「被害女性の特定に何の意味があるのか」山口達也の件で性暴力被害者支援団体がコメント「マスコミも報道の仕方考えて」
山口達也さんが今年2月、強制わいせつ容疑で書類送検されていた件で、様々な噂が広がっている。初報のNHKは、山口さんと被害者は「仕事を通じて知り合った」と報じていたが、山口さんがNHKEテレ「Rの法則」で司会を勤めていたことから、「被害者は同番組の出演者ではないか」と噂が広がった。
その後、民放テレビ局が「Rの法則で知り合った16歳の女性」と報じたため、ネットでは被害者特定の動きが活発化。番組出演者の一人である17歳の女性タレントではないかという推測が広がり、ツイッターやインスタグラムではジャニーズファンから誹謗中傷を受ける事態になった。
「多くの事件で被害者は、そっとしておいてほしい、と望んでいます」
山口さんが4月26日に開いた会見では、被害者の年齢や知り合った場を明らかにしていない。性暴力被害者の支援活動を行う、NPOレイプクライシスセンターTSUBOMI代表の望月晶子弁護士は、民放テレビ局の報道が仮に事実だったとしても、被害者を容易に特定できるような情報を出すことには問題があると指摘する。
「多くの事件で被害者は、そっとしておいてほしい、と望んでいます。知られたくないのに特定されるかもしれない恐怖、そこから受けるかもしれない二次被害への不安等を考え、今、被害者の方はマスコミから二次被害を受けている状況にあるのかもしれません」
ネットで女性タレントへの誹謗中傷が相次いだことについても「特定することに何の意味があるのでしょうか。人間の持つ嫌らしい好奇心が露呈しているのだと思いますが、 ネットはそれをコントロールしきれません」と憤慨する。また、
「そういう状況を作り出す原因となったマスコミも報道の仕方を考えるべきでしょう」
と、苦言を呈した。
騒動を巡っては、「グッディ!」(フジテレビ系)の番組ツイッターアカウントが、「Rの法則」出演者らにリプライで取材を申込み、「無神経過ぎる」と批判を浴びていた(リプライは現在削除済み)。望月弁護士は今後のマスコミ報道に次のように求めた。
「どんな事件でもそうですが、被害者に配慮し、その意思を尊重してほしいです。議論や意見交換は大切ですが、被害者を傷付け、声をあげるのをためらい、被害が埋もれてしまう=加害が野放しになる、ことのないよう、慎重にしていただきたいと思います」
「自衛は大切だが、守れなかった被害者を悪いと責めるのは間違い」
今回の騒動では、山口さんに誘われて自宅に行った被害者を責める声も出ている。4月26日放送の「バイキング」(フジテレビ系)では、歌手の中条きよしさんが被害者らについて「家に行かなければいい」と発言していた。こうした意見について望月さんは、
「『何もしないから』等と誘われて加害者宅等に行って被害に遭ってしまうケースは本当にたくさんあります。『この人はいい人』『変なことをするはずがない』と人を信じることが悪いことなんでしょうか。自分の身を守ることは大切ですが、守れなかった被害者を悪いと責めるのは間違っています。」
と釘を刺していた。