「企業名、ブラック」の予測検索を鵜呑みにしてはいけない
就活生が志望企業のことを調べる時に、誰もがするのがweb検索です。キーワードを入力すると、予測して関連する単語を表示してくれますが、このときに「社名の後に『ブラック』と表示されるのですが…」と怯える学生さんがおられます。
知人の紹介などで、これまでに何人かの学生から相談を受けたことがあり、一緒に調べてみたのですが、ブラック企業ではないことも多々あるのです。この現象は、中堅・中小・ベンチャー企業を調べていて何度か経験してきました。(文:河合浩司)
「残業がない」と評判の会社までブラック呼ばわり
ある時は、私が個人的に付き合いのある企業について相談を受けたことがありました。社長とも懇意にしていますし、社員さんたちともお付き合いがあります。
社長は経営者としても優秀な方で、会社は上場目前ではないかとすら言われています。しかも、社員さんの労働環境にもとても気を配っておられます。私の周囲では「あそこの会社は残業がないらしい」と有名なくらいです。
当然ながら、社員さんたちもあまり辞めず、新入社員の方々の定着には目を見張るものがあります。しかし、なぜか会社名を入力すると、予測検索に「ブラック」と出てくるのです。私は、相談を持ちかけてきた学生さんにこう言って見送りました。
「この会社は大丈夫だから、安心して選考に行っておいで!」
彼は無事に内定となり、今もこの会社で頑張っています。それではなぜ、このような優良企業が「ブラック」と出るのか。あくまで私の個人的な憶測ですが、この会社を志望する就活生が多く、確認のために「会社名+ブラック」と入力する人が増えたので、このような現象が起きているのではないでしょうか。
「訴訟」「苦情」「被害」「業務停止」は危ない
予測検索で「ブラック」と出てきたら、必ず他の情報を集めてみてください。私が有効だと思うのは、転職サイトの口コミです。新卒の就活生が閲覧しても有用な情報が多々あります。当記事を掲載してくれているキャリコネは当然のこと、Vorkersや転職会議などもあります。
これらのサイトの情報が有用なのは、企業の口コミを投稿するのに、複数の個人情報を登録が求められる上に、1つの項目につき300~800字の内容を記入する必要があるからです。内情を知らない人がデタラメに書くには、あまりにハードルが高い条件です。
ただし書き込みを見ていると、退職者が「あんな会社なんて」と厳しめな内容で書いているものもあります。その意味では偏りがあるおそれは否定できませんし、全てが真実というわけではありませんが、内情を知る人の書き込みですから大いに参考になるでしょう。
本当のブラック企業であれば、予測検索で「訴訟」「苦情」「被害」「業務停止」などの言葉が並ぶことが多くあります。検索結果の1ページ目に被害者の会が出てくることもあります。ここまでになっている会社には行かない方がいいでしょう。これらの情報を参考にしながら、OB・OGを始めとした社会人の方々に話を聞いてみてください。
あわせてよみたい:内定後に「学生を食い物にする会社」に注意
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