「『少年ジャンプ』は女性読者のせいで劣化した」という説は正しいのか 「聖闘士星矢の頃から女子はいた」と批判続出
少年漫画誌の売上のトップを走り続ける「週刊少年ジャンプ」(以下ジャンプ)。読者は少年だけにとどまらず、大人や女性からも愛されている。
しかし、中には女性が読むことを快く思わない人もいるようだ。5月7日に男子大学生が「偏見的な見方だけど、明らかにジャンプ漫画を劣化させたのは女子のマーケット参入だ…」とツイッターに投稿した。
男性は、女性読者がキャラクターを重視してお金を落としたことによって「本来のストーリーを捻じ曲げたし、結果的に漫画のアンケート操作が横行した」と指摘。「ジャンプ市場に直接介入しないで設定画集とかだけ買って満足してくれ…」と訴えている。
腐女子ウケ狙ってる? 「ドンドン少年の読み物じゃなくなっている気はする」という人も
男性がいう「女子」とは、ボーイズラブを好む「腐女子」のことだと思われる。彼女たちが好みの作品やキャラクターに積極的に投資するのはよく知られている。先日も腐女子の中で大人気となった「おそ松さん」は、多くの経済効果を上げた。
「劣化」とは、端的に言えば腐女子が好みそうな作品が増えたという意味だろう。たとば、2015年の連載作品の中には、競泳をテーマにした「ベストブルー」や、バッテリー2人が甲子園を目指す「バディストライク」があった。競泳はアニメの「Free!」が、バッテリーものは「おおきく振りかぶって」が腐女子から支持されているため、その層をターゲットにして連載したと見る向きもある。
また、腐女子の好みは多様ではあるが、影のある天才肌系のキャラに人気が集まりやすい傾向がある。「ベストブルー」では主人公を指導するコーチが、「バディストライク」では「死神」と噂されるキャッチャー側の主人公がタイプとしては当てはまる。そういった設定が腐女子向きだと思われたのかもしれない。
男性と同じ思いを抱える人はいるようで、ネットには「女はコンテンツを腐らせるからな」「ドンドン少年の読み物じゃなくなっている気はする」と賛同する声も出た。だが、男性の投稿に疑問を示す人は多い。
「キャプツバ(キャプテン翼)やら星矢(聖闘士星矢)やらなんやらかんやらから既に女子は入ってきてたけど?」
1977年連載開始「リングにかけろ」で女性読者が増える
2013年の「日経エンタテインメント!」の記事によれば、女性読者が増えたのは、1977~1981年に連載されたボクシング漫画「リングにかけろ」がきっかけだという。その後、1981~1988年に連載されたサッカー漫画「キャプテン翼」で女性読者が定着するようになった。
ジャンプ編集部が読者アンケートの結果を重視することは、主人公2人が人気漫画家を目指す漫画「バクマン。」でも触れられており有名な話だ。そのため、アンケートやファンレターをまめに出す女性読者の好みに合わせられているのではと不審に思う男性読者もいるのだろう。
しかし、ジャンプのメインの読者は男性だ。集英社の2014年の媒体資料(pdf)によると、ジャンプ読者の男女の割合は男性が79.8%で女性が20.2%。圧倒的多数の男性読者を差し置いて女性読者の意見だけをそれを丸々反映させるとは考えにくい。
「女の子の人気を取ろうと始まるマンガはないしそんな事はさせない」
「バクマン。」の単行本6巻には、2人がアンケートで良い結果を取れるように女性読者の要望を取り入れようとする場面があった。しかし、担当編集者は「掲載しているのは少年ジャンプ」であるため、「女の子の人気を取ろうと始まるマンガはないしそんな事はさせない」と主人公を注意している。
漫画なため、綺麗ごとの可能性もあるかもしれない。しかし、ネットではもし女性からのアンケートやファンレターが反映されて劣化してしまっているのであれば、女性を非難する前に男性がアンケートを出すべきだという意見も多かった。
「女が!女がアンケートを送ったから俺らのジャンプが!!!!じゃねーよ Twitterや2chでわめいてねえで直接ジャンプ編集部にアンケート出せや」
そもそも、文句を言っているような男性自身がもはや本来の読者である「少年」ではないため、「大体自分の感性が年をとって少年漫画に合わなくなってきてるだけってのが正解」という見方も出ていた。
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