出演者が逮捕された作品は「お蔵入り」が当然なのか 高畑容疑者の影響で「まれ」の二次使用も難しい状況に
この事件は、さらに多くの人々をも巻き込んで延焼を続けている。それが、高畑容疑者が過去に出演した映画やドラマについてのトラブルだ。今年放送された「24時間テレビ」(日本テレビ)では、パーソナリティに抜擢され、スペシャルドラマにも出演していた裕太容疑者だったが、直前になってこの不祥事。
急遽撮り直しになったカットもあったようで、かなり現場は混乱したという。さらには、2015年上半期に放送され、裕太容疑者も出演していたた連続テレビ小説「まれ」(NHK総合)も、窮地に陥っている。
こちらは既に放送は終了しているが、現在流通しているこの作品のDVDソフトについて、色々と懸念の声もあるようだ。
日刊ゲンダイが9月3日に報じたところによれば、高畑容疑者が出演しているシーンも多いこの作品は、出演シーンをカットすると物語の筋が通らなくなってしまうため、今後ソフト化できず、二次使用がかなり厳しい状況になっているという。
DVDは昨年の夏にはリリースされているが、たとえばブルーレイで同作品がソフト化されるといったことは、今後何年経とうとあり得ない話となりそうだ。関係者からすれば、とんでもなく迷惑な話である。
最近は、やたら映画やドラマに出演することが多かった高畑容疑者のこと。「まれ」だけではなく、多くの作品に関わった人々に、恨まれてしまったに違いない。
「名作は世に残すべき」という声もあるが今回の事件の性質を考えると……
9月5日の情報番組「バラいろダンディ」(TOKYO MX)では、「出演者が逮捕された作品はお蔵入りにするべきか?」とする街頭調査を実施していた。
まずは「お蔵入りにすべきでない」という意見から、印象的な声を紹介したい。
「作品を撮影していたときには犯罪を犯していたわけではないし、クランクアップもしている作品なので」
「名作は世に残すべき。お金と時間を掛けているものがゼロになってしまうのはもったいない」
「消費者の自由でDVDは買う・買わないを選択すればいい」
次に「お蔵入りにすべき」とする意見も、紹介してみたい。
「放送されたとしても、犯罪者のイメージが拭えないし、作品に集中できない」
「被害者の立場を考えると、不快感を与えてしまう。公共の電波で流すべきではない」
「(犯罪を犯せば)会社員なら解雇。同じ扱いで良い」
どちらの意見にも「そうだよなぁ」と思わず頷いた。個人的には、質の高い映像作品が、出演者の不祥事によって封印されるというケースそのものは残念なことと感じる。しかし、やっぱり今回の高畑容疑者が引き起こしたような悪質な事件の場合は、やっぱりお蔵入りという選択肢をとるのが一番のように思った次第だ。
作品がお蔵入りになったという事例は、これまでにいくつもある。特定の人物や団体を意図しないところで傷つけてしまい、結果的に制作側が謝罪すると共に再放送の自粛、映像ソフト化を見送った例。番組内容をモチーフに凶悪犯罪が発生し、影響を考慮して封印してしまった例。こういうのは色々と前例がある。
であるならば、今回の事件をふまえた上で、今後高畑容疑者の出演作がお蔵入りになってしまうというのも、これはしょうがないことなのかもしれない。
一番に尊重されるべきは、被害者の意向だ。当人に聞くまでもなく、被害に遭った以上は、二度と加害者の顔なんて見たくないことだろう。こと、今回のケースに関して言えば、封印やむなしではないだろうか。