なぜかリリース4年後に話題 ゲーム『労働条件パトロール』が意外とためになった
ヒーローたちがブラック企業に潜り込み、労働法違反を見つけていくスマホゲームがSNSで話題になっている。探偵ゲームのようなノリで、ストーリーを読みつつルール違反を指摘する内容だ。
かわいげな二頭身イラストと軽快な音楽が目につくが、中身はえらく硬派だなと……思ったら、この『労働条件(RJ)パトロール!』は、厚生労働省が2017年に作った公式アプリらしい。労働基準法など、働き方に関連する法律をクイズ形式で学べる。
ちょっと「正当な賃金を確保せよ!」というクイズに挑戦してみた。画面はこんな感じで、登場人物たちの会話から、労働法的に問題があるセリフを指摘していくのが主な流れだ。(取材・文:伊藤綾)
クイズが終わると、ルールを詳しく学ぶための公式サイトへのリンクが用意されている。また、具体的に相談をしたい人向けに行政の窓口やホットラインの紹介もある。中身はけっこう充実している印象だ。
厚労省のコメントは
クイズだけではなくてマンガもあり、「シフトワーカーよ、便利屋にされるな!」「労働時間管理に異議あり!」「過重労働に屈するな!」「ハラスメントに負けるな!」「正当な賃金を確保せよ!」「不当な退職・解雇に立ち向かえ!」「ストレスに負けるな!」「輝け!働く女性たち!」など、いろいろなトピックが扱われている。
厚労省に電話して、アプリ提供を始めたきっかけを聞いてみた。
「基本的には若い人をターゲットにアニメを使ってわかりやすくということがコンセプトです。特に高校生や大学生といった学生向けに、アルバイトを始める上で知っておいた方がいいことがたくさんあるので。『休憩時間がもらえていない』『就職してからも有給休暇がもらえない』など、そうした状況が当たり前になって仕事している方の不利な条件を少しでもなくすために開発しました」
なぜかリリースから4年後に話題になったことには「それは率直に大変ありがたいですね。当初、知名度がないところから始まっているので、どんどん広まっていただければいいと思っています」とのことだった。
ゲーム・マンガを実際に制作しているのは、株式会社廣済堂だ。
「委託企業を決めるときは入札でやっているんですが、そこで落札していただいたかたちです。廣済堂さんとは今回のアプリが初めてではなくて、いろいろな取り組みを通して信頼関係もできています。毎月会議をしていろんな意見を出し合ってお互いに納得できるような作品を作るようにしています」
この『労働条件(RJ)パトロール!』。4年間かけてアップデートを続けてきて、年内で完結する予定だという。
「現在12話、13話を作っている最中で、これは年内にアップされます。それをもってある程度のところはそのアップデートで網羅できるかたちで、一旦終了予定ですが、利用者の方の反応によってはもう少し続けていくかもしれないです」
「厚生労働省では他にも『確かめよう労働条件』というサイトがあり、働く方を対象にした動画や漫画などのコンテンツがあります」
労働関係法令、すなわち働くルールを事前に知ることは、気持ちよく働くことや仕事をよりスムーズに進められるだけでなく、自分自身を守ることにもつながる。一度、チェックしてみてはいかがだろうか。