「初めてのパチンコで8万勝った」という新規ユーザーを、どれだけのホールが逃がさずにおけるのか?
キャリコネのこちらのコラムで、しょっちゅうパチンコ話をしている。自分としてはあんまり暗くならないように気を付けているつもりなんだけど、どうしても内容がネガ寄りになってしまう。そのことでSNSではしばしば「こいつは業界を恨んでいるのか」とあらぬ疑いを掛けられることも。(文:松本ミゾレ)
断じて言うけど、そんなことはない。ただ単純に、業界の未来があまりに暗澹たるものなので、それを無理にポジ丸出しで書いても意味がないのだ。そんなのは業界誌がやればいい。当たり前に感じていることを当たり前のテンションで書くと、内容が暗くなるというだけの話なのだ。
今日もそんな内容になってしまうかなぁ。ぶっちゃけ、このご時世にパチンコホールの新規ユーザーって本当に減ってるけど、ホールさんたちはどう考えているんだろう……というような話をしていきたい。【関連】パチスロで「目押し」できないユーザーが増えている? その理由を考える
運よく大金ゲットした新規ユーザー、「また行きたい」と思った様子で…
先日、5ちゃんねるに「今日初めてパチンコ打ったら8万円も増えたんだけど」というスレッドが立っていた。スレ主は少額で大当たりを射止めてあれよあれよと8万円も勝ったのだという。典型的なビギナーズラックだ。ここでやめれば一生勝ち組。
だけど当人は「勝ち逃げしたいけどまたふらっといきそうで怖いわ」や「ガンダムのパチンコも打ちたい」、さらには「玉入った瞬間フィーバーってなって7揃ったの最高やったわ」とご満悦。パチンコで大当たりを連チャンさせる楽しみを理解してしまったようで、この分だと再度ホールに足を運ぶ可能性も高いように思える。
スレ主が何歳かは知らないが、彼がもしもまだ20代とかだったら、これは超貴重な新規ユーザーということになる。初めてのパチンコということだったけど、「フィーバーで7揃って最高」という感覚に至ったということは、機械の仕組みを初見で理解して楽しめたという話になる。
ちなみにスレ主が打ったのは「マクロス」だという。恐らく現在導入されている「マクロスF」のことと思われる。今現在ホールに導入している数々の機種の中には、一見さんお断りなものもあるけど、ちゃんとビギナーにも意味が理解できる機種があったのは良いことだ。
業界はこの新規ユーザーをつなぎとめることが出来るのか?
このご時世、新規客が増えるのは業界的にも大歓迎なはず。しかし、新規客というのはまだどっぷりホールに染まっていないので、ちょっとでも「あれ? 勝てないな」となるとさっさと退散するものだし、そのまま二度と来店しなくなる可能性もある。
そうならないためにも、ホールも遊べる調整を実践すればいいんだけど、近年これがまた難しい。高額な筐体を導入するのに精いっぱいで、遊ばせる間もなく導入直後からずっと回収に躍起で、やっと元が取れたら次の新台を導入。こういうバカみたいな流れがずっと続いている。
あと、何故かちゃんと良い調整にしてる準新台があるのに、ユーザーがそれを一瞥もくれずに辛い調整の新台ばかり打ってることもある。アレ不思議なんだけど、何なんだろうねぇ……一人ぐらいは気付いていいような気がするんだけどなあ。
結局こういうことがあるから、「機械代を回収し終わったので釘を甘くするぞ」みたいなことを実践しても意味がないって思われるんだろう。
その上遊技者の高齢化が進み、ユーザーも減っているので来店数も減り、営業を存続させるためには釘も渋くせざるを得ない。加えてコロナ禍もあって、高齢者も自衛のために遊び控えをし、そのまま戻って来ないという状況もある様子。
「出したくても出せない」というホールも多いに違いない。が、新規ユーザーからすれば、そんなことはどうでもいい話。こういう新参者が早々に「あ、遊べないな」と思わずに済む調整をしているホールが、現在この日本にどれだけあるかは甚だ疑問だ。
今は仕方なく締めてる店ばかり。「遊ぶのが苦痛」と言いながら、依存症だから辞めるに辞められないジャンキーばかりになっている。そしてそのジャンキーも若くてせいぜい30代。今は本当に、20代前半ぐらいのユーザーがいなくなってしまった。
もちろん若い世代の取り込みのために、業界の人たちも努力はしてるんだろうけどね。ただ、その業界の人ってどれだけネットの書き込みを目にしてるんだろうか。匿名掲示板では、ユーザーの赤裸々な体験談や率直な意見がひしめいている。大半は誹謗中傷だけど、根拠がないまま叩いている人は意外に少ない。現にたまにこうして、新規ユーザーがパチンコの魅力をわざわざスレッドを立ててまで報告している。
「匿名掲示板を読むな」と本社から直接指示されているホール企業があることは僕も知っている。だけど、こういうものを業界人が読まないというのは損だ。批判の中にこそ何かヒントのようなものもあるんじゃなかろうか。