の余地があるということです。本稿では、採用担当者と学校、特にキャリアセンターや就職課との関わり方について考えてみます。(人材研究所代表・曽和利光)

企業は「手放しで信頼できる相手」ではない

学生にとってキャリアセンターは、授業などを通じた「キャリア教育」をはじめ、「個別のキャリア相談」「インターンシップやOBOG訪問などの機会提供」「就職情報の提供」など、さまざまな機能を持っています。

これを採用側から見ると、キャリアセンターは学生と企業をつなげる機会をたくさん作ってくれるところであり、関わり方次第では最終的に自社の採用の実現も可能になります。

最も分かりやすい例は、学内で合同企業説明会を開催させてもらい、ターゲットとなる学校の学生に直接アプローチすることです。キャリアセンターと良い関係を構築することは、採用担当者にとって、とても重要なことです。

しかし、キャリアセンターから見ると、企業という存在は手放しで信頼できる相手ではありません。彼らが最も大切にしているのは学生です。学生たちが幸せなキャリアを歩むために、何ができるかをいつも考えています。

自社のメリットだけを考えて利己的な採用活動を行う企業から学生を守るため、キャリアセンターは特定企業のために動くことには慎重です。採用担当者が接触するときには、あくまでも「学生に役立つことを行う」ことを前面に打ち出さなければなりません。

「ターゲット校」は絞り込んだ方がいい

キャリアセンターとの信頼関係の構築には時間がかかり、場合によっては数年かかることもあります。景気がよくて自社が採用しにくいときだけやってきて、景気が悪く学生が就職しにくいとき(自社の採用が楽な時期)にはやってこないのでは、「利己的な会社だ」と思われてもしょうがありません。

採用担当者は、基本的には毎年学校を訪問して、キャリアセンターの担当者とコミュニケーションを取るべきです。信頼を蓄積するには、できるだけ同一の担当者が訪問することが重要ですし、先方の担当者が変わる情報を得たら、現在の担当者に同席してもらって早めに引き継ぎのごあいさつに伺うべきです。

ただし、キャリアセンターへの訪問にはそれなりのマンパワーを長期間かけるわけですから、ターゲット校は絞った方がよいでしょう。「内定者の出身大学」「活躍している社員の出身大学」「採用実績のある大学」など、最初は数校に絞って訪問の質を向上させる方が、キャリアセンターとより良い関係の構築が期待できます。

また、「こういう理由から○○大学の学生を採用したい」と、できるだけ採用基準や求める人物像と結びつけて明確に言えるようにしておきましょう。「誰でもいいから欲しい」では、キャリアセンターの信頼は得られません。

数字を入れた「自社の長所」をまとめておく

なお、キャリアセンターのイベントのスケジュールは、3年生の春か夏前ぐらいからインターンシップのガイダンスが始まり、秋口から就職活動ガイダンス、年末年始にかけて業界・仕事研究セミナー、そして4年生を前にした3月くらいから学内合同説明会が開催される、といった流れが一般的です。

締め切りはイベントの数ヶ月前であることも多く、「来月のイベントに出させてください」といっても、すでに参加社が決まっているのが普通です。ターゲット学生が多く在籍する大学の就職活動スケジュールから逆算し、訪問日程を設定しなければなりません。

キャリアセンターが最も知りたいことは、「この会社は学生に紹介してもよい信頼できる会社なのかどうか」ということです。自社の長所や競争優位性のほか、財務的、業務的、職場的にも安心して入社できる会社であることを理解してもらう必要があります。単に抽象的な表現だけでなく、事実ベースで数字も入れた内容が重要です。

訪問の際には必ず求人票を提出しましょう。キャリアセンター利用者の約半数の学生が「求人票閲覧のため」という調査もあります。

理系では「全学部・全学科対象」と記載すると、学生はスルーする傾向があるので、求人票には対象領域を詳細に記載しましょう。

時期によって変わる「関心」の内容に合わせよう

最後に認識しておくべきことは、キャリアセンターの関心が時期に応じて変わることです。彼らの関心は「できるだけ評判の良い人気企業に、希望する学生が入社できるようにすること」と「就職希望の学生全員が、きちんと就職できること」の2つです。

就職・採用活動の初期には「できるだけ人気企業」が優先します。もし皆さんの会社が人気企業でなければ、初期の頃にはあまりよい対応を受けないこともあるかもしれません。

しかし、後期になって内定率重視になれば、学内で単独説明会や選考会を開かせてもらえたり、いい学生なのに就職活動に苦しんでいる人を紹介してもらえたりするかもしれません。

この目標の変化をきちんと認識して、時期に応じた要望をしていくことで、キャリアセンターからの信頼を得ることができるのではないでしょうか。

sowa_book【筆者プロフィール】曽和利光
組織人事コンサルタント。京都大学教育学部教育心理学科卒。リクルート人事部ゼネラルマネジャーを経てライフネット生命、オープンハウスと一貫として人事畑を進み、2011年に株式会社人材研究所を設立。著書に『「ネットワーク採用」とは何か』(労務行政)、『コミュ障のための面接戦略 』 (星海社新書)、『組織論と行動科学から見た人と組織のマネジメントバイアス』(共著、ソシム)など。

■株式会社人材研究所ウェブサイト
http://jinzai-kenkyusho.co.jp/

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