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「24時間テレビ」はもはや時代遅れのオワコンでしかない! 「感動ポルノ」はいい加減やめた方がいい

感動の安売りにはウンザリ

感動の安売りにはウンザリ

いやぁ~今年も感動してしまった。何がって、そんなもん日本テレビが毎年この時期に総力を挙げて制作する「24時間テレビ 愛は地球を救う」……の放送直後に武道館から生放送された「行列のできる法律相談所」に決まっている。

法律に関する話題が一つも出ないわ、マラソンを終えたばかりの林家たい平師匠をさらに引っ張り出すわ、ミラーマンが登場するわ、この局は一体何を考えているのか分からなくなって逆に感動した。(文:松本ミゾレ)

障害者の富士登山に遠泳、感動の安売りが甚だしい

一方で、今回の24時間テレビも感動の押し売りが甚だしいことこの上なかった。身内に障害者がいる立場からすると、ああいう美談ばかりで固められると、正直「障害者と支える家族は清廉潔白で、か弱くなければならないのか」と、プレッシャーしか感じない。

ネットで嘲笑された企画も少なくない。足の不自由な子に無理やり富士登山をさせたり、片腕の女性を泳がせたり、ああいうのはまるで、一頃昔にお笑い芸人がやっていた、身体を張る番組のノリを思い起こさせる。しかも視聴者に感動を求めるんだから始末に終えない。

「24時間テレビ」とはそもそも、1978年に福祉をテーマにした特番として始まったものだ。視聴者が持ち寄った募金を、社会福祉や災害の復興のために使う。ある意味では史上もっとも意義のある、視聴者参加型番組とも言える。それだけに、現在携わっている制作スタッフが番組本来の趣旨をどれだけ理解しているのか。これが気になる。

障害者に無理をさせて、噺家さんにマラソンさせて、「この人たち頑張ってるんですよ~!」と涙を流しつつ募金を呼びかける。正直、僕がもしも身体が不自由だったとして、番組側から「山登れ」だの「海泳げ」だの言われたら絶句する。

一方、NHKは裏番組で「感動ポルノ」の構造を紹介

障害者自らが出演するテレビ番組として、最近、何かと話題になっているバラエティがある。それが「バリバラ~障害者情報バラエティー~」(NHK Eテレ)だ。

日本初の、障害者のためのバラエティ番組と銘打つこの番組。障害者自身がコントで自分の身体のネタにしたり、健常者とコンビで掛け合いをするなど、障害を持つ人だけでなく、それ以外の人にとっても笑える作りになっている。

その「バリバラ」が、「24時間テレビ」に生放送で宣戦布告をするかのような企画を行った。28日の19時より、障害者に感動は必要なのか、とする根本的に誰もが抱いている疑問についてクローズアップしたのだ。

番組の中で引用されたのが、2014年に亡くなったオーストラリアのジャーナリスト兼コメディアンの、ステラ・ヤングさんだ。ステラさんは骨形成不全症という難病を抱えてなお、精力的に活動をしていた人物であるが、生前にはただ生きているだけで、理不尽な賞賛を受けることがあったという。

子供の頃には普通に生きているだけなのに、突然地元のコミュニティから「達成賞」にノミネートされたり。教員になって2年目には、自身の境遇を知る生徒から「感動するスピーチ」を求められたり。こういった、障害のある者が懸命に何かに取り組み、感動を誘う構図。このような状態をステラさんは「感動ポルノ」と呼んでいた。

メディアが型にはめて量産する、いわゆる「感動ポルノ」。「24時間テレビ」などは、その「感動ポルノ」の見本市だ。

障害者が頑張るよりも、障害者を支えやすい社会作りをサポートする番組は作らないの?

「24時間テレビ」のコンセプトには異論を挟む余地はないんだけど、その方法として障害者に無茶をさせるというのは、正直「いつの時代の感覚だよ」と思ってしまう。障害者が頑張ることで感動を産み出す番組。この構図は、障害者にとっても、視聴者にとっても健全なものではない気がするのだ。

以前、「24時間テレビ」が放送されていた時間帯に、障害を持つ友達の家に遊びに行ったことがあった。この家のテレビは、まるで他人事のように裏番組を映していた。友達は言った。

「24時間テレビは嫌い。あれが終わった後に外に出ると、知らない人にものすごく同情される。せいぜい3日ぐらいでそれも終わるけど」

誰だって、普通に接して欲しいとか、そっとしておいて欲しいと思う気持ちはある。障害者がなぜ頑張って感動を誘わなければならないのか。これが全く分からない。

それよりも障害を持つ人を、そうでない普通の人が当たり前に支えることができて、周囲からも過剰に同情をされないような、誰にとっても「普通の社会」を作るための番組こそ、そろそろ必要ではないだろうか。

38年も前のコンセプトに則って、いつまでも古いフォーマットにこだわる番組なんか、もうお役御免になれる時代になって欲しい。「可哀想」とか「感動した」とかいう言葉が、当事者をかえって追い詰めている。

あわせてよみたい:美容師業界がブラックすぎる

 

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